Ⅲ.アタシの実力は?
『タイミング今しかないと思うので言いますけど』
「うん」
私は真さんにさっきから気になっていることを話してみることにしました。
『真さん。私に何か隠してますよね?』
「い、いやー…そんなことは…」
『隠してますよね?』
どうやら図星のようです。真さんは私に何か隠し事をしています。
「わかった。話せばいいんだろ!」
『わかればいいのです。』
真さんはスタジオへと向かう足を止めず話します。
「実はさ、奏と琴音がバンドの話してるの聞いてたんだ。だから、アタシもバンドやりたいなって思ったんだ。」
『じゃあ、私が有名人って言うのは?』
「嘘だよ。ごめんな、騙すような真似して。」
やはりそうでしたか。この人は昨日私たちの話を聞いていて
それでバンドやりたいと思ったのですね。
一体どの辺りから…っとスタジオに着きましたね。
ドアを開けるとカナちゃんの顔が見えました。
「お・そ・い!どこ寄り道してきたの…って先生!?琴音まさか…」
『そう。今から先生を私たちのキーボードに相応しいか
試すの。いいでしょ?』
カナちゃんは私に確認をとるとすぐにキーボードを準備
し始めました。
『真さん、何を弾くんですか?』
私がそう尋ねると先生は少し悩んでから言いました。
「そうだなー、じゃあGet Wildにする。」
そう言うと真さんはキーボードの鍵盤を弾き始めます。
「おおー…すごい…。」
カナちゃんは食い入るように真さんを見ています。
でも私には気になることがあります。
『カナちゃんは真さんのこと知ってるんだね。』
カナちゃんは当然のことのように答えます。
「だって、あの人私のクラスの担任だから。」
なるほど、ならさっきカナちゃんが「先生!」
と呼んだことが自然です。
程なくして真さんの演奏が終わりました。
その時、真さんが衝撃の事実を口にしました。
「どう?元ETERNALSINGERSのナツコの実力は?」
私の聞き間違いでなければ今この人ETERNALSINGERS
って言いましたよね。
「あ、やべっ」
「え」
『え』
本当みたいですね。
「え、えー!」
カナちゃんの声がスタジオに響きました。
*
この後真さんは私たちのバンドのキーボードとして入ることになりました。
そして次はドラムをやる人を探すことになったのですが…
それは私のことを知っている人なのでした。
同時に私の過去についても明かされることになるとは
このときの私は思っていなかったのです。
year peace 奏鈴乙音 @kasumi2735
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。year peaceの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます