暴言カレンダー外伝 すごいよ!カスミちゃん(後編)

 そして翌日の放課後。

「うーさみーさみー!」

「当たり前じゃない。一月だもん。そんなことより――」

 試合開始の三十分前。私は亜美ちゃんと二人、校門の前に立っていた。

「こんなところにいて大丈夫なの? 早く準備しないと」

「まあまあ。今ちょっと人を待ってるから」

「人ォ?」

 ――数分後。待ち人はやってきた。

「あっ! こっちこっちー!」

「えええええ!? 誰ええええ??」

 その人物を目にした亜美ちゃんは思わず『美人すぎる……』などと呟いた。

「あのねえ……なにを考えてるのよアナタ。脳味噌プリンプリンおけさなんじゃないの?」

 などと呆れ顔で現れた一人の女性。艶のある長い黒髪、少々目付は鋭いが完璧に整った顔立ち、芸術的としか申し上げようのないボディライン、そしてなにより見るものを圧倒する強烈なオーラを持った女性だった。

「あやめさん! お久しぶりですー! 元気だった?」

 殺村あやめさんは大きな白い溜息をついた。

「元気だった? ではないでしょう。なんのつもりよ。こんな所に突然呼び出して」

 以前よりも少しだけ雰囲気が丸くなって、よりキレイになったような気がする。

「言ったじゃないですか。最高のカタルシス。すっげえザマア感をプレゼントしますって!」

「具体的には?」

「ナイショです! さあさ! 家庭科室まで案内しますね!」

 あやめさんの右腕に両手を絡めて歩き始める。やれやれと呆れた様子ながらもイヤそうではない。亜美ちゃんも「すいません! ごめんなさい!」などと叫びながらその後ろをついてきた。


 家庭科室は超満員札止めの観客で溢れ返っていた。

 悪ノリした生徒会が普段使っている机や椅子は廊下に出して、観客席としてパイプ椅子をたくさん並べてくれたため、マジで百人くらいの見物人がいる。

「レイディースアンドジェントルメン! それでは世紀の一戦! 日本一バカウマスイーツを作るバカJCはオレだ! 火野カスミVS殺村ころめ! 平成の巌流島スイーツウォーズを開始致します!」

 そして悪ノリした放送部が実況を務めてくれる。

「まずは赤コーナーより! 世界一高慢なJC! かつてこれほどまでも萌えない美少女がいただろうか!? マチダ中学の腐敗細胞! 殺村ころめの入場です!」

 家庭科室に隣接した、控室がわりの家庭科準備室から『UWFのテーマ』に乗って殺村ころめが入場する。観客はブーイングを送った。しかし。リングサイドに陣取った取り巻きたちがそれを打ち消すような大歓声を送った。

(やれやれ。同じお嬢様でも萌美お姉ちゃんとはエラい違いだ)

 私はそれを家庭科準備室から覗いていた。

 さて次は私かな?

「続きまして青コーナーより! マチダ中学の卑猥メーカー! 口を開けばシモネタばかり! なのに本人は至って色気ゼロ! でもなんか好き! なんだかんだ人気者! 火野“ザ・ブラコン”カスミの入場だああああああああ!」

 父が現役時代に使っていたテーマソング『FIRE』に乗って入場。

 大歓声とブーイングを同時に浴びながら、演劇部が悪ノリして作った『料理の鉄人』で使うようなキッチンステージに足を踏み入れた。

 観客席を見回す。一番後ろの席ではあやめさんがポカンと口を開けてステージを見つめていた。

「よくぞビビらずに上がってきたわね! 貧乏一族の路地裏のドブハムスターが! ケチョンケチョンのバンバンビガロにして差し上げますわ!」

「えーっと……。ファック! アナルファック! エロ同人誌で輪姦されちゃえ! 十人ぐらいに! マザファッカ!」

(あやめさん見せてあげますよ! にっくき敵を倒すところをね!)

 私は客席のあやめさんに目くばせをした。


 ジャジャーン!

