暴言カレンダー外伝 すごいよ!カスミちゃん(前編)

 オッス! 私、火野カスミ! お兄ちゃんとシモネタが大好きな中学三年生!

「起きろオラァ!」

 私の一日はお兄ちゃんを起こすことから始まる。カーテンをブチ当てて直射日光を食らわせ、さらに冬だろうが関係ねえっつって布団をひっぺがす。

「おっ! 朝勃ちしてるじゃん! 私が鎮めちゃろか? ガハハハハ!」

 寝起きのひとシモネタ。それから。

「ごはんできてるよー!」

 毎朝おいしいごはんを食べさせるのも私の役目だ。これくらい健気なJCって他にいるのでしょうか? げに可愛すぎる、ってゆうか愛くるしい。カレシの一人もおらず一ミリももてないのが不思議なくらいだ。

「今日は牛脂サラダとパンの耳の燻製だよ!」

 最近は少しは生活が楽になったけど、それでも節約の心は忘れない。あげたい。自分自身に国民栄誉賞やノーベル賞、東京スポーツ認定プロレス大賞MVPをあげたい。

「ふんふ~ん♪ 国民栄誉賞~♪ プロレス大賞も~今年は内藤哲也じゃなく私~♪」

「ず、随分とご機嫌だな」

 お兄ちゃんが怪訝な目で私を見つめる。

「今日は学校で楽しみな授業があるからね!」

 百万$の笑顔で視線を返した。

「なんの授業だ?」

「ナイショ!」

 ごはんを完食した私は軽やかに立ち上がり、通学カバンを手にした。

「もう行くのか?」

「うん! 気を付けて行ってきます!」

 そう言って行ってきますのチューをしようとするが――

「口はやめろオオオ!」

 首を思いっきり捻られた。


「くそォ……あんなに強く捻らなくたっていいじゃんか……」

 首を抑えながら通学路を歩く。家から学校までは十五分くらいだ。

 季節は冬ど真ん中。先日降った雪がまだ道路にたくさん残っていた。

「寒いなあ。いい加減コートを買って――うおおおおお!?」

 元来がドジっ娘である私は、思い切り足を滑らせてアタマから地面に――

「危なーーーーーーーーい!」

 しかし間一髪。私のカラダは空中で停止した。

「だ、大丈夫!?」

「おー。亜美ちゃん。ナイスキャッチ」

 お姫様だっこのような形でカラダを支え、私を救ってくれたのはクラスメイトの田中丸亜美ちゃん。

「もう。気をつけなよ」

 そういってそっと地面に降ろしてくれた。

「今日死んだら後悔するよー」

 改めて彼女の姿をジッと見つめる。ふわふわした栗色のショートカット、ちまちまっとした体型、穏やかな笑顔、そして赤いメガネ。……似てる。

「だって今日はカスミの日みたいなもんなんだからね」

 決して顔立ちが似ているわけではないが、『萌美ロス』の私はどうしてもつい先日までウチに居候していたお姉ちゃんのことを想起してしまう。

「亜美ちゃん」

 彼女の肩に手を乗せじっと目を見つめる。

「なに?」

「抱かせてくれ」

「ええっ!?」

 彼女のカラダを思い切り抱きしめた。

(クソ……私がこんな寂しい思いをするのも! 全部お兄ちゃんがちんたらしているのが悪い……!)

