Ⅸ
普通に喋って欲しいんだが、と思いながらも、自慰の時に声を発していたのなら、少し弄ってやれば声を出すのだろうか、と思いマリアが履いていたスウェットに手を差し入れ、その肉房を手に取る。
「マリア、ルースって言ってごらん?」
手に余るくらいのマリアのものを左手で包んでゆるゆると扱いてやると、吐息の中に短い喘ぎが混ざり始める。
「んっ、あっ、やっ……るぅ……す……」
「うん、もう一回。ルースって言ってごらん? 言わないと止めるよ?」
「あ、やぁだ、やぁだ、ルース……やめ、いや……」
「うん、もっと鳴いて……マリアの声が聞きたい」
「んあっ、あ、あ、して、して」
「何処をどうして欲しいのか、ちゃんと言ってごらん? 喋って、ちゃんと伝えて」
性技を何処で仕込まれ多のかは知らないが、マリアは相手の欲を掻き立てる仕草を良く心得ている。
言葉に出来ないわけではないだろうが、マリアは空いているルースの右手を取って指を舐め始めた。
「指、美味しいのか?」
「これ、ほしい……んっ……じゅるっ」
咥えられた指で上顎をなぞってやると、とろんと眸を潤ませて待ちきれないとばかりに堪えた様な顔をする。
細い肢体を撓らせて腰を押し付け、熱に浮かされた様な眸で見られるだけで、自分が保護者である事などどうでも良くなりそうだった。
あぁ、もう、愛し方を変えよう。
十五も年下の、まだ未成年だというのに、言うなればこれは犯罪だと言うのに、肉欲に素直すぎるマリアにはどうしても抗えない。
ルースは膝に抱えていたマリアを、座っていたソファに横たえると、乱暴に服を剥ぎ取り、両足を大きく広げて待ち焦がれているであろう孔をマジマジと見遣る。
息を継ぐ様に収縮しているそこは、熟れたチェリーの様な鮮明な赤で誘っていた。
この小さな孔の中を全て征服して、この少年を独り占めしたい。
こんなにまで強く誰かを欲する事がルースの記憶にはない位、滾っていた。
マリアが舐めた右手の人差し指を差し込むと、きゅっと肉壁に遮られる様な圧力があった。
「あっ……あっ!」
マリアが息を継ぐ度に奥深くへ沈んで行く人差し指は、ルースが動かそうとしなくても勝手に飲まれて行く。
抽挿を繰り返す度にマリアの甘い喘ぎが、リビングの窓から差し込む冬の弱い日差しの中に響いて、それすら官能的だった。
ソファに横たえてからは一度も触れていないマリアのものからは絶えず蜜が溢れていて、ルースは分かっていても敢えて中の硬い所には触れない様にしていた。
「あっ、んっ、も……るぅす……」
「イキたいか?」
「う、んっ……」
「指で良いのか?」
「あ、や、ゆび、やっ……」
「気持ち良さそうだから、指でイカせてやろうか?」
ずっと避けていた根本の硬い所をゴリゴリと擦ってやると、マリアは腰を浮かせて嬌声を上げた。ルースはマリアを見ていると、酷く嗜虐心が擽られて、いつもなら言わない言葉を言わされている様な気になっていた。
マリアには自分にこんな一面があった事を引き摺り出される様な、知らなかった覆い隠していた残忍な自分を誘い出される様な何かがあった。
マリアには猛毒があって、触れる度にそれが自分を浸食して行く様で、優しくしたいと思っているのに、壊してしまいたいほど愛おしくなり、その混乱の中で理性がジワジワと壊れて行く音が聞こえる。
「お前を愛したいんだ」
ルースは自分にそう言い聞かせる様に呟いて、硬く芯を持った自分の怒張をマリアの後孔へと宛がう。
今なら兄が弟に、父親が息子に狂った気持ちが分かってしまいそうで、ルースは恐ろしくなったのだ。
この愛おしい存在が他人のものになった時、自分はもう立ち直れないような気がする。そうなれば、常識や倫理の範疇等どうでも良くなりそうだった。
憎しみを持ってでも自分の傍に置いて縛り付けて置きたくなるかもしれない。
「あい、して、る……ぅす」
「あぁ――愛しているよ、マリア」
ルースはそれから何度も何度も吐精を繰り返し、壊れてしまうのではないかと思う程にマリアを抱き潰した。
幼く開いたばかりの蕾の様なその甘い肢体に、ルースは酔い、狂って行く。
近隣住人の通報により、医師ルース・レイチェルが自宅にて恋人と思われるマリア・ユダという名の日本人男性の遺体を埋葬せずに保管していた事が明らかになるのは、この七年後の事だった。
マリア・ユダの死因は病死とされたが、ルース・レイチェルは五年もの間、防腐処理を施したマリアの遺体と共に、暮らしていたと言う――――。
愛して、ルース。
事情聴取を受けたルースが「私は彼を愛しただけだ」と証言した事は、世間を騒がせる事となる。
melancholic love 篁 あれん @Allen-Takamura
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