なれあい to ゆえつ
侘助
馴合と愉悦
いつも通り聞こえる
色違いの
足音雑踏と
微かな鳥の
いつも通りの流れ作業で
殻の外 に出る支度を終えながら
残りのコーヒーを飲みほす
まずくも うまくも ない
「あ おはようー どした 早いじゃん 」
「今日もバイクですか?寒いっしょ」
広報の爽やか同期が
いつも通りの言葉で迎える
またいつも通りの挨拶で
殻の外の1日が始まる
本当なら電車やバスで優雅に来れるが
深夜中 動いてくれてない
クソ寒さも乗り越えて 扱いづらい
ふわるカールでクシャクシャの髪は
よく見る 白人のお子さんみたいな緩さ
誰にも裏表なく
同性からも 頼られ 人には不自由しない
それほど集客には困らない
バンドのギター弾きで
仕事もリアルも充実ぶりこの上ない こいつ
指名の内線で呼ばれ 馴染みの顧客からの
いつも通りのやり取りを卒なく終えた
ところで時計の針が一つになっていた
「ポーチャイ行くでしょ?もう注文しといた」
断られるなんて1ミリも思考にない
ゆるい声もいつも通り
「またガパオセット?...今日はレッドカレー食べたかったんだけどな…」
にひっ と 笑いながらコートを差し出され
受け取りながら結局返すコチラもいつも通りで...
『 今度の水曜は休みだから間違えて来ちゃダメだからねー』
僕達私達の台所になりつつあるオーナーの
のほほん とした声に送られて
ワンプレート分 歩みも重くなった 帰り道
「夜 こないだのマスタリングするから...」
「手伝って」とも 「くる?」 とも 言わない
だが 紛れもなく また そういう意味だと
瞬間 真顔で斜めから見下ろされる
視線で悟る
「ふーん...」
「相づち 」とも 「感想」とも 取れる宙に浮く返事
信号をぼーっと見ながら
はき出す こちら も いつも通り
たまに
極当然 出るであろう
『お2人は付き合われてるんですか?』
の お問い合わせにも
いやいや...
くされ縁みたいなもんで...
「こちら 」からも
「あちら 」からも
その旨 確認した事は
1度も ない
同僚
友人
恋人
腐れ縁
それらがミキシングされたいつも通りがただ過ぎて行くだけ
そして
こいつ は突然として堕ちる時がある
普段の ふわりゆるゆら は影を潜め
(訳あって1人2人 殺めた過去は封印してある) 風な堕ちっぷりの 塊になる
知る限りでは
そんな時 必ず呼び出されるのが
「こちら 」で
「こちら 」は
それを断 らない
れない では ないのだ
こいつ の
毒を
ぬるぬる
と抜き出し
ふわりと
ゆるゆらと
心地よい
こちら も堕ちた塊
堕ちる日常ひと時の甘い愉悦
不道徳極まりない
なれあい to ゆえつ 侘助 @ato0320
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