エピローグ
エピローグ
「ねえ、いつになったら出発するの?」
そんな妻のご指摘に、私は夢から覚めた。
「そうだね、行こうか」
私は急いでギアをパーキングから、ドライブに入れようとして、行き過ぎてセカンドギアまで行ってから、また戻した。
そして最後にもう一度少年に目をやった。
ちょうど、母親らしき人物が迎えに来たところだった。
少年は、遅いよ、と行ったふうな素振りを見せているのが窺えた。
きっと彼がこれから帰る暖かい家庭は、明るい未来であふれていて、戦争や飢餓に苦しむことのない場所なんだろう。
こんな寒い夜だから、早くこたつにでも入って、お母さんに暖かい料理を作ってもらえ、そんなことを心の中で呟いてから、私はゆっくりとアクセルを踏んだ。
ECOのマークが点灯する、やっぱり少し嬉しい。
そのまま私の車は、ゆっくりとセブンファイブの明かりを離れ、夜の闇へと飛び込んで行った。
(了)
少年は今日も◯◯を待っている 木沢 真流 @k1sh
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