応援コメント

時代に翻弄された犠牲者」への応援コメント

  • フランス革命についてプリンスの感想のやり取りは興味深いです

    そこに架空とは思いますが恋の行方も挟んで物語が進行
    凄いです^ ^

    作者からの返信

    フランス革命についてのプリンスの意見は、ほぼほぼ、評伝に拠りました。家庭教師のオベナウスのメモが残っているようです。ただ、ディートリヒシュタインが気の毒云々は、私の創作です。素で、ディ先生があまりに気の毒だったもので……。

    お褒め頂き、恐縮です。アシュラは創作なので、多少ひどい目に遭わせても大丈夫かな、と……。アシュラとフランソワだったら、そりゃ、フランソワを選びますよね、ウィーンの町娘だったら。

    お読み下さって、本当にありがとうございます。

  • ルイ・オーギュストは、ただただ、無防備なほどに善良な方でした。
    錠前師であり、研究者であり、時代の最先端を行く知識人であった。
    真心の人。
    国王としての資質があったかは疑問を持たざるを得ないけれど、国王としての責務への自覚は充分に持ち合わせていた。
    彼はアメリカを独立に導き、決して、暗愚でも無能でもなかった。

    マリア・アントニアは、ただただ、無神経なほどに友愛に満ちた方でした。
    他国で権力の頂点に立ったために陥った孤独に疲れ、気に入った相手に国庫の鍵を預けるような行動を繰り返した。
    慈愛の人。
    相手の示した好意と称賛にやすやすと心を開き、過剰なまでに愛を返そうとした。求められるままに。
    彼女は自らの欲のために浪費したのではない。愛するとりまきの涙や甘言、あるいは懇願に応えてしまった。

    お気の毒な国王夫妻。
    国民のために。
    親しい臣下のために生きておられたのに。
    すべてに裏切られた。
    家族だけが、拠り所となってしまった。

    それなのに、夫妻は誰のことも恨んでおられない。
    今際の際、フランスが自らの血で穢れることのないよう祈りを捧げた国王。
    最期の瞬間、偶然に踏んでしまった執行人の靴を汚さなかったか気遣った王妃。
    彼らに、一体、どれほどの罪があったと言うのでしょう。

    たった1票差で死刑に処された国王の人品が、正しく伝えられていないことに、もどかしさを覚えます。

    彼らに罪があるとしたら、害悪となる人間関係を断てなかったこと。
    臣下たちに分を弁えさせなかったこと。
    悪意や打算に満ちた宮廷を清められなかったこと。

    ……けれど、罪の大きさでは、彼らは最小に思われる。
    あんなに大勢の奸臣がいては、対処しきれなくても仕方がない。
    加えて国内も国外も情勢が急速に動いてしまったとあっては。

    時代が違ったら。
    宮廷内の人事が異なっていたら。
    国王に兄がいなければ。
    王妃に政治的知識と思慮分別があったら。

    彼らの代で革命は起きなかったかもしれない……。

    国民に慕われる名君として後世に名を残したのではないか?

    私は、そう、考えてしまうのです。
    濃密なまでに上質な、香気漂う せりもも さまの 物語に、そうしたことをとりとめもなく考えこみ、深い思索にふける時間を大切に過ごしています。とても貴重に思います。

    そして。
    この先の殿下には辛いことが増していきそうですね。
    最後まで、かみしめながら拝読したいと思います。
    お忙しい年末年始に、この寒さです。
    どうか、ご自愛ください。
    そして、新しい年も、魅力ある作品に触れさせてください。
    楽しみに、お待ちしています。

    佳き年をお迎えなさいますように。

    作者からの返信

    革命は、避けて通るつもりでした。一度踏み込んだら、決して這い上がれない……そんな予感がしていたのです。

    マリア・アントニアの育った宮廷は、そのまま、フランソワの育った宮廷でもあります。伸び伸び育った少女と、心を鎖さざるをえなかった少年。
    けれど、フランソワの心の純粋さ……貧しい人への慈愛や、必死に友情を求める気持ち、軍務により独立しようという強い気概は、確かに、ウィーン宮廷で育まれたものなのだと、ご感想を拝読して、改めて思いました。かつてのフランス王妃が持っていた天真爛漫さは、それゆえの美質は、明らかに、フランソワにも受け継がれていたのです。

