夏の終わり。汗ばむ素肌の匂い、田舎の空気、朽ち果てた家に奇病の姉。蝶にも蛹にもなれなかった彼女とその弟は、人間だとすら思われていなかった。そして芋虫にもなれなかった。
作詞が主ですが小説も書きます 主に怪談、恋愛ものが得意です プロレスや格闘技が好きで観戦記・紹介エッセイも書きます デヴィッド・リンチ、テリー・ギリアム、…
簡潔でいて鬱々とした、それなのにどこか綺麗なストーリー。この世界はこれでいいのだ。世間から見ればどのような価値観なのかは問題ない。ただ「僕」にとってはこれでよかったのだと、この世界は美しいのだと、…続きを読む
狂気に彩られた物語。その狂気とは、それに囚われた者に言うべきなのか、それに追い込んだ者に言うべきなのか。家長制の旧時代の日本では、家の名聞の為、気狂いとされた者達を、座敷牢等に押し込んだと言う。…続きを読む
拝読し終えたとき、舌が融けるように熱かった。もう降車駅についているというのに、電車の中で少しの間動けなかった。彼らの劣情を知っているとは言い難いけれど、この痺れるような熱さは、きっと私がこの物語…続きを読む
なんと美しい物語だろう、というのが読了後に初めて抱いた感想だ。恐ろしく純粋で何よりも淡々とした、少年の青い狂気が静かな森の香りと共に漂うような──そんな、美しい物語。恋というにはあまりに重く、愛…続きを読む
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