ブラック上司こと男主人公の思考過程が実にリアルで、スリリングな面白さがある。後半のファンタジー色が強くなる切り返しも鮮やか。配役を工夫してテレビドラマにしたら、大ヒットしそうな内容だけど、このラストって、いかにも日本ドラマ的な定番だってことがイマひとつ説得力に欠けるかな、だから星ひとつ……って話数を確認して驚いた。どんでん返しの13話、全部で26話、2クールだ!
作者さんが意識的か無意識的かさだかではないが、この話は最初から日本テレビドラマの世界観を持っているのだ!現実を模した登場人物たちはその世界観に巻き込まれて、現実ではありえない展開とカタルシスを得てしまったのだ!
現実のパワハラも、それによる死も、決してなくならないが、残酷さを軽くするための答えのひとつが、ここにあると思う。
それがいかに、くだらないものであったとしても。
星みっつ。
ところで、貴方の考えるキャスティングは誰ですか?
ブラック企業ものは沢山あるけれど、その中でも比較的珍しいと思われる「ブラック企業の上司」に注目した作品。
主人公の持田は映画の配給会社に務める中年男性だ。彼は直属の部下である赤間に対し、無自覚でパワハラと思われる行為を繰り返していた。そんなある日、ついに大きな出来事が起きてしまう……。
読みながら、持田のように無自覚でパワハラなどを行う上司は現実にいるのではないか、と思った。昔と今を比較し、無意識のうちに自らが新人だった時の基準を当てはめる。当人にとっては当たり前だったそれが、現代で言うパワハラやブラック企業だとは夢にも思わずに。