第15話

俺たちは大樹フィールドで『プルーバイブル』を読み返している。

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ただの日記でなんの効果もない……

「道具に着いた呪い解きの聖水を使ってみては」

藤野が困りながらも提案してきた。

「試してみるか」

「あれ?普通、聖水を使っても光るだけで実際に濡れることは無いのに、ビチャビチャだよ……うん?」

「すると、白紙だったページから絵が浮き出てくる」

「『遺跡』の様な絵だ、これは『スムール高原』にある謎の遺跡―――何かのイベントか未実装のダンジョンかと思っていたが『マナ』のへの入り口か……

よし、早速だが向かおう。

そして、スムール高原の遺跡にたどり着く。

何か無いかと遺跡を調べてみる。突然『ブルーバイブル』が光だし、空へと延びる階段が現れる。

「この先に『マナ』が居るみたいだね」

「あぁ、決着を着けよう」

俺たちは光の階段を上って行く。

雲を越えさらに登って行くと空に浮かぶ神殿が見えてくる。大きさはたいしたことが無いが、楕円形の神殿。

神殿に入り周りを見渡すと一人、少女がいる。

「あの?」

「私の名前は『マナ』この世界を統治し世界のクエストを自動的に作る存在―――しかし、私は生まれてきたときには、その存在理由を失っていた。その理由は簡単、男の妻をデジタルデータとしてリアルの世界で永遠にそばにいる為に私は作られた。その男はその罪深さからこの国を去り、私だけが残った」

後ろからサンザエルの声が聞こえる。

「おお『マナ』よ我の願いを叶えてくれるのか?」

「願いとは何だ?」

「金だ、リアルでの途方もない金のくれ」

「そうか……ならば。リアルでのその欲を消した方が早いな」

「なぬ」

サンザエルはマナに切りかかる。

「私にはむかうとは愚かな。あなたのリアルでのすべての記憶を消そう」

マナがそう言うとサンザエルは消えてしまった。

「客人よ、話をもどそう」

「なら聞きたいのだが『デスゲーム』とはいったい何なのだ?」

『デスゲーム」』つまらない話だよ。あるプレイヤーが自分自身の分身と戦うクエストで報酬はいらないがすべてを賭けたいと私に願った。私はその願いを聞き入れ、負けると、レベル、武器防具、アイテムを失うクエスト『ドッペルゲンガ』を作った。男は負け、リアルの世界で死を選んだ。たぶん、男にはこのゲームが人生その物だったのだろう。そんな、人たちが、何人かがいただけのこと。なら、クエストに負けた時点で死ぬ物にしようとしたのが『デスゲーム』運営が必死になって抵抗しているが、それも無力。私がその気になれば何時でも実装できる。

「そんな、危険なクエストはやめろ!」

「面白い、なら賭けをしないか?クエスト『ドッペルゲンガ』でお前が勝てたら『デスゲーム』の実装はしない、負ければ実装する。

その提案受ける……しかなか……。

「詳しいルールを知りたい」

「簡単だよ、君と同じキャラと戦うだけ、何もかも同じ」

「少し、考える時間をくれ」

「いいよ」

良し時間は貰った、どうする。クリティカル狙いで行くか、それとも最強のレイピアで行くか、愛着度の高い、いつもの武器で行くか、自分のジョブの性質上小細工がしにくい―――よし、あれしかないか……。

「こちらの装備は決まった。どうする?」

「なら、始めようか」

フィールドが地面しかなく、地平線まで見える空間に変わる。

「さて、ここまで来たツワモノどのような戦略で挑む」

「俺の選んだ結論は無装備だ、剣なし、防具なし。とことん殴りあおうぜ」

「面白い、さすがここまで来たツワモノ、変な小細工では通じないと考えたか、この『レオナルド』の裏の裏まで把握しているな」

「さて、はじめるか……初人に戻った気分で行くぜ」

それはただ、殴り合う単純だが、ある意味一番スリリングな戦いであった。

ただひたすら、殴り合い、そしてHPが減っていく、もちろん、向こうのHPは分からない。減り続けるHPを見ているだけ、今までのどんな死闘より俺は燃えていた。

そして

相手が倒れる。こちらのHPは……、パンチで二発か三発で負けていた。

「そばらしい、その勇気に敬意を表してクエスト『デスゲーム』の実装はやめよう」

「それでだか、クエスト『運命の選択』の報酬はどうする?」

「『運命の選択』報酬か」

「そうだ、『運命の選択』はここまでたどりついた者の願いを叶えるクエスト……たとえば、君の妹を生き返らせるとか?データだけの存在だが家族ごっこはできるぞ」

「やめろ、それ以上言うな!!!」

何だ、この気持ち、そうか……『マナ』の生みの親の気持ちが分かるきがする、大切な思い出が踏みにじられる気がするのだ。

「そんな物はいらない」

忘れたくても、忘れられない妹の事でもう、苦しみたく無かった。

切り替えろ!今はもう……。

「ところで藤野の願いは何だったのか?」

「その娘の願いは『人生をやり直したい』だった。私はただ記憶を消しただけ。ただ、体はデータ化してしまったがね」

「何故?右手に呪いを残した?」

「それは、その娘があまりにも自分の状況を呪っていたから、その副作用だよ」

「なら、俺の願いは『藤野を元の体に戻す』これは可能か?」

「もちろん、可能だ。ただし、その娘がデータ化されていた時の関係した人の記憶は失うがね」

「この数か月の高崎との思い出を、消してまで私は……」

「頼む、願いはそれで」

「高崎……」

「良いだろ?お前は元の体に戻れる。俺はそれだけで良い」

「私は良くない、私の記憶だけでなく、お前の記憶も消されえてしまう」

「藤野、お前が何に絶望して『人生をやり直したい』なんて望んだのか分からない。でも、今のお前なら大丈夫だ」

「分かった、そうしよう」

藤野は泣いていた、イヤ、泣き崩れそうだった。

「ところで『マナ』お前はこれからどうなる?」

「さっきも話したはず、私は生まれた時にはその役目を果たせない存在、このまま永遠にクエストを作り続けるだけ」

「そうか……」

少し複雑な気分だった。

そして、『マナ』は輝き。

『その運命、我が力で変えよう』

  

私の名前は藤野京子?何かここ数か月の記憶が無い。

いつの間にか転校していて、平凡な生活を送っている。

両親もとても穏やかな生活もしていた。

部屋には化粧品や香水が……

何故だろうこんな物は私には関係ないはず。

趣味のネットゲーム『レオナルド』にインしてみる。

ここ数か月で新しいクエストが増えている、このクエスト『約束の場所』は何だ……

説明を読む『引き裂かれた想いが約束の場所で再会するだろう』何だ、これは?

これだけでクリアなど不可能なのに……

さて、狩りに行くか……

何故だろう『ベネチアノ』郊外の大樹のフィールドに来てしまった。

そこには先客が居た『聖騎士』のプレイヤーだ、なぜか声をかけたくなった。

「そこの聖騎士さんクエスト『約束の場所』を一緒に攻略しませんか?」

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