ヴァーチャル・プライベート・ネットワーク・ガールズ

作者 吉野茉莉

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18人が評価しました

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★★★ Excellent!!!

多くのものが仮想化する時代では、死すら仮想化するだろうか?
などということを考えさせられる作品でした。

【良かった点】
・近未来の設定。
 現在、ネットの普及を背景に広がりつつある「広いパーソナル」。
 本作では、それをさらに発展させた世界感を描いている。
 将来こんな世界がくるのかな、と思わせるものだった。

・近未来を生きる少女たちの葛藤。
 上記の「広いパーソナル」の世界に生まれ、暮らす少女たち。
 他人とのつながりを仮想化し、充足する世界で、若い彼女たちは苦悩し葛藤してる。
 その線がよく描けていた。


【期待する点】
・おそらく作者は森博嗣のファンだと思う(私もファンなのでわかる)
 ともすれば、書く作品も森作品のパロディめいたモノになりがちだ。
 本作でもそういった場面が見られた。
 「私は森作品のパロディを書くのだ」という強い決心があるわけでなければ、改めたほうがいいだろう。

・主人公が主人公である動機。
 作品内でも主人公が自問する場面が何度かあったが、
 なぜ主人公が主人公なのか?という説得力が薄いように感じた。
 現実では偶然指輪を拾って王になる、という理不尽もあるかもしれないが、せめて物語には必然性を求めたい。

・ゲームの扱いについて。
 題材として「ゲーム」を取り扱う以上、ゲームの設定はもっと作りこむべきだ。
 それこそ、実際のゲームとして発売できるくらいの膨大な設定を求めたい。
 その膨大なバックボーンがあればこそ、作品がより輝くように思う。

・SF的ガシェットの扱いについて。
 近未来を設定にした作品なので、SF的ガシェットがたくさんでてくる。
 それは楽しくて良いのだが、どれも説明が長いように思った。
 ゲームを買ったときに説明書を読む人がいないので、最近のゲームは説明書がつかなくなった。
 その代わりにゲーム内でのチュートリアルが… 続きを読む

★★★ Excellent!!!

キャラクターは基本的に女の子オンリーですが、もたつきがなく、少年漫画のようなまっすぐさ、爽やかさ、テンポの良さで一気に読ませてくれます。

女性キャラがメインというと、可愛らしさとか仕草とかで魅せる「萌え」的な描き方が一番に思い浮かびますが、この作品はそうではありません。キャラクターたちがポンポンと配置されたかと思うと、その配置が一気に線で結ばれて、後半のストーリーに一直線に収束していきます。

キャラクターが容姿とセリフでシンプルに描かれて、あとは一気呵成に物語が進んでいく。こうしたシンプルで無駄のない造りは、個人的に、ひと昔前のRPGを思い起こさせてくれます。ストーリー内のある要素が、女神転生シリーズを連想させるからかも知れません。

ゲーム好きは特に、そうでない方も必読!