俺もチョコまみれ!?

 そして放課後、普通のチョコ二つと呪いの石とイリジウムの箱と生首チョコと生ガツオと先生の毛が絡んだチョコの塊と重油チョコが入った俺のカバンは、パンパンになっていた。


 ついに……ついに俺の夢が叶ったんだ!

 正直色々おかしいけど、みんなからの気持ちをもらえたってことだよね!


 ――バサッ


 あれ……? 何か袋を被された?

 そういえば何かを忘れてるような……ダメだ、眠たくなって……。


_____________________________________



「お目覚めですかあ?」


 あれ? 目の前にいるのは病?

 ここはどこだろう……んんっ、ガムテープが巻かれてて喋れない。


「ここは学校ですよ。みんな帰って、今は私とチョコ男さんだけしかいません」


 うまく動かせない首で見渡せば、確かにここは学校の屋上だ。


「私、初めは自分の血を入れたチョコを渡そうと思ってたんです」


 うん。それはなんとなく気がついてた。


「でもですね、チョコ男さんは他の女からもたくさんチョコをもらってた」


 ……そうか、病はあんまりそういうの好きじゃないもんな。


「それじゃあ私がチョコ男さんを独り占めできません。でも、きっとチョコ男さんは他の女からのチョコも受け取りたいと思っていたはず」


 さすが病だ。俺のことをよくわかってるね。


「ですから、私思いついたんです。チョコ男さんがもらったチョコを無駄にせず、私だけがチョコ男さんを独り占めする方法」


 病の視線につられて下を見ると、ドラム缶一杯に満たされたチョコの中に、俺の体が埋まってる。

 ……これはマズいな。


「その中には、チョコ男さんのカバンの中に入っていた贈り物たちを、ぜーんぶ溶かし込んであります。もちろん私のチョコも……」


 首を振り回して抵抗しようとしても、動けないし声も出せない。

 それに騒いでも、夜の学校になんて誰もいるはずがない。


「チョコ男さんは望んだ学校で、ずっとチョコ幸せに包まれたまま。私もそんなチョコ男さんとずっと一緒にいられる……」


 なーるほど。下はプールか。


「愛してますよ、チョコ男さん。これからもずうっと」



 さて諸君、ここまで読んでくれてありがとう!

 俺はこのまま、ドラム缶を抱きしめた病と一緒にプールに落ちるぜ!


 今は二月だし、見つけられるのは早くても夏前かなあ。


 それじゃあ最期にひとつ! ヤンデレのご利用は計画的に!

 ハッピーバレンタイン!



―――ドボン!

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まともなチョコをもらえないのは俺のヒロインチョイスが悪い にとろげん @nitrogen1105

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