「ちょっと! こんな人前で!」

「あーあ。早く結婚してくれればいいのに」

「――!? ご、ご、ご、ご、ごめん! 私アンタのこと好きだけどギリでレズではないってゆうか!」

「あっでもそうなると……あの人が……」

「なに!? わたし以外にもこういう関係の人がいるの!?」

 亜美ちゃんのカラダはちょっと熱でもあんのかな? ってぐらいに暖かかった。


 ――キーンコーンカーコーン。

 二時間目終了を告げるチャイムが鳴った。

「よっしゃー! やるぞー!」

 一時間目二時間目を爆睡して過ごした私は元気マックス。スーパーモンキーズ。

 イスにの上に立ち上がると、無駄に宙返りしながら床に着地した。

「おー。カスミ気合十分だね」

 隣の席の亜美ちゃんが苦笑しながらパチパチと手を叩く。

 二時間目の担当の先生は苦虫を噛み潰したようなツラをしていた。

「ういっす! なんせ今日は半年に一度のアレだからね!」

『割烹着』が入った巾着袋を手に取って、そいつをカウボーイが投げ縄を振り回すがごとく頭上でブン回した。

「それじゃー家庭科室にGO! オラオラどけどけ! ジャマすると聖水をぶっかけるぞ!」

「火野―あとで職員室なー」

「あいあーい! じゃあまたいつものところで!」


 家庭科室の黒板には『調理実習』の文字。

 なんという美しい字面だろうか。これ以上に美しい四文字熟語は『闘犬乱舞』以外には存在しないと言ってもよい。

「あァん……なにこれェ……ステキィ……」

 そして机には食材が所せましと並べられていた。

 キャベツにニンジン、白菜、じゃがいも、豚ひきにくに鶏もも肉、さらには牛肉まで。

「すごぅい……あン……! こんな高級食材私初めてえぇぇ」

 アゴの下で両手を組みながらそれら食材を見つめる。少女マンガであれば間違いなく目の中にハートマークが描かれているところであろう。

「そんな大げさな……めっちゃ普通じゃん」

 亜美ちゃんはそういうが、普段はたんぽぽや牛脂、パンの耳、つくしんぼうなどを主に調理している私からすればこれでも十分高級食材なのだ!

「よっしゃ! やったるで!」

 ちなみに我が校はしょうしかの影響かなんか知らないけど、一クラス十五人程度しかいないので、調理実習は全学年合同で行うことになっており、ちょっとしかイベント感覚だ。私のテンションのスーパーモンキーズ具合は留まるところを知らない。

「よっしゃ! 亜美ちゃん! 私は調理実習の女王になるぜ! やってこますんじゃ! うおおおお!」

 気合のおたけびをあげてわなないていると――

「こらこら。包丁を振り回して暴れちゃだめよ」

 背後から独特のまったりとした癒し系ボイスが聞こえてきた。

 この声は「モミちゃん」だ!

「モミちゃん! いいでしょ! これこないだ全財産をはたいて買ったマイほうちょ――ああああーーーーー!」

 振り返った私は思わず叫んだ。

 家庭科担当のモミちゃんこと揉山真奈美先生。ゆるくパーマのかかった茶色のロングヘア、穏やかながらそこはかとなくスケベな感じがする笑顔、そしてなんといってもふわっふわに柔らかそうな爆乳が特徴だ。

