緻密な設定と本格的な短編小説
- ★★★ Excellent!!!
この作品の素敵なところは、非常に緻密な設定と考察が加えられているところである。
大英帝国の高官役職などは、保守的な国民性を投影してほとんど変わらずに残っているのが極めて現実的である。
また、日本人の有するある一定の自分勝手さについても皮肉的に表現しており、悲しくも、また冷笑を交えて読むことができた。
緻密な設定に裏付けされた作品であり、非常に興味深い内容で、続きについて妄想を膨らませてしまう時点で、この作品は私のお気に入りなのであろう。
また、別の作品があれば期待したい。
ただ、設定の説明が丁寧すぎて少々冗長にとられかねないのが非常に残念だ。作者の優しさで設定の解説があるのは非常に良いと思うし、無くして欲しくはない。これが伸びにくい理由ではないだろうか?
しかし、辛抱強く読めば、その先には緻密な設定に裏付けされた素晴らしい政治系SF作品が待っているのだ。
この作者には強く期待したい。