WEBで何でも情報が手に入り、誰とでも繋がれる時代はそろそろ終わる
少し前、某飲食店の幹部が不適切発言で問題になって更迭された。
その前は某女性プロゲーマーが不適切発言でチームをクビになった。
その他、不適切発言などで問題になった有名人やらは最近かなり増えてきた。
僕らの界隈の方でも、Twitterでの過去の発言を掘り返されて大問題になったケースは記憶に新しく。これは個人的にも、さらに発言に気を付けるようになったキッカケでもある。
これとは全然別次元の世界的な話をすると、コロナで人々の往来が停止し、例のロシアの問題から他国にインフラや食料などを任せてしまうリスクが再認識され、グローバリズムの巻き戻し的な空気感が生まれてきている感じも受ける。
というところでの本題なのだけど。
最近、世界的にも国内的にも様々な分断が急激に進んできて、その分断されたグループごとにクローズドな世界を形成しようとしているような、そんな感覚があるんですよね。
個人的にこの感覚はコロナのもっと前から感じていたのだけど、年々どんどん酷くなっている感じがしていて、コロナとウクライナ戦争あたりでもっと明確化したような、そんな認識です。
これは国家間の話もそうだし、思想や政治や経済やエンタメや個人でもそうで、あらゆる面で分断とクローズド化が進んでいる感じがあるんですよね。
たとえばウクライナ戦争から資源や高性能機器などを他国に頼るのは危険という認識が広がってきていて、自国や友好国の中で回せるようにしよう、という流れになってきているし。まったく別の次元の話だけど、最近、言論人などを中心に自分の意見を伝える場として無料のYouTubeや(既存の)SNSを選ばない人が増えてるんですよね。
全体的な流れとしては『分断化』と『クローズド化』が来ているような気はしているのだけど、別にそれは1つの原点からそういう流れが広がっているという話ではなく、あらゆる方面からそういう流れが作られていっている。そういう感じがしてるんです。
◆◆◆
で、話をタイトルの方に戻して、この分断化とクローズド化の話の言論的な分野での一因なんだけど。
『ぶっちゃけ、オープンな場での踏み込んだ発言ってリスクしかない』
んですよね。
はっきり言ってね。
たとえばだけど、僕がこの場でもTwitterとかでもいいけど、オープンな場(誰でも見れる場所)で「✕✕というお菓子が嫌い」みたいなことを書いたとしても今の僕程度では別に大きな影響はないだろうけど。仮に作品のアニメ化とかでスポンサーが絡むような話に将来的になったとしたら、僕はその1つの発言で1つのスポンサーを失う可能性がある、というリスクがあるはずじゃないですか?
それ以外にも、その✕✕というお菓子が好きな人に嫌われるかもしれない。
でも、そんな発言をした場合のメリットはまったくない。
ここが重要で、『お前ごときがどんな発言しようとも誰も気にしねぇよw』と思う人もいるかもしれないし、それはそうなのかもしれないけど、重要なのは『メリットがない』ってなところなんですよね。そんな発言をしたとしてもリスクはいくつも考えられるけどメリットってないんです。
と考えると「○○は嫌い」というようなネガティブな発言は僕程度にとってすら全般的にリスクだけが高くてメリットがない発言なのだと考えられるわけです。
であるならば容易に想像がつくと思うけど、本当に有名な人って言動にもっと大きなリスクを背負ってるわけなんですよね。
「○○が嫌い」
という発言はネガティブな発言なので例としてはよろしくないかもしれないので別の例で言うと。政治、宗教は勿論、経済や社会システムとか、我々の話で言うなら創作論とか、わりと誰もが納得する絶対的な正解がないモノに言及すると必ず反対意見が出るわけで。そして出たその意見に対して論拠をもって反論して相手を論破することは出来るかもしれないが、完全に相手を納得させて自分の意見が正しいと認めさせるのは難しいので、どれだけ進んでも最終的には不毛な議論を続けるしかなくなる可能性が高いわけで、それでは無駄に敵を作ることになってしまうと。
となると、有名人ほど公の場では踏み込んだ発言が出来なくなるんですよ。
こういう状態になったのって、2chやSNS(あるいはその相乗効果)が大きくなって情報の拡散が早く大きくなったのが主因であるはずで、それらの影響力が大きくなってきたこの5年10年で有名人は発言にどんどん慎重になってきていると。
なので表で発言する場合、仮にそれが真実、現実、事実であっても『でも燃えそうだから言わない』という判断をする人が確実に増えてきてると感じるんです。
ではその状況をどう回避するのか?
