第八回 活きのいいキャラクター いろはの「い」

 キャラクターがイマイチ活き活きしない。

「人形みたい」

 と言われることが多い。


 今回は私がそういう事態にならないように、キャラメイクで気をつけている所にスポットを当ててみようと思います。


 まず、私の場合はキャラクターを作った段階で大まかな性格は決めています。

 この性格がキャラを動かす起点になるので非常に大事です。


 ただ間違えないで欲しいのは、性格設定を細かく作りこんでいると言う訳では無いと言うことです。

 キャラ設定をいきなり細かく作りこむと、その設定を逸脱しない範囲でしか物語を展開できなくなるので、物語を進める際に足枷となってしまいます。


 起点として大事なのは、そのキャラの絶対的な芯を設定する事です。


 揺るがない目標や、行動方針、そのキャラの大まかな行動基準の上での優先順位。

 くらいでOKです。

 性格の細部は物語の進行と合わせて肉付けしていきます。

 物語の進行に都合がいい設定を物語の構想と同時に作っていくような感じです。


 大事なのは芯の部分なので、そこを決めた上でそのキャラクター「らしい」行動を考えてあげるといいと思います。

 そうすればキャラクターがブレると言う事もほぼ起きないハズです。


 あと「らしさ」を生かすための個人的な鉄則があります。


 それはキャラクターに「うん」「わかった」「了解」「はい」などの一言の言葉だけで素直に言う事を聞かせない事。


 一言で素直に言う事を聞いてしまうと、キャラクターの味が出せなくなってしまうので、人形のような印象になりやすくなります。


 また素直に「はい」と言わさせないと言う事は、別の言い回しで「はい」と同様の展開をさせないといけないのでキャラクターの言動に幅とオリジナリティが生まれ、キャラが活き活きとしてきます。


 例に少し書いてみましょう。


 例1

「んじゃ買い物頼めるか? リストはこれな」

「うん、わかった」

「気をつけて行ってこいよ」


 例2

「んじゃ買い物頼めるか? リストはこれな」

「このリストじゃダメ。チョコレートが無い!」

「いいからとっとと行って来い。このチョコレート中毒が!」


 例3

「んじゃ買い物頼めるか? リストはこれな」

「ん」

「なんだよ。その手」

「私、タダでは動かない」

「ほほう? 散々人の家に居座ってタダ飯くらっといて随分なご身分だなオイ」



 こんな感じでしょうか。

 物語の展開としては同じなのですが、ちょっとした会話だけでキャラクターの「らしさ」が出るのはこの受け答えだけでも解るかと思います。


 キャラクターを活き活きとさせるのに必要なのはこういった細部の積み重ねです。

 積み重ねが出来ていれば、たまには「わかった」だけで済ませてもいいのですが、基本的には一言で素直に頷くような言動はなるべく控えるようにしています。

 だって素直に言う事聞いちゃうと、やりとりが面白くないので。


 素直に「わかった」と言う場合は一種のフラグですね。

 結局わかってない。というパターンで使用します。



 今回はこんな所ですかね。


 次回は何のお話にしましょうかねぇ。

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創作研究思考 面白さを考えるコラム 玄海之幸 @DELTIC

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