第3話 神々の世
「…ここ…どこ?」
目が覚めた
<あれ⁇わたしさっきまで大巫女様といて…それで刀を選んでて、呼ばれてたから…って‼︎>
「刀!
脳内パニックから抜け出した次は慌てて身の回りを見回した。宗近は自分から40cmも離れていないところで転がっていた。
「あった!」
はいはい状態で宗近との距離を詰め手に取った。そして立ち上がり、どうするべきかと考えあぐねた。
「どうしよう…ん〜…とりあえず人探す前に森抜けるか」
冴玖は人を探すため、森の中から抜けようと歩き始めた。
* * *
「誰もいない…」
歩き始めて3〜4時間は経過しているであろうが一向に森から抜けれず、あわよくばで人に出会おうにも出会えない。すると、耳ざとく目ざとい冴玖は水の音が聞こえた。
<水の音がする!近くに泉か湧き水があるんだ!>
獣道からそれ、獣道とも呼べないところを歩くと泉を見つけた。地獄に仏とはまさにこのことだ。喉がカラカラに乾いていた冴玖はその水を喉を鳴らして飲んだ。
「プファ〜!おいし〜」
感激の声を上げたとき、斜め右後ろの方でなにかが動いたのを感じた。現在風はない。風で草が揺れたと言うには無理がある。五感の全てを緊張状態にし、全神経を集中させてものかげの主を当てにかかる。
<私が動きを止めたことによって相手も動きを止めた…。相手のあの音からするに…相手の武器は太刀だな…宗近はここにあるけど…
なんの手出しもしない相手にこちらから仕掛けるのもな〜>
と考えるが逆を言えば、相手がわざわざ隠れてこちらを伺っているということになる。と開き直って冴玖は宗近を鞘から20cmほど抜いて一息で物陰を見た。
「わざわざ隠れてこちらを伺っておらずにここへ出てこい!」
脳内パニックの天才とは思えない気迫に自分も驚いた。しかし、冴玖がもっと驚いたのはこの後だ。相手は男だった。そしてそのまま抜刀し、冴玖に突っ込んで来たのだ。
「っ‼︎」
すんでのところで受け止めるもその衝撃は生易しいものではなく、並みの人なら骨折の勢いだった。
<こっちが下手に出ればいい気になりやがって…>
「ハァッ‼︎」
反撃しても男は余裕で交わした。それも、今まで誰一人としてかわせる者がいなかった技を軽々と避けたのである。冴玖にとってこれ以上の悔しさはないだろう。続けて突っ込んで行こうとしたとき、男が制止をかけた。
「素晴らしい捌きだ。俺も正直驚いた。此度はこれで終いだ。」
「勝手に仕掛けておいて、はいそーですかって引きさがれるわけないじゃん」
ギリッと奥歯を噛み締めて睨みつける。
「俺はタケミカヅチノオ。よろしくな、うら若き人間」
「その名って…あなた…タケミカ様⁉︎じゃあここは…」
やっと全てが繋がったと言わんばかりに回線に電気が通っていく。
「何を隠そう、アマテラス様のおさめる
漆黒の珠の導き 涼風 翔羽 @Shouha
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