第4話どうして知ってるの?

第4話

どうして知ってるの?


「お久しぶりです。」

「加藤さんですか?」

「はい。やっと会えましたね。」

「すごい雰囲気変わりましたね。」

「あ、ですよね。実は会社辞めたんです。」

「え、そうなんですね。」


亜美は少し嫌な気がして来た。


「あの、お話っていうのは。」

「実は、あるご相談があるんです。」


2人はカフェに入った。

席に着くと加藤が資料を亜美に渡した。


「俺は、亜美ちゃんに長年お金を費やしてきた。だから協力してほしい事がある。」

「え?協力って?」


加藤はある写真を亜美に渡した。


「これは?」

「俺をクビにした会社の社長の家だ」

「え?何するの?」

「実は、こいつは会社のお金を好き放題使っている。俺が内部告発しようとしたらクビにさせられたんだ」

「待って、変な事考えてないよね?」

「俺はこいつが許せない。だが証拠がないから警察にも言えないんだ。」

「どうしろっていうの?」

「俺が社長の事を呼び出すから、その間に通帳を取ってきてほしい」


亜美は席をたった。


「そんなこと言うの加藤さんじゃない。私の知ってる加藤さんじゃない」


亜美はその場を離れようとした。

すると加藤は素早く呟いた。


「お前の母さん退院したんだってな。でも、お前がキャバクラなんかで働いていたって言うのは知らないんだもんな」

「急に何よ。」

「お前の母さんはもうじき死ぬよ。」

「酷い。何言ってるの?あなたに何がわかるの?」

「実はな、お前の母さんの担当員は俺の弟なんだ」

「え?」

「今は元気でももうじき死ぬさ、そうしてお金が必要になってくる。どうだ?もし協力してくれたら、お前に費やしたお金の更に倍の金を報酬としてあげるよ」

「もう意味がわからない。絶対にやらないからね!」

「悲しいな。」

「あなたに悲しいって言われたって、私は全然痛くも痒くもないの!」


亜美は家に帰った。


「亜美ちゃん、どこに言ってたの?」

「あ、ちょっとね、知り合いがこっちに来てたから」

「そうなんだね。」


それから2ヶ月が経った。

母は凄い元気にしている。

加藤から言われた言葉が脳裏によぎるが、

亜美は全く知らんぷりしてた。


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「ママがキャバクラで働いていたなんて、初めて聞いたよ」

「今まで隠しててごめんな」


ミウは母親の写真を見つめた。


「でも、この時はまだパパとは出会ってなかったんでしょう?」

「そうだね。パパとママが出会う3年くらい前の話かな?」

「でも、知り合いってなかった時の話なんて、よく知ってるね」

「だって、ママと付き合う時に散々言われたんだもん。飽きるほどね」

「ふーん、ママもおしゃべり好きだったのかな」

「そうだね。あ、そしてね、ここから話は大きく変わって行くんだよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カフェで会ったきり、加藤からは連絡が来なくなった。

そんなある日、母が急に熱を出した。


「ママ大丈夫?」

「ごめんね、ちょっと最近調子が悪くて」

「一回病院に行って診てもらおう」


そうして、2人は病院に行った。

検査の結果、膵臓に癌が見つかった。


「膵臓癌です。」

「え?先生、母はどうなるんですか?」

「もう、手術しても意味がない状態です。」

「え?だ、だって、凄い元気が良かったんですよ!」


先生は悲しい顔をしながら、病室を後にした。そんな時、亜美はある事を思い出した。

加藤から言われた言葉だった。

亜美は急いで、先生の後を追った。


「先生、すみません。最後に一つ聞いても良いですか?」

「はい。」

「お名前はなんて言うんですか?」

「あ、申し遅れました。私加藤と言います。」


その瞬間、亜美の頭の中はパニックになった。


「な、なんでだろう。加藤さんはに知っていたの?」


亜美は、直ぐに加藤に電話をした。


「亜美ちゃん久しぶりだね〜、どうしたの?」

「な、なんであなたが知っていたの?!」

「あ、母さんの事か。やっと信じてくれたんだね」

「なんで、なんで知ってるの?!」

「知りたい?俺が君の事を指名した理由を」

「え?もともと知っていたの?」

「この前のカフェに来て」


電話が切れた。亜美は直ぐにカフェに向かった。


「亜美ちゃん、久しぶり。」

「どうして、あなたが知ってるの?」

「教えてほしいか?」

「え?」

「だったら、協力しろ。この前の件を実行したら全て教えてやるよ」

「私はあなたになんか絶対に協力しない」

「母さんが死んでもいいのか?あいつは死ぬって言っていたけど、本当はまだ可能性がある」

「卑怯だよ。」

「どうする?」


亜美の頭の中には、様々な場面が映し出された


「成功する確率はあるの?」

「80%だ。」

「そのかわり、私の母を助けて」

「成功すればな」


そうして、2人は計画を立て始めた。






第4話終わり

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母から授かった名前 シンショウ @shinsho7676

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