謝安19 高所の恐怖2  

新しい宮殿、太極たいぎょく殿が完成した!


この時書家として知られる王献之おうけんし

謝安しゃあんさまの副官として仕えていた。


なので謝安さま、

太極殿に飾る宮殿名の看板を、

王献之に依頼したいと思い、手紙を出した。


手紙を受け取った王献之、

使者にそれを突っ返す。


「そんなもの、外に放り出してしまえ」


その話を聞いた謝安さま、

後日王献之に会った時に聞く。


「題字を書いてから殿上に

 掛ければよいだろう。


 魏の時代の韋誕いたんのような達人も、

 自ら筆を執ったと聞くぞ」


すると王献之は返す。


「あんなことやらせる国だから、

 魏はすぐ滅んだんですよ」


まあその一件で書の達人の

心ブチ折りましたしねー。


王献之の返しに、

謝安さま、ほとほと感心したそうですよ。




太極殿始成,王子敬時為謝公長史,謝送版,使王題之。王有不平色,語信云:「可擲箸門外。」謝後見王曰:「題之上殿何若?昔魏朝韋誕諸人,亦自為也。」王曰:「魏阼所以不長。」謝以為名言。


太極殿の始めて成れるに、王子敬は時に謝公の長史たれば、謝は版を送り、王をして之に題せしめんとす。王に平らかざる色有り、信に語りて云えらく:「門外に擲箸すべし」と。謝は後に王に見えて曰く:「之を題して殿に上るは何若? 昔の魏朝の韋誕ら諸人、亦た自ら為したるなり」と。王は曰く:「魏が阼の長からざる所以なり」と。謝は以て名言と為す。


(方正62)



曹叡6 高所の恐怖1

https://kakuyomu.jp/works/1177354054884883338/episodes/1177354054885072827

にリンクしてくる話ですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る