司馬懿2 諸葛亮北伐   

しょく諸葛亮しょかつりょうが北伐、長安に肉薄!

そりゃもうみんなビビる。

迎撃に向かうは、我らが司馬懿しばい


この時明帝めいていにはある心配があった。

