怪獣

@chamragne

第1話 轟

 「連れてきてくれてありがとうね。」

海辺のベンチに座っているカップルはこんな会話をしているのだろう。もう十二月というのに、寒くないのだろうか。感心しつつ、缶コーヒーを飲み干す。血流よりも確かに体に染み渡る。明日に備えて早く寝よう。そんなことを考えていると、カップルの彼氏が彼女になにかを怒鳴っているのが聞こえた。

 別れ話か。若いのは大変だ。家への帰路を歩き始めるとなにかが破裂するような音がした。

 

 振り返ると、ベンチに座っている影は、一つだけだった。

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