自主企画参加作品『私が魔法少女の詩を書くとこうなる』

　昔夢見たシンデレラ（灰被り）

　今は本当の灰被り（シンデレラ）

　不満いっぱいを胸にためて今日も事務処理。

　書類の山に埋もれて、灰をかぶりながら事務処理なの。

　昔夢見た理想の彼氏（てかせ）

　今は本当の手枷（かれし）

　振り向いてくれないストレスを胸にためて。

　今日も、縛られた心を引きずってスイーツを片手に愚痴るの。

　昔夢見た理想のお城（６.５畳）

　今は本当の６.５畳（お城）

　見慣れた天井と撮り溜めたドラマを見ながら。

　今日もスナックを肴に缶ビールを飲みながら、１日が過ぎるの。

　みんなが昔夢見た魔法少女

　ずっときれいで、ずっと可愛くて、ずっと理想で、ずっと憧れで。

　本当に、ただの理想（ハリボテ）で。

　昔手にして遊んでいた、なんとかステッキや、なんとかミラーケースとか

　昔着ていた、なんとかドレスは

　今必要ない。

　なんとかステッキやなんとかミラーケースは化粧品に変わったし、

　なんとかドレスはスーツに変わってた。

　そういう意味ではあまり変わっていないのかもしれない。

　自分を隠して、偽って、戦うための武器を手にして。

　世界と戦っているその姿は魔法少女になれているのかもしれない。

　魔法なんて使えない。一緒になって助け合う仲間もいない。

　ピンチの時に助けてくれる王子様や、ヒーローもいない。

　望んでないのかもしれない。でも、魔法少女はいつだって戦っていた。

　望んでもいないのに戦っていた。

　なんだったら私たちも、もうちょっとだけ頑張ってみようかな。

『私が魔法少女の詩を書くとこうなる』