司馬懿1 俺の郭淮
魏
これがまた強いわ、民衆に大人気だわ。
そんな彼に、急報が飛び込んできた。
妻の兄である、
処刑されることになったのだ。
となると、郭淮の妻も連座せねばならない。
使者の報せに人びとは動揺する。
おおいに苦しみながらも、
郭淮は妻を出廷させることにした。
分かっている。出廷、即ち死だ。
「そんな決定に応えること
ありませんよ郭淮様!」
だが郭淮は首を振る。
法は絶対だ。
準備を整え、遂には妻を送り出す。
すると、なんということだろう。
数万人もの人びとが、郭淮の妻を
泣きながら追うではないか。
この様子を聞き、
郭淮も辛抱たまらん、となった。
側仕えを遣わせ、妻を奪還。
皆大喜びでこの命令に従った。
誰もが、自分の家族を救いたい、
と言うくらいの勢いだった。
郭淮は、司馬懿に文を送る。
「五人の子が、母を慕っております。
その母を失えば、
子らも後を追うでしょう。
子らを失ってしまっては、
私ももはや生きてはおれません」
郭淮を失うわけにはいかない。
司馬懿は帝に上表し、
郭淮の妻の連座を不問にしてもらった。
郭淮作關中都督,甚得民情,亦屢有戰庸。淮妻,太尉王凌之妹,坐凌事當并誅。使者徵攝甚急,淮使戒裝,克日當發。州府文武及百姓勸淮舉兵,淮不許。至期,遣妻,百姓號泣追呼者數萬人。行數十里,淮乃命左右追夫人還,於是文武奔馳,如徇身首之急。既至,淮與宣帝書曰:「五子哀戀,思念其母,其母既亡,則無五子。五子若殞,亦復無淮。」宣帝乃表,特原淮妻。
郭淮の關中都督と作るに、民情を甚だ得、亦た屢しば戰庸有り。淮が妻は、太尉の王凌が妹なれば、凌の事に坐して當に并せて誅されんとす。使者が徵攝せるの甚だ急なれば、淮は戒裝せしめ、日を克めて當さに發せしめんとす。州府が文武及び百姓は淮に兵を舉ぐるを勸むも、淮は許さず。期の至るに、妻を遣らんとせば、百姓で號泣し追いて呼ぶ者は萬人を數う。數十里行きたりて、淮は乃ち左右に夫人を還らしめんがため追わしめ、是に於いて文武は奔馳し、身首の急に徇うが如し。既に至りたれば、淮が宣帝への書に曰く:「五子の哀しみ戀うるに、其の母への思念あり、其の母の既に亡きたれば、則ち五子も無し。五子の若し殞ずれば、亦た淮も復す無からず」と。宣帝は乃ち表し、特に淮の妻を原す。
(方正4)
司馬懿(「崔浩先生」より)
三國志、
郭淮
曹丕世代の名将。第二世代なので結構彼をパッと思い出せる人は少ないと思う。と言うか自分がまさしく第二世代以降よく分からないマンです。
王凌
太尉と言うのは、国の軍権を握るトップ。そんな人が司馬懿アンチとして立ち上がったわけだ。ちなみに魏の司馬氏アンチ反乱で特に大きいのは五つ。王凌・
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