鬼と恐れられた伊達家の老将、左月斎の最後の勇姿を描いた作品です。「老兵は死なずただ消え行くのみ」という言葉がありますが、左月斎は伊達家の未来の為に残すべきを残し、不要な禍根は一切残さずに最後の仕事をやり遂げます。読んでいて胸が熱くなりました。老人好きにはオススメの逸品！

いいですね～頭の中に渡辺謙と長さんの映像が自動的に出て来てしまいました。この話次の信長の野望のカットに使って欲しいと個人的には希望します

その美しさに目をみはる。
それが読後の感想でした。

歴史は好きですが、そこまでのめり込むことなくで過ごしてきた読者です、僕は。

しかし、その時代背景、関係性をこの短編で書き切られている感がありまして、時代小説としては丁寧かつ、説明的になりすぎていなく読みやすいと個人的に思っています。

何より鬼庭左月斎の生き様に惚れる。
決して若くない年になってきたオッサン読者としては、左月斎のような生き様、その背中を追いかけてみたいものです。

そんな胸熱な短編でした。
読んだ後に気になった単語を調べたらなお、世界が広がると思います。特に今回の物語の奥の手とか、ね。
僕、そんなことも知らなかったので「へぇ」と思ったのでした。

老将と聞くと、中国では三国志の黄忠、日本では平家物語の斎藤実盛が有名どころでしょうか。
しかし、知勇兼備の老将として忘れてはいけない人物が、戦国時代の伊達家にいました。その名は鬼庭左月斎――斎藤実盛の末裔と言われる猛将です。

この物語は、若き日の伊達政宗を導いた鬼庭左月斎の最後の戦いを描いた闘将記。彼がいかにして伊達家運命の決戦・人取橋の戦いで戦死し、その命と引き換えに伊達家を救ったかが、戦場の臨場感が伝わる文体で活写しています。

そして、作者様は伊達政宗大好き人間なので、これでもかというほど伊達家への愛を作品に注ぎ込んでいます。文章で分かる。ああ、この人は伊達家の武将たちを愛しているんだなと。そんな作者様だかからこそ、鬼庭左月斎の最期を激しくも美しく描くことができたのでしょう。

短編だから短時間で読めますし、戦国武将の熱い戦いを読んでみたいという方はぜひご覧ください。