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「司馬懿1 俺の郭淮    」への応援コメント


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    郭淮は關中都督と作り、甚だ民情を得て亦た屢々戰庸あり。
    淮の妻は太尉の王凌の妹にして、凌の事に坐して并せて誅さるに當れり。
    使者の徵攝すること甚だ急にして淮は戒裝せしめ、日を克めて發するに當る。
    州府の文武、及び、百姓は淮に兵を舉ぐるを勸むるも、淮は許さず。
    期に至りて妻を遣るに、百姓の號泣して追い呼ぶ者數萬人あり。
    行くこと數十里、淮は乃ち左右に命じて夫人を追いて還らしむ。
    是において文武は奔り馳せ、身首の急に徇うが如し。
    既に至り,淮は宣帝に書を與えて曰わく、
    「五子は哀しみ戀い,其の母を思い念えり。其の母の既に亡くば,則ち五子無し。五子の若し殞せば、亦た淮無し」と。
    宣帝は乃ち表し、特に淮の妻を原せり。

    戰庸
    戦功の意味なんでしょうけど、用例はあまり見当たりませんね。

    通常は、「まさに~べし」と訳すのですが、どうも上手くいきませんので、「あたり」と訳すことにしました。すごく気持ちワルイ。。。
    徵攝
    徵は徴兵の用法と同じく召すの意、攝はとる、捕らえると同義でいいと思います。
    戒裝
    ここでは旅装と考えればいいんでしょうね。
    克日
    日を決めての意。
    身首之急
    生命の危機、くらいの意味でしょう。

    従に同じく、したがう、の意。

    許すの意。


    ちなみに、『三國志』郭淮傳の注に引かれた記事は以下のとおりです。

    淮の妻は王淩の妹なり。淩の誅さるに妹は當に坐に從うべく、御史は往きて收む。
    督將、及び、羌胡の渠帥數千人、叩頭して淮に表して妻を留めるを請うも、淮は從わず。
    妻の道に上るに、流涕せざる莫く、人人は扼腕して劫して之を留めんと欲せり。
    淮の五子は叩頭流血して淮に請い、淮は視るに忍びず、乃ち左右に命じて妻を追わしむ。
    是において追う者數千騎、數日にして還れり。
    淮は書を以て司馬宣王に白して曰わく、
    「五子は母を哀れんで其の身を惜しまず。若し其の母無くば、是れ五子無し。五子無くば、亦た淮も無きなり。
    今は輒ち追いて還し、若し法に未だ通じずんば、當に罪を主る者に受け、覲展は近きに在るべし」と。
    書の至るに宣王は亦た之を宥せり。

    覲展
    きんてん。展覲という用例もありますが意味は々。謁見するとか見えるとか、そういう意味です。

    けっこう細部が違いますね。



    ※※※



    〉当
    再読文字の代表ですが、厄介です。將のような未然ではなく、「まさに〜べし」が一般的ですが、「まさに〜す」がないかと言われると、、、どうかなあ。克日當發の當は將と同じに見えますけど、決め手を欠きます。安パイに流れました。


    〉戒装

    戒装は旅装の意、戎装は軍衣の意、虞兵と虜兵みたく分かりにくいですね。


    〉身首之急

    雰囲気は分かりますが用例がない。。。身首を我が身の意で用いた例があったので、そちらによりました。


    〉今は輒ち追いて還し、若し法に未だ通じずんば、當に罪を主る者に受け、覲展は近きに在るべし」と。

    妻を送らなかったために法に抵触するなら、役人に罪されて近いうちにお目にかかるでしょう、とでもなりますかね。肚をくくった感ありです。


    面白いお話ではありますよね。

    作者からの返信

    「当」は「~せんとす」とはならないんですね。「まさに」ってなるしいいやーと思って使っちゃってたんですが、だめでしたね。そうすると確かに気持ち悪い。ただ新字源には「かなう、あたる」がありましたので、そこで飲み込んでおくのがよさそう。

    「戒裝」には連行の服装、みたいな印象がありました。

    「身首之急」については、これ、目加田説が文学的で素敵だったのでそのまま頂きました。「よく慕われる」感が出てて好きです。

    「原す」は晋書諸葛長民でも見た用法だったので、割とすんなりと行けました。やっぱり用例収集大切ですねー。


    郭淮の態度、三国志注の方がより頑なですね。
    ただ、「若し法に未だ通じずんば、當に罪を主る者に受け、覲展は近きに在るべし」……うまく意味は取れませんが、やることやってるんだし、罰でしたら何なりと、と言う感じでしょうか。この表明は素敵だと思いました。


    ※※


    七歩詩の時もそうですが、目加田先生、時々イケイケな超訳お決めになりますねw キュートだ。いや、こんな逸訳キメてる人間のセリフではないですがw

    「当」については、もうこれ、出たら即警戒するくらいでいいですね……いや全部に警戒しろよ、がお作法ではあるんですが。ううむ。古代人怖い。

    編集済
  • 最近、郭淮とか諸葛誕とか鍾会も某有名なゲームのプレイアブルキャラになったりして、若い子でも知っていてびっくりです。本当、隔世の感です(笑)

    そのゲームでも、このエピソード入っていて、「おっ」と思いました。

    >曹氏の衰運は自爆の側面もあるように思えてならぬ

    そうですね、まさに。追い詰めちゃいましたね。。。

    作者からの返信

    諸葛誕もいるんですか!?
    すげえなぁ……

    文鴦出すならかんきゅーけんじゃねえのとかは思うんですが、この辺りにツッコんでも仕方ないですね。