読み始めた時に少し眠気があったんですが、どんどん目が冴えていきました。それほどに描写が丁寧で、情景が目に浮かびます。
本のページが捲られる音、椅子の背もたれが軋む音、人物が口を開き声を発する事なく閉じる息遣い……など、簡単に想像できました。描写が丁寧というだけでなく、間の取り方がとても上手という事も、それらを簡単に想像させてくれる理由の1つなのではないかと思います。
作者さんの文章に一目惚れしてはいたのですが、「双蛇と箱」を読んで惚れ直しました。私ではそんな安っぽい言い方しかできないのが悔しいですが……。
小説をあまり読まない人でも、この作者さんのなら読めるという人もきっと居るのではないでしょうか。私はそのうちの一人です。今はまだ冒頭あたりを読んでいるので、これから読み進めていくのがとても楽しみでなりません。
応援しています!
まだまだ序章というところですが、ついレビュー画面を開いてしまいました。
語りの地の文に、あっという間に没頭して読んでしまう力がはたらいています。
動きの表現に対しどんどん意味と心情を重ねていく調子が素晴らしい。その雰囲気が、少女視点の三人称にしっとりとした肌触りを与えているよう感じました。
すこし引用してみたいと思います。
『姉の部屋にはうっすらと埃が積もっていた。ルネリアが歩くたび、姉のいない日々の証明が舞い散る。』
この埃の比喩、もう大好きです。心情と情景が一体となっていて、素晴らしい一節です。
他にもキラキラと輝く表現がたくさんありました。
物語は序盤の様相。
竜として生まれた妹は、外の世界はどう映るのでしょうか。
今後に期待しています。