    ルイ16世については、娘のマリー・テレーズの目が、正しく言い当てていると思います。おっしゃる通り、彼は、優しい王でした。最後まで民衆を愛し、擁護していました。
     ……時代が違ったら。
    本当に、その通りだと思います。民衆が飢えていなければ、経済がうまく回っていさえすれば、王への不満など、起きよう筈もなかったでしょう。むしろ、愛されていたと思います。

    父王を断頭台に追い込んだ一票こそが、オルレアン公フィリップ・エガリテによるものだと、ルイ16世の娘、マリー・テレーズは、生涯、彼を許しませんでした。それなのに、エガリテの息子、ルイ・フィリップに王座を奪われるなんて……。

    やはり、革命は、避けては通れないようです。改めて、強く、思いました。

    私の方こそ、頂いたご感想で、すごく深く、思いを致しています。ともすれば、フランソワに肩入れしそうな自分を省み、大きな目をご教示頂けています。今後の展開で、少しでもご恩返しができればと、己の力不足を不安に思いながらも、なにかこう、ぐっと掴めたようなものを感じています。うまく表現できないのですけれども。

    いつも、本当に、ありがとうございます。
    そしてこの度は、レビュー、それに、コメントまで頂いてしまって、申し訳ないくらい、感謝しております。
    なにより、フランソワを慈しんで頂けて、嬉しいです。ですが、ここに描いたプリンスに、少しでも価値があるとしたら、それは、モデルの力です。ライヒシュタット公自身が、愛に値する人だからです。

    とにかく誠実に、でも、目を曇らせずに、書き進めて参りたいと思います。
    そうなんです。もう少し先になりますが、辛く悲しいことを書かねばなりません。避けることもできるけど、それは、嘘だと思います。私にちゃんとできるか不安ですが、でも、きちんとお伝えしなければならないと思うのです。

    伴走して下さる方がいらっしゃるという安心感の中で、お話を織り上げていく幸福。初めての経験です。なんと、幸せなことでしょう。
    本当に、ありがとうございます。
    しかし、決して甘えることなく、できる限りの精一杯の力で、これからも臨んでいきたいと思います。それしか、ご恩返しはできないからです。


    本当に、寒い年末年始になりそうですね。どうか、充分にご自愛下さい。
    来るべき年が、汐凪様にとって、素晴らしいものでありますように。

    編集済
  • 当時のルイ十六世観ってそうだったんですね……

    まあ確かにどちらかといえばマリー・アントワネットのせいだったような気も……

    一年間、お疲れ様でした。即物的というか具体的利益として世界史の勉強にもなりましたし、とてもいい日々を過ごさせていただきました。来年も楽しみにしています!

    それではよいお年を!

    作者からの返信

    「臆病」というのは、どちらかというと、ライヒシュタット公の見方です。家庭教師のオベナウスは、そうじゃないと、叱責していましたし。確かに、フェルゼン伯に従って、素早く亡命していたら、或いは、処刑まではなかったかもしれません。しかし、ルイ16世は、最後まで、フランスの民を裏切りたくなかったのだと思うと(王の亡命は、列強諸国の軍隊に、フランスに攻め入る口実を与えてしまいます)、いい王様だったのかも。と、思えてしまいます。革命から生まれた軍人王・ナポレオンの息子は、キビシイですね……。

    鷦鷯飛蝗さんには、毎回、ご感想を頂いて、どんなに嬉しく、また、私自身、気がつかなかったことをたくさん教えて頂いて、(手前味噌になってしまいますが)お話そのものが、格段に、グレードアップしました。こんなことは、初めてです。どれだけ有意義で、幸せな経験だったことか!! 
    勉強になったのは、私の方です。本当に、ありがとうございました。(しかし、世界史の勉強……大丈夫でしょうか。そこだけは、不安です。随分、趣味に走りましたし)

    来年もお読み頂けるとのこと。もの凄い安堵感でいっぱいです。飛蝗さんのご期待を、決して裏切ることのないよう、また、私自身も悔いのないよう、精いっぱい、そして、誠実に、書いていきます。

    佳いお年をお迎え下さい。そして、来年も、とうぞ宜しくお願い致します!!

    編集済