外国人が日本のソーセージを美味しくないと言う理由についてと文化的な違いの考察

何年か前にTwitterで書いた話を思い出したので改めて共有しようと思うのだけど。


いくつかのサイトで色々と見た感じでは日本のソーセージって外国人からはあまり評判が良くないらしいんですよね。

(アメリカ人にはウケるけどヨーロッパ系にはウケないという話も)

それは魚肉ソーセージと間違えてるとかじゃなくて、全体的にレベルが低いという感じに思われてるらしいと。

その理由を見ていくと『肉の中に溶けない白い粒が混じってる』とか『皮がパリッとしてない』とか『甘すぎる』とか『単純に不味い』とか、まぁ色々あるらしいのですが。

じゃあそれなら本場のソーセージってどんなんやねん? ということでドイツまで調査に行ってきました――ってのは冗談だけど、実はコロナ前にドイツとスイスに行った時に現地で色々と食べてきたんですよね。

ホテルの朝食とかパブで出てきたブルストとか、旅行中は毎日ソーセージを食べてみた結果、様々な場所で食べたソーセージに共通した日本のソーセージとの違いがあったんですよ。

それが――


『塩分濃度の違い』


なんですよ。

全体的に日本のソーセージよりかなり塩辛かったんです。


https://twitter.com/kokuitikokuichi/status/1169105643590094848

(当時のツイート)


どこで食べたソーセージも全部塩辛かったのでこれは間違いないです。

どれぐらいかと言うと、調味料ナシでちょびちょび食べて酒のアテになるぐらい。1本か2本で調味料がなくてもご飯一杯いけそうなぐらいですね。

漬物や明太子とかまではいかないと思うけど、ソースつけたトンカツとか食べるよりは塩辛いと思う。

唯一塩味が薄かったのは白ソーセージだけです。


そんな感じにずっと食べているとすぐに限界が来るんですよね。塩辛すぎて。

でもドイツじゃお米は出ないから日本人的には塩分を中和出来ない。

そこで重宝するのがマッシュポテトとザワークラウト。

上記の写真にも入ってますが。

ソーセージの塩辛さをマッシュポテトのあっさり薄味とザワークラウトのさっぱりとした酸味で打ち消すわけです。これは日本で言うところのお米みたいな役割。

現地で食べてみると確かにザワークラウトが食べたくなるんですよね。ビールでソーセージの塩辛さを打ち消してたら飲み過ぎちゃいそうだから、ついついザワークラウトに手が伸びちゃう感じ。

ザワークラウトがないと、本場ではソーセージが食べられないと言っても間違いじゃないぐらい。


で、あれが本物のソーセージなのだと仮定すると日本のソーセージって薄味すぎて物足りなさは間違いなく感じるんだろうなと思うんですよね。

肉を美味しく食べるには一定割合の塩分を加えないといけない、ってな話があるんです。どれだけ旨いA5ランクの黒毛和牛のステーキでも塩を適量加えないと旨味を感じにくくて美味しくないみたいな。

よくある異世界転移モノで異世界に着いたばかりの主人公が魔物を狩って焼いて食べて『調味料とかなくても旨い!』みたいな描写があったりすると「んなわけねぇだろ」とツッコミたくなる理由はここにあって……という話はいいとして。

勿論、日本のソーセージにもそれなりに塩分は入っているとは思うけど、焼いてそのまま食べるにはほんの若干物足りなさがあるぐらいの丁度良い塩分量というか、そのままでも食べられるし味付けして食べることも可能な塩分量だと感じるんですよね。

思い返してみると定番的な食べ方ではケチャップとマスタードで食べるとか、卵料理に合わせる時は一緒にソースや醤油をかけて食べるじゃないですか。

酒のツマミにするならちょっと塩を足してみたりね。

でもドイツのソーセージはそんな塩分を足す系のソースをかける余地がないぐらい最初から塩辛いんです。

なのであっちのソースって塩分を足すモノというより風味を足すモノというイメージがあるんですよね。

カリーブルストにしても、そのソースは塩気はないっぽいみたいだし。


で、日本に帰ってきて、ネットで安くて外国人にもウケると噂の某スーパーのソーセージを買ってきて食べてみたんですよね。

それを食べてこの説の確信を持ったのだけど、やっぱりそれも塩分濃度が高かったんです。

日本で市販されてるどのソーセージよりもね。

美味しいけど、とにかく塩辛さは違った。で、本場感も確かにあった。


塩の量でそこまで感じ方が変わるの?って思う人もいるかもしれないけど、たとえば日本のソーセージでザワークラウトが食べられるか?というと、ぶっちゃけ微妙というかザワークラウトは普通にいらないな、と思うんですよね。

