第30話


戻っていてもまだ涙は止まらない。

2人の様子に周りに居た子達もただ見守った。




2人が落ち着いたのは、あれから半日ほど経っていた。

途中、途中で訳を話すと皆笑っていた。




2人の傍には翼だけが居た。


『少しは落ち着いた?』


「翼…。」


「貴方は知ってたの?」


『…うん。けれど僕は記憶のことは話せないから。』


2人は急に翼に抱きついた。


「ごめんね。独りで背負わせて。」


『…僕は独りじゃなかったよ。柚茉も亞夜も居た。声を出せば気付いてくれた。それだけで充分さ。』


2人はまた泣き出してしまった…。


『地上に戻る?』


「…残るよ。」


「私も…。」


『ありがとう。皆いーよー。』


翼が叫ぶと扉が開き、地上に居たはずの兵や他の精霊達が次々に抱きついたりした。



「翼!?」


『友達って言ってくれてありがとう。あれは僕達が始めてサイナとサリナに言われた言葉。その言葉を言った時点で柚茉と亞夜に対するしがらみは1つ消えたんだ。』


「翼。」


『何?』


「皆!!」


「「「はーい。」」」


何人もの声が重なる。


「ずっとずーっと一緒だよね。」





「「「「「あたりまえ!!!」」」」」







END


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天界の城 なぎさ @kiryu-nagi

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