 悪ノリした吹奏楽部がゴング代わりにシンバルを鳴らしてくれた。

「さあ。両者食材を取り出す! おーっと! ころめサイド! これは凄まじい!」

 ころめはこれみよがしにキッチン台せましと食材を並べてみせた。

 マスクメロンにシャインマスカット、高級白いちごの『天使の実』などなど。

(ふん。高いもん使えばいいってもんじゃないよ!)

「対して。カスミサイドは小さな風呂敷包みがひとつのみ。果たしてなにが入っているのか!?」

「ふん。どうせ貧相な食材に決まってますわ」

 ころめがそのようにホザく。

「見たい?」

「そんなもん見たくでもですわ。まァイヤでも目に入っちゃうでしょうけど」

「へえ。見るのがイヤなんだ。それなら――」

 私はブレザーの内ポケットから秘密兵器を取り出した!

「なっ――!」

「なんだあ!?」

「とんでもないものを!」

「キイイイイイヤアアア!」

 ――客席騒然。

「こ、これは! エロ本だあああ! 裸の男が抱き合っているうっすいエロ本がたくさん! キッチン台を囲むようにしてバリケードを築き上げたあああ!」

「へへへ。出来上がるまで見せてあげない!」

 ころめは顔を真っ赤にしながらムキー! と地団駄を踏んだ。

「クッソー! また私より目立ちやがってー! ころす! ぜったいにころしてやるううううう!」

「ふんだ! 死なないよー! 私は腹上死するのが夢なんだから!」


 ――ゴオオオオオンンンン!

 ワルノリした神社仏閣研究会が試合終了の合図を告げる除夜の鐘を鳴らした。

 両者のキッチン台には大きなクロッシュ(料理番組とかでよく出てくる鉄製のドームみたいなフタをするヤツ)が五つずつ鎮座していた。中に隠しているのは当然ケーキ。

「それでは! 審査の方に参りたいと思います!」

 審査員席の長椅子に座るのは五人。

 全校生徒からくじ引きで選ばれた四人と――

「さあ。審査委員長のスーパー妊婦揉山先生はこれをどう評価するでしょうか?」

 モミちゃんはニコニコと微笑んで審査員席の真ん中に座っていた。

 今日は彼女にとって最後の登校日となるらしい。

「それでは! 先攻は殺村ころめ!」

 ころめの取り巻きたちが銀色のクロッシュに姿を隠したケーキを審査員たちの前に置く。

 五人は同時にフタを開けた。

「おおおお!」

「なんだこれ!」

「うまそー!」

「ぜったいうまい!」

「あら。すごいわねえ」

「ホーーーホホホホホホホホホホホ!」

 ころめがいまどきマンガでも効かない高笑いを上げた。

「ま、確かにスゴイっちゃすごいね」

 ころめのケーキはひとことで言うと、

「見た目はカワイイね。ラブホテルみたいで」

「ラ、ラ、ラ、ラブホテルですってええええ!? 私の芸術品『ケーキ・デ・シンデレラキャッスル』をラブホテルですってええええ!?」

 だってそうなんだもん。この赤いとんがった屋根がニョキニョキ生えたド派手な造形や、たくさんのフルーツがてんこもりでやたらめったらにカラフル、クリームがテカテカ光った様子はラブホテルそのものとしか申し上げようがない。