ソーセージが薄味すぎてね。

これって日本人の『ご飯のおかずになるかどうか』というモノの考え方と(逆だけど)同じだと思うんですよ。

たとえば日本人は餃子をご飯のおかずとして考えるから酢醤油で食べると。

つまり酢醤油の餃子とご飯の口中調味で味が丁度良くなるという理論。

一方、中国人は餃子を主食(ご飯と一緒)として考えるのでご飯と一緒に食べるという発想がないため、餃子を黒酢だけ(もしくはそこにラー油)で食べると。

つまり餃子単体で丁度良い味付けになっている。

そういう感覚の違いが餃子において日本人と中国人の間にはあるのだけど。

これと同じようにソーセージに関しても。

ドイツ人はソーセージをメインディッシュとして考えていて。ソーセージが塩辛かったため(元は保存性を上げるため塩分量が多かった)ザワークラウト&ポテトと一緒に食べるようになり。それが文化として定着したので、それ前提で塩分濃度が考えているので昔と同じように塩分濃度が高いままなのだと思う。

一方、日本人はソーセージ単体をメインディッシュとして使うというより『料理に使う肉加工食材』という認識で考えているため、日本のソーセージは他の食材と一緒に調理し、味付けしても塩辛くなりすぎない塩分濃度に抑えられているのではないか?と思う。

『料理に使う肉加工食材という認識』とは、つまり簡単に言うと日本人ってソーセージをメインディッシュとしては見ておらず、サイドディッシュにしたり炒め物やスープに入れて使うモノだと考えているのではないか? という話。

例えば洋食屋さんでステーキやハンバーグがメインになってもソーセージがメインで出てくる店って(探せばあるかもしれないけど)見たことがない。せいぜいミックスグリルに入ってるぐらい。

家庭の夕食でも焼いたり茹でただけのソーセージがメインになることってないと思うんですよね。

大手お弁当チェーンとかファミレスのメニューとか見てもないし。


「いや、我が家ではソーセージがメインディッシュだぞ!」


ってな人も当然いるだろうけど。

前に某コンビニが『ソーセージ弁当』を出した時のエピソードで。商品開発部の人が1人ずっとソーセージ弁当の制作を押し続けてたけど何年も上から「ぜって~売れねぇから!」と却下されてたという話からしても、やっぱり一般的ではないんだと思う。


ソーセージって日本人にとっては料理の材料なんですよね。

だからソーセージ単体で食べることはあまり想定してないんだろうと思うんです。


◆◆◆


ってな感じでソーセージについて調べながら語ってきたのだけど。

調べている内に『塩分濃度』の他に関係ありそうだなと気付いたのが材料で。

日本のソーセージって豚以外に鶏を混ぜて使っているモノもあるらしくて、それだとアッサリした味になるみたいなんですよね。

確かにそう言われてみると、肉の味が広がるジューシーなソーセージがある一方でやけにアッサリしたソーセージもありますよね。

そういうソーセージをただ焼いたり茹でたりしただけで食べてもかなり味気ないと思うけど、料理に使うと考えるなら様々な味付けに対応出来るから使いやすいようにも感じるところです。

魚だって煮物とか味付けして料理するなら味が濃い赤身より淡白な白身の方が合いますよね?


まぁそんな感じで、そもそもドイツと日本ではソーセージの素材としての捉え方が違うからモノが別物になってんじゃないか?ってのが僕の結論なんですけど、どうでしょうか。


恐らく日本のソーセージでも豚肉だけで作られたソーセージなら塩を足して塩分濃度を上げてやれば本格的な味に近づくのではないか?という予想が自分の中にあります。

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