第2話 混沌
「被害者は真壁 結。29歳で、来年小学生になる娘がいる。で、30歳の夫、真壁 悠里が事件当時、同じベンチに腰をかけていたそうだ。薬物が死因らしい。自殺の際に多用される薬だ。」
先輩の斎藤が早口で述べている。川部は聞き流していた。自殺に多用されるとわざわざ付けたなら自殺で処理されていると考えたからだ。
「おい川部、どう思う。」
なんで俺に聞くんだよ。俺は彼が嫌いだ。学歴がいいだけで頭が悪い。そのくせ後輩に功徳を伝えようとする。正直言って無駄だ。飲みの席でもうるさいんだよ。
「先輩が自殺に多用と付け加えたのは自殺で処理されているから。そして、詳細を調べることになったんじゃないですか。」
どうだ斎藤といわんばかりの態度で言い放ってやった。顔の反応からして図星だろう。指示が出始めた。
面倒だがこの仕事は嫌いじゃない。イヤホンを耳に着け、音量を上げる。頭が壊れそうだが心地よい。指先で曲たちをなでおろし、一度だけタップする。
1曲目は、"stimulator"。
怪獣 @chamragne
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