第3話 しろくろ

リバーシで勝負する事になった蜜柑とレア。

じゃんけんして、蜜柑が先攻になった。


その瞬間、俺はレアの勝利が絶望的であると確信してしまった。

蜜柑こいつに先攻を渡してはならない】、ゲーマー達がこぞって言う『裏ルール』の1つである。

渡せば最後、勝利は無いという。


熟練ゲーマーである俺の親友でさえもそう言うのだから、ほぼほぼ間違いは無いだろう。


リバーシに関してもそうか否かは別として、少なくてもレアは今日が初リバーシなのだ。

ビギナーズラックがあったとして、それだけで蜜柑に勝てるほど現実は甘くないはずだ。




2分後、頭を抱える蜜柑の姿があった。

少々、レアの事を甘く見ていたのかも知れない。いや、実際甘いのか?

ともかく、明らかに蜜柑の劣勢だった。盤面の状況が、たった3つを残して全て白……。

これ以上の屈辱はないだろう、と思い蜜柑の方を見やる。

彼女は何故か目を輝かせ、やけに活き活きとした顔をしていた。

この状況を楽しみ、興奮していたのだ。


「ヤバい……ヤバいよ!!

こんな興奮したの久し振り過ぎて……ヤバ過ぎるっっ!!」


興奮を抑えきれず頭を掻きむしる。

ムシャクシャしたのではなく、あまりにたかぶった脳みそを落ち着かせる為の、蜜柑なりの自主規制だ。

俺もその姿を見るのはかなり久し振りだったように思う。


それもそのはず。2年前、と俺と3人で大富豪やって以来だったのだから。


あの時は、飽きるほどやったっけな……。

俺はいつの間にか、2年前のに意識を持っていかれていた。

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SWEETERS! アーモンド @armond-tree

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