相変わらずの不穏、剥がせない肩書にいちいち弄ばれて……
作者からの返信
剥がせない肩書……、本当にその通りです。フランスの民衆の、ブルボン復古王政への不満は、歪んだ形で、ナポレオン回顧へ、そしてこの詩がきっかけになり、その息子への期待へと、膨らんでいきます。
でも、もし、人々が、フランソワの実像を知っていたら? 彼は決して、青ざめたプリンスなどではなかったのですから。一流の教育を受け、父と同じく軍人への道を歩み、そして何より、父を誇りに思っていると、フランスの人々が知っていたのなら。
虚像だけを見て、いろいろ言われるのは、しかも、民衆の、不満のはけ口にされてしまうのは、ひたすら気の毒で、悲しいことだと思います。
そうして引っ張り出されても、ローマ王は不遇のままでしかない。
民衆は、彼のためには彼を愛さず、求めない。
ただ、己の幸福のために彼を担ぎ出そうとする。
それも、誰かの代替として。
父ナポレオンの。
あるいはフランス国王らの。
なんという暗愚。皮肉。悲劇。
歪んだ思慕と崇拝で、かえって孤独が増すだけ。
どうして。
お気の毒なフランツィスクス。
あなたが何者であろうと、ただ慈しみ、愛おしみ、大切にしてくれる方は、ずっと傍にはいてくれない。
こんなにも魅力的で、不世出な人となりをしておられるというのに。
作者からの返信
民衆は、彼のためには彼を愛さず、求めない……その通りだと思います。これは、フランスだけでなく、ドイツ諸国においても、ビーダーマイヤーの生き方、そのものでした。
しかし、私に、この時代の民衆を責めることはできません。なぜなら、一介の庶民に過ぎない私自身、現代日本の繁栄に、首までどっぷり浸かって生きているからです。私の小さな贅沢は、誰かの犠牲の上に立ってはいまいか。誰かが、私の代わりに、苦しんではいないか。この頃、しきりに、そう考えるようになりました。
……歪んだ思慕と崇拝で、かえって孤独が増すだけ。
結果、自分に近づいてくる人を、無条件で信じられなくなったのは、彼にとって、大きな不幸でした。しかも、それは、正しい処世だったのです。
お言葉の通り、誰か一人でも(肉親でも。友人でも)、そばにいて、彼の何もかもを認め、受け容れ、そして愛してくれたなら、彼の人生は、こんなにも、悲しくなかったのに、と思います。
とても嬉しいコメントを頂きました。ありがとうございます。
彼の孤独を、それ以上に、魅力を、是非、知って頂きたいと、発信し始めたお話です。
これからも、誠実に、描写をして参ります。私には、それくらいしか、このひとに、して上げられることが、ないのです。
きっとこの詩は史実だと納得します
ボナパリストが大きなうねりを上げていたと
作者からの返信
詩だけあって、バーセレミーの作品は、私には訳出できませんでした。何とか意味を汲み取り、構成したのが一連のお話です。
これにより、忘れかけていた人々も、かつての帝王とその息子を思い出しました。7月革命は、翌年のことです。