というところで『クローズドな場に移行する』という話になるんです。
具体的にそれがどういうモノなのかと言うと、たとえば簡単なところでは会員制の有料メディアでしか際どい話をしないとかね。
NewsPicksとかが有名だと思うけど、Twitter等の他のSNSをやっていないアナリストとか会社社長、あるいは政治家がコメント欄でそのニュース記事の解説をしていたりするわけです。
それで基本実名なこともあって、基本的に炎上みたいなことはないと。
だからそれなりに立場のある人が率直な意見を比較的言いやすいわけです。
で、動画コンテンツの方では確実に地上波では言えないような議論をしてたりするんですよね。
基本的に有料会員にならないと見れないので、面白おかしく拡散されて変に炎上することもないから、率直な議論になりやすいんです。
他にはYouTubeやニコ生とかで有料チャンネルメンバー限定で情報発信している例とか、後は言論人個人が独自メディアを立ち上げてる例もあると。
某評論家の人の放送では前半部分が無料で後半が有料なんだけど、前半では当たり障りのない内容とか問題の表面を撫でるような話をするんだけど、後半の有料部分に入って聞く人が選別されて激減した後は明らかにギアが変わって核心部分を突く際どい話になるんですよね。
そういうのを聞いていると、確かにこの後半部分をフリーで誰でも聞けるところで流してたら変に拡散されて炎上しかねないことは分かるんです。そこは月100円であっても払わせることで聞く人を選別しておくことが重要になっていると。
少し前に流行ったクラブハウスというアプリがあったけど、あれに関しても当初はそういうクローズド化を目指すアプリだったのだろうけど、人が増えてくると変に拡散する人が増えてきて『ここだけの話』という当初のコンセプトが守られなくなって、結局は地上波と同じように有名人が深い話を出来なくなってしまって人がいなくなり終わってしまった。
やっぱりクローズド化するにはなんらかの形での選別が必要で、今のところそれは『お金』という形が一番手っ取り早くてスムーズに機能していると。
お金という形で制限することには他にもメリットもあって。
前にもこっちで少し書いたけど。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054885207682/episodes/16816927860842072346
オープンな場での発言がしにくいのって、その失敗で仕事を失う可能性があることなんですよね。
どういう流れで仕事を失うかは色々だけど、たとえば某プロゲーマーが失言でチームをクビになった例とかだと、チームにもスポンサーがあるから、ある程度のコンプラが守られる必要があって、だから危なそうなヤツがクビになるのだろうけど。そもそも企業スポンサーを付けずにファンから直接支援してもらう形を構築出来れば大体の状況ではコンプラなんて丸めてポイ出来るんですよね。ファンがその人を応援してくれる限りはね。
そういった考え方からお金でコンテンツの閲覧を制限し、余計な人間に見られないようにし、外部からの横槍を排除し、自由に発言出来る言論の場を確保する。
そしてコンテンツの制作費用を支援者から直接得た資金で賄う。
といった方向に進んでいる企業や有名人がちらほら出始めていると。
そうなってくると今後、情報格差がかなり拡大していくんだろうな、っていう気がしてるんですよね。
――とは言っても多くの人からすると「俺は関係ないわw」という感じかもしれないけど、身近なところでいってもクローズドという意味ではNetflixとかでも似たような仕組みだと思うんです。
オリジナルコンテンツを契約者の中だけで共有する形。
既存の映画とかじゃ一定期間後に地上波で流れたりするけどNetflixじゃそうはならない。完全にNetflix契約者のコミュニティの中だけのコンテンツになると。
今はそれでも月額1000円程度で全てのコンテンツが誰でも見れるような形に落ち着いているのだけど、これがもっと進んでいくと『大衆に向けてコンテンツを作る』という今までの形が完全に変わる可能性もあると思っていて。
例えばコアなファン向けにもっと高い料金で作品作りをするとかね。
現段階でもクラウドファンディングで制作費用を集めて映像化を目指すみたいな作品はいくつもあるわけで、そういうモノの延長線上にはそういった形もあるかもしれない、という話。
そもそも元々は芸術作品なんかは大金持ちのパトロンが大金を出して1人の芸術家を支えるような仕組みが最初なんだし、そういう形がおかしいというわけではないわけだし。
まぁとにかく、これからは有益な情報やコンテンツを得るためにはどんどんハードルが上がっていく傾向にあるのだと思われると。
実際、このカクヨムで始まったKSPの限定近況ノートもその類のモノだと思うんですよね。
どのサイトでも、カクヨムですら見れる範囲を制限するような機能を追加するような方向に向かっている。
で、僕もその機能を使って一般公開出来ない話をしていますよと。
やっぱり僕からしても一般公開と支援者限定のエリアでは語れる範囲が違うと明確に感じますからね。
ただ、支援者限定だからといってなんでも語っていいわけでは当然なくて……。
最初にも書いた某飲食チェーンの幹部が有料セミナーで差別的な発言をしてしまって、それをバラされてクビになったりしましたよね。
まぁつまり、自分の興味のある分野ぐらいでもアンテナ張って情報収集しておかないとダメだろうね、ってな話なんですが。
僕が観測した範囲では、クローズド化が進んだ結果、一部の言論人のコミュニティなんかは完全にタコツボ化して先鋭化しちゃっててヤバい感じになっていて、かなり新たなる分断の火種というか、ちょっと怖さを感じたりすることもあるんですよね。
身内でクローズドな場所に閉じこもって反対意見は排除しているから、もはや誰も反論もしなくて周囲は全員イエスマンになっちゃってるみたいな。
だからこの辺りは難しい問題で、『どっかのオンラインサロンとかに入ってみろよ』とは簡単には言えない感じになってきてるんですよね。
情報の取得先はちゃんと考えて取捨選択していかないとヤバい感じです。
でも、そういったクローズドな場でしか出てこない情報とかもどんどん増えているので、難しいところですね。
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