「褒めてるんだよ?」

「くっ! まあいいわ! とにかく! 審査員がた! 食べてちょうだい!」

 そういいながらなぜか私の所にも余ったケーキを置いた。

「えっ? くれるの?」

「ええ。食べてあまりのおいしさにズコズコに腰を抜かして、敗北感のあまり私の靴をベロベロに舐め倒すがいいわ」

「わーい。食べるー」

 審査員たちと私は同時にケーキにフォークを刺した。

「ふふふふふふふふふふふ。どうかしら?」

 審査員たちは口々に感想を漏らした。

「うまい!」

「まさにゴージャスな味!」

「めっちゃ美味しい! シャインマスカットってこんなにうまいんだなあ」

「このマスクメロンが乗ったところが最高!」

「美味しいわあ」

 ころめは両手を腰に当て私を見た。

「アナタの感想はいかがかしら? ものすごい勢いで食べてらっしゃったようですけど。ふふふふふ。口の周りがクリームだらけですわよ」

 邪悪な笑顔をうかべつつ濡れた唇をハンカチで拭いてくれた。

「感想? そうねー」

 とびっきりの笑顔で回答した。

「思った通り! あんまり美味しくなかった!」

 客席は騒然。ころめは般若のように顔をゆがめた。

「な! な! な! あんなスピードで食べ散らかしておいて!」

「だってオナカ空いてたんだもん。いつもだけど」

「このケーキのどこがいけないっていうのよ!」

 私はいやみったらしく両手を横に出してやれやれのポーズをして見せた。

「わからない? これは金ものを言わせて美味しい食材をケンカさせてるだけ。イチゴもマスカットもマスクメロンも、単品で食べたほうが美味しいと思うな」

 ころめの顔に動揺の色が浮かんだ。恐らく自分でもうすうすは感じていたのであろう。

「料理とコスプレAVで大事なのは素材じゃないよ。テクニックと工夫。そしてまごころ」

 私は自分のキッチン台に戻り、ケーキの入ったドームを審査員の前に並べた。

 モミちゃんは私と目が合うと柔らかくそしてエロく微笑んでくれた。

「さあ。火野カスミサイドは調理中、やおい本で常にキッチン台を覆っていたため、完全に初公開ということになります! 今ベールが脱ぎ捨てられるーーーーー!」

 審査員たちは同時にころめのとき以上の驚声をあげた。

「これぞ食材費ゼロ円の究極ケーキ『白無垢』」

 皿の上に置かれていたのは真っ白な球体だった。

 一点の曇りも余計な装飾も一切ない。ただただ白く輝く球。

「なんだこれは!」

「これがケーキ!?」

「美しいと言えば美しいけど……」

「味はどうなんだ? この白いのはタダの生クリームか?」

「これは……まさか……」

 ころめはまたオーホホホホホ! などとお嬢様笑いを炸裂させた

「なあにい? これえ? 生クリームしかトッピングされてないケーキなんてコンビニのケーキ以下じゃない! こんな丸い形にして誤魔化したって無駄よ! 味が貧相なのはごまかしようがありませんわ! あなたの負けね! やっぱり貧相な人間の作るものは貧相にすぎないってことね!」

「ハイハイ。じゃあそこまでいうならあなたも食べてみる? 私が自分で食べようと思ったぶんだけどしかたがないか」

 ひとつ残ったものをころめに渡した。

「ではいただだきましょうか。どんな味なんだろうなあ」

「こんなもの! 美味しいハズがありませんわ!」

 審査員たちところめは一斉にケーキを口に含んだ!

(ぜったいにうまい! うまいはずだ!)

『白無垢』を口に含んだ六人は全員同時に目ん玉をおっぴろげた。

「うお! なんだこりゃ!」

「こんなもの食べたことない!」

「うんめええええ!」

「うますぎるううう!」

(――よし!)

「これってやっぱり……」

「なんだろうこの優しい甘味……」

「舌を包み込むようなはんなりとしたコク……」

「まるでお母さんのような優しさだ!」

「強いバブみすら感じるな」

(ふふふ。みんな案外と勘がいいじゃない)

「バカバカバカバカバカな!」

 ころめが私のもとに駆け寄り胸ぐらを掴んだ。

「あんた! なにかとんでもないものを入れたでしょ! キケンドラッグとか!」

「そんな包丁人味平のカレーじゃないんだから。でもそれって美味しいって認めるってことだよね」

「ぐうううううう!」

 胸ぐらを離し私を軽く突き飛ばした。

「教えてくれ! 一体なにを入れたんだ!」

 審査員の一人が尋ねる。

 私は芸術的なまでのドヤ顔でそれに答えた。

「ひとつは牛脂。この地球上で唯一0円で買える物体。そしてこの地球上で最高の調味料」

 一同感嘆の声をあげた。

「そうか! 牛脂か!」

「この深くて濃厚なコクは牛脂のものか!」

「でもそれだけではこんな優しい甘味は――」

「もちろんそれだけではない! もうひとつの秘密は――」

 すると。審査委員長がゆっくりと小さく手を挙げた。

「ふふふ。どうしたの? モミちゃん」

「私分かっちゃいました。このケーキの味の秘密」

「やっぱり分かっちゃったかあ」

「分かるよー!」

 審査員たちや観客は顔を見合わせる。

「先生! 味の秘密とはなんですか!? このケーキには一体なにが入っているんです!?」

 するとモミちゃんは顔真っ赤にしてうつむかせた。

 代わりに私が回答する。

「秘密は――――――――――――――――――――――――母乳!!!」

 会場中で驚きの爆弾が爆発した。

「だ、だ、だ、誰の!?」

 モミちゃんがまたゆーっくりと手を挙げた。

「えええええ!? 先生の!? あげたんですか?」

「だってどうしても欲しいって土下座されちゃったから……」

「おい! 火野! なんつーこと頼んでるんだ! おまえネジぶっとびすぎだぞ!」

「いやむしろ上げる方のほうがどうかしてるぜ! この人とんでもねえええ!」

 私はテヘペロっと舌を出した。

「だがしかし! そう言われてみれば納得だ! このお母さんのような優しさは確かに母乳のものだ」

「確かに! 赤ちゃんのときの記憶がフラッシュバックするようだ!」

 審査員たちはケーキを一気に食べきってしまった。

 モミちゃんは「まあそんなに喜んでくれるならいいか」的な顔をしている。

(――よし!)

 私は勝ちを確信した。だが。

 ――バキュン!

 銃声が会場内に轟いた。

 いつのまにかころめの取り巻き立ちが全員手に銃を構えていた。

 その銃口が一斉に私に向く。

 さすがにエアガンだとは思うが私は両手を挙げた。

「な、なによ! なにか文句あるの!?」

「あるに決まってるでしょう! おおありよ!」

 ころめ自身もポケットからチャカを取り出す。

「揉山先生。今の話が本当なら。あなたは審査委員であるにも関わらず、片方に強烈に肩入れして、切り札となる食材を提供した。こんなことが許されるとでも?」

(――しまった!)

 私は慌ててフォローに入る。

「モミちゃんは悪くないよ! 私がこの対決に使うことはナイショにしてムリにもらったんだから!」

「へえ。じゃあ誰が悪いの?」

「そ、それは?」

「あなたよね? あなたしかいないわよね?」

 首をタテに振るしかなかった。

「ではこの勝負。あなたの反則負けでいいわね」

 ――そんな。

 私はがっくりとヒザをつく。

「さあ放送部! 早く勝ち名乗りをあげなさい!」

「え、えーっと……。火野サイド反則により、殺村ころめの勝利……?」

 観客席からは凄まじい大ブーイング。空き缶やペットボトルを投げ込む男子もいた。

「BOOOOOOOO!!!」

「ふざけんなバカ野郎!」

「殺村しんじまえー!」

「金返せーーー!」

「いや! 金は払ってない!」

(あやめさん。ごめんなさい)

 最後方のあやめさんはなんとも言えない表情で腕を組んでいた。



 ――この物語はフィクションです。

 実際に母乳でケーキなんか作ったら絶対オナカ壊すし、妊婦さんのカラダにもいいわきゃないのでやめましょう。



 試合終了後。

 残念会ってことでマチダ商業高校の生徒会室であやめさんと二人でお茶を飲んでいた。

 夕焼けが大きな窓から差し込んでイイカンジ。紅茶もとっても美味しいのだが、どうも楽しい気分にはなれない。

「まったく……あなたねえ。その変態性をどうにかしないと将来大変なことになるわよ。母乳ケーキって……」

「大変反省しております」

 と深くアタマを下げる。

「でも私。どうしてもあやめさんのカタキを討ちたくて」

「カタキ? ころめのこと?」

 そういって私のアタマをそっと撫でた。

「確かに久しぶりに見ても相変わらず、超のつくクソガキだったけど。別にカタキだなんて思ってないわよ」

「え? そうなんですか? さんざんいじめられてあげくに家を追い出されたって……」

「確かにその通り。でもね。考えて見なさいな。あいつらが私をイジめていなければ、私はこの学校に来ることはなかったのよ」

 あやめさんはニカっと歯を見せて笑った。

「そしてあなたやあなたのお兄さん。春日さんや千代美さん、芥川さんたちに出会うこともなかった」

 そういって生徒会室の窓を開け放つ。爽やかな風が部屋に満ちた。

「あの……」

 私はあやめさんに尋ねる。

「先輩は。この学校に入って良かったと思いますか?」

 あやめさんは間髪いれずに、

「ええ」

 と微笑んだ。

「わかりました! 私も! 受験勉強頑張ります! この学校に入れるように!」

 するとあやめさんは手を口に当てて苦笑した。

「試験まであと二週間だけど大丈夫? ま、それそうと」

 あやめさんはこの世のモノとは思えないほどエレガントな仕草で立ち上がり、私の背後に周った。

「あ、あやめさん!?」

 首に手を回される。髪の毛から桃源郷のような匂いがする。マズイ! レズの沼に引きずり込まれそうだ!

「ねえカスミちゃん」

「ひゃ、ひゃい!」

 ポニーテールのしっぽを触りながらねっとりとした声で尋ねてくる。

「なんで私のためにあんなに頑張ってくれちゃったの? 私はあなたの敵じゃないの?」

「えっ!? 敵!? なんでですか!?」

「だってあなたは春日さんの側でしょう?」

 ふざけた感じに長い髪の毛を首に巻き付けて、きゅっきゅっと締めてくる。

 私までドMに目覚めそうだ!

「違いますよ! 確かに萌美お姉ちゃんは大好きですけど、あやめさんのことも好きですよ! だから中立です!」

「ふうん……ちなみに……」

 髪の毛のさきっちょで耳をさわさわと刺激してくる。ヒャイン! などとメスブタの声が出てしまった。

「今のところ、あくまで今のところよ。どっちが優勢だと思ってるの?」

 ウソをついても誤魔化せそうにない。素直な意見を言うことにした。

「ロクヨンで春日さんです……」

「だったら私に協力するのがスジってものでしょう?」

 言われてみれば確かに……。でも……。

「ちなみに――」

 そう言って私を解放し、クローゼット脇に配置された冷蔵庫を開いた。

「これはワイロよ」

「うっ――! これはあの知る人ぞ知る名店リリエンベルグのザッハトルテ!」

「さらにさらに」

「これは――! 幻の極上松坂牛牛脂!? 一個五千円をはするというあの伝説の!」

 食い物につられてグラングランに心が揺らぐ。

「さらに――」

「今度はなんですか!?」

「わたくしでしたら。あの『白無垢』の材料を提供してあげてもよろしくってよ」

「ええっ! マジっすか!?」

「ええ。だって食べてみたいもの」

(くう! あやめさんのアレで作った白無垢! 絶対美味しい! でもでも! あの萌美おねえちゃんとお兄ちゃんと三人で過ごした日々――!)

「や、や、や、やっぱり決められません!」

 私は生徒会室から逃げ去った。

 全速力で走りながら――

「ああもう! しゃらくせえ! めんどくさいから重婚しちゃえばいいのに! おっぱいも母乳も二倍になるし!」

 などと叫んで高校生の度肝を抜いた。


 私! 火野カスミ! お兄ちゃんとシモネタが大好きな中学三年生!

 どのくらい好きかっていうとね!

 お兄ちゃんの将来の母乳の心配をするくらい! お兄ちゃんとシモネタが大好きです!

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毎日殺伐!日めくり暴言カレンダー! しゃけ @syake663300

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