 しかし。この日のモミちゃんにはそれ以上に目立っている箇所があった。

「うわー! お腹だいぶ大きくなったねー」

 私は大きく膨らんだお腹を優しくタッチ。

 そう。モミちゃんは二十七歳人妻。妊娠六ヶ月なのである。

「ねえ。産まれる前からちょっと母乳って出るってホント!?」

「よ、よく知ってるね。うん。もうちょっと出るよ」

「えーマジ!? 飲ませて飲ませ――グオア! 痛って!」

 亜美ちゃんが私の脳天に強烈なチョップを打ち下ろした。

「先生、そろそろ産休に入られる感じですか?」

 子供好きの亜美ちゃんが羨望の眼差しでそのように質問した。

「うん。だから今日の調理実習が最後の授業なの」

「えーマジで!」

 私は拳を強く握りしめた。

「よっしゃ! モミちゃんの送別のためにも! 最高の料理を作っちゃる!」

「だから暴れるなら包丁置いて暴れなさいって!」


 そうしておよそ一時間後。

「でーきた!」

 私流のフルコース。カスミスペシャルが完成した。献立は――


前菜・・・・ドレッシングでビチョビチョ! 前戯シーザーサラダ

スープ・・・白濁! イカの香りクラムチャウダー

魚料理・・・マグロのマグロ風

メイン・・・おっぱい風ダブルマウンテンハンバーグ~真ん中にズッキーニを添えて~

飲み物・・・聖水~レモネード風味~


 残念ながら今回は食材の関係でデザートはなし。それでも――

「やっぱりアンタ料理だけはスゴイわね……」

「うん! これはうまい! 名前がアレだけど」

「美味しいけど名前がアレだなあ」

「美味しさを覆い隠すレベルで名前がアレだ」

 同じ班の子たちには大好評。

「どうやらあそこの班のヤツがめっちゃ美味しいらしいぞ!」

「ちょっと食べさせてもらえねえかな?」

「あー! いいよいいよ! たくさん作ったから是非食べに来て!」

 他の班からもぞくぞくと人が集まってくる。

 そして私の料理を食べて名前以外は絶賛!

 そう! この調理実習こそ! 成績底辺、運動苦手、女性的魅力がカサカサの私が唯一ヒーローになれる時間なのだ!

「ガーハッハッハッハ!」

 私は得意満面で両手を腰に当て大口を開けて笑っていた。

 ――そこへ。

「お調子に乗るんじゃありませんわ!」

 なにかが飛んできた。

「イラマッ!」

 これは。薄い本でよく見るヤツだ。私の口内にぶっとい棒状のモノがブチ込まれる。

「ンゴー! ンゴー!」

 苦しい。息ができない。しかし。なにか香ばしい匂いと独特のパリフワ感が鼻と口を刺激する。どうやらこの棒状のモノはフランスパンのようだ。

「モガガガガガーーー! ガブブブブ! モグモグモグ! ブハッ!」

 そいつをなんとか噛み切り、呼吸器を正常に戻した。

「ふう。美味しかった。……じゃなくて! フランスパン投げたのだれー?」

 私の視線先で一人の生徒が腕を組んで仁王立ちこちらを睨み付けていた。

 見たことがない女の子だ。黒いロングヘア―をドリルのようにクルクルに巻いて非常におもっくるしい。身長は私以上にちんちくりんなわりに化粧が随分と派手でちぐはぐな印象を受ける。

「あなた一年生? ダメでしょー先輩にフランスパン投げたら!」

「ふん! あんたが悪いんでしょう」

「えー私なにもしてないよー?」

 彼女は自分たちの机に置かれた料理と残った食材を指さした。

「あんたが食材一人で取りまくるから私たちのところに全然回ってこなかったんでしょ!」

 ……確かに私たちの卓に比べて明らかに量が少ない。

「そ、それは悪かったけど……なにもフランスパンを投げなくて――イラマッ!」

 まさかの二本目。家庭科室内は騒然となる。

「ちょっと! なにしてるの!」

 私がモガガガガー! と苦しむ中、亜美ちゃんが彼女を注意しにこちらへきてくれた。

 女の子はチッ! というように顔をしかめた。どうやら顔の広い亜美ちゃんとは知り合いであるらしい。

「殺村さん! あなたいい加減にしなさいよ!」

(――えっ!? 殺村!?)

 私は慌ててパンを飲み込んだ。それから彼女のもとへ猛ダッシュ。

「な、なに!? 近づくんじゃないわよ!」

「ねえ! あなた! 殺村っていうの!?」

「それがどうしたんです!」

「殺村あやめさんって知ってる!?」

 彼女は驚きに目を見開いた。

「アンタ。あいつのなんなのよ……」

「えーっとね! あやめさんは尊敬すべき先輩でね! そして私の義姉になる可能性が四十パーセントぐらいある人なの! ねえアナタはあやめさんの妹!?」

『殺村さん』は不愉快そうに眉をしかめる。

「なにを言ってるのか分からないけど――。アイツは姉なんかじゃないわ! ただの家にいたゴミよ!」

「なっ――」

(そうかそういえば……あやめさん、腹違いの兄弟たちにはイジめられてたとか)

「あんな歩く粗大ゴミの塊のことを思い出させないでくれます? あんたもアレの後輩だかなんだかしらないけど汚らわしいったらないですわ。そんな人が作った料理なんてよくみんな食べるわ」

 吐き捨てるように言い放った。なにかしゃべり口調だけはあやめさんに似ている。

「ちょ、ちょっと! 私のことは悪く言ってもいいけど、義姉(ねえさん)の悪口は辞めてよ!」

 ――なぜか義妹ヅラをしてしまった。

「イミワカンナイこと言ってるんじゃないわよ! それよりどうしてくれるの!」

「なにが?」

「あんたがでしゃばらなければ! この天才料理人の私がヒーローになるはずだったのに」

 などと地団駄を踏んだ。

「天才料理人?」

 卓に置かれた料理を見てみる。

 どうやら最近流行りのチーズタッカルビを作っているようなのだが。うーむ。チーズがちゃんと融けておらず、肉もじゃっかん生焼けな感じがする。

「プッ……! そんなわけないじゃん。これまずそーだもん」

「うるさーい! 食べ物はちょっと苦手なの!」

「食べ物が苦手な天才料理人ってなによ」

「スイーツよ! スイーツなら私が一番なの!」

 ――ピコーン!

 そのとき私の脳内のアイディア電灯が煌々と輝いた。

 このあやめさんのカタキに制裁を加えたい。

 もっとヒーローになりたい。

 おいしいスイーツも作りたい。

 このみっつの要求を同時に満たす方法を思いついた。

「ふーん。じゃあこうしましょうよ」

 ビシっと人差し指を突き立てた。

「な、なによ!」

「私とあなたでスイーツ作り対決をするの!」

「カ、カスミ!?」

 亜美ちゃんの叫びと共に家庭科室内はさらにザワつく。

「題材はそうねえ。やっぱりケーキ! ケーキでどう?」

 中にはいいぞやれやれー的なことを言っている人もいた。

「場所はここ! 時間は明日の放課後! 見たい人は見に来ていいよー」

 そのように宣言すると、バカな男子から順番に歓声を上げてゆき、ついに大歓声が家庭科室全体を包んだ。

「さあどうするの!?」

 殺村さんはニヤりと笑った。そして。

「いいわよ。ただしひとつこちらからもひとつ条件があるわ。それでもいいなら受けてあげる」

「どんな条件?」

「あなたが先に『それでもいい』と言ったら教えてあげるわ」

「はあぁぁー?」

「だってあなたが勝手に出した提案をこっちはいくつも飲むって言ってるのよ? それぐらい当然でしょ?」

 むむむ。この強引なヤリ口。やはりあやめさんと同じ精子から産まれてきたというだけのことはある。

「わ、わかったよー。それでもいいよ!」

 仕方なく首をタテにふると、ヤツは高らかに宣言した。

「条件はね! お互いに食材から自前で、自分のお金で用意すること!」

「――!?」

 会場はシーンと静まり返った。

 男子たちがひそひそとささやき合う。

(あんだけひっぱってあんな微妙な条件か?)

(バカ! 考えてみろよ! 殺村のほうがめちゃくちゃ有利だぞ! あいつん家大金持ちんだから!)

(なるほど! でも火野ならこのくらいのハンデどうにかしそうじゃね?)

(ああ。面白くなってきた)

 ヤバイ――! ヤバすぎる――!

 だが。もうとても撤回できるような雰囲気ではない。

「では明日。宜しくお願い致しますわ」

 などとホザきつつスカートをちょこんとつまんでお辞儀をしてみせた。

「そうそう。忘れてましたわ。あたしの名前は殺村ころめ。刃向かうヤツは全員殺す。がモットーですわ。それでは失礼」

 などと踵を返して教室から出ていった。

 残ったみんなは私に声援をくれる。

「火野―! 頑張れ!」

「あんなナマイキなガキしばき回しちゃれ!」

「カスミちゃんなら食材のハンデなんてなんのその!」

 違う。ハンデとかそういう問題ではないのだ。

「亜美ちゃん」

「な、なに?」

「ヤバイ」

「なにが?」

「私。今月もう。一円もお小遣い残ってない!」


 放課後。

 夕焼けがガランと広い家庭科室を照らしている。

 私はすみっこの机でうなだれて、頭を掻きむしっていた。

「スポンジはなースポンジはなんとかなるんだけどなー」

「やめなよ。髪の毛をぐちゃぐちゃするの」

 対面に座った亜美ちゃんがアタマをそっと撫ででくれた。大変きもちよい。思わずごろにゃんという声が出る。でも。問題の根本が解決するわけではない。

「スポンジは大量に在庫があるパンの耳をアレすればどうにかなると思うけどクリームがなあー」

 足をジタバタさせ暴れる。すると亜美ちゃんが。

「ねえ。お金貸そうか?」

 などと聖母のような慈愛に満ち溢れた声で言った。

 私は亜美ちゃんの顔をのぞきこむ。しかし。

「うーん。ありがたい。ありがたいけど。やめとく……。それをやるとなんか負けなような気がするの」

「強情ねえ。じゃあ食費をちょっと回してせめてホイップクリームだけでも買えば?」

「ぬぬぬぬぬ……」

 脳裏にいつも私のごはんをおいしいおいしいと食べてくれるお兄ちゃんの笑顔が浮かんだ。

「……私の個人的なケンカのために、お兄ちゃんのごはんを減らすわけにはいかないよ」

「変なところ律儀なんだから……」

「ホイップクリームとは言わない! せめて牛乳! 牛乳があれば! 例のゼロ円のアレをアレしてコクを出せばどうにかなりそうなのに!」

 うーーーーむ。亜美ちゃんと二人腕を組んで天井を見つめる。

「どっかに牛さん歩いてないかな?」

 亜美ちゃんのカワイイ発想のジョークに思わずプッと噴き出す。

「いいよね。牛の乳しぼり。死ぬまでには一回は絶対やりたい」

「そうかなあ。私はあんまり」

「だって! 牛のおっぱいだよ! 人間のおっぱいでもあんなにきもてぃのに、牛のおっぱいならもっとものごっつきもてぃいいいに違いないよ」

「いや私そんな人のおっぱい触ったことないから」

「最近触った中ではウチに前まで居候してた萌美おねえちゃんのおっぱいがベストだね! 大きさはそれほどではないにせよ。弾力性とシェイプがベストだった!」

「そ、そうなの?」

「今までの人生の中だったらベストバストは昔近所に住んでた未亡人のセク山さんだね! あんな粘り強いおっぱいは後にも先にもいない! あとはママの友達で女子プロレスラーの――」

 亜美ちゃんは自分の胸を軽く揉みながら苦笑していた。

「そんな知らない人の話ばっかりされてもねー」

「んー。そっか」

「ウチの学校だったら誰が一番なの?」

「ウチの学校? そりゃあアナタ決まって……ああああああ!!!!!!!」

 私はバネのような勢いで立ち上がり、机の上で華麗な三点倒立。

 一旦犬神家の一族のポーズでパンツを丸出しにしたのち、

「そいやあ!」

 頭頂部を視点としてギャルルルルン! とドリルスクリューしたのち、床に十点満点のポーズで着地した!

「どうしたの!?」

「浮かんだ!」

「なにが!?」

「絞ってくる!」

「なにを!?」

「そんなもんおまえ! アレに決まってるでしょ!」

「待って!」

 私は駆けた。まるで猛牛のようだったと後に亜美ちゃんは語った。

「できる! できるぞ! 私のゼロ円ケーキ! 名づけて! えーと――! そうねー」

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