第3話 クール


 下校中の女子高生、無表情な彼女が足を止めた原因は、ワンワン触れ合い喫茶というお店だった。

 建て看板には今日開店と書かれている。

 お店のガラス窓から、3匹のチワワが愛らしい瞳で彼女を見つめていた。

 彼女も、感情の分からない切れ長の瞳で見つめかえす。

 沈黙。



 喫茶店の中、テーブルに肘をつき椅子に座る、無表情の彼女の頭、肩、膝の上には、小さな子犬達が乗っている。


 そのまま、動かない彼女と子犬達。


 やがて、店の音楽が変わり閉店時間を知った彼女は、犬を床に置いて会計を済ませようとレジに向かう。

 

 その後を、無垢な瞳の子犬たちが追いかけてくる。

 それをみた彼女の切れ長の目には、うるうると涙が浮かぶ。

 子犬達の目もうるうると涙が浮かんでいた。


 その時、この店に初会員が誕生した。



 

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言葉の描写で10種類のタイプのヒロインを書き分ける企画をしてみた @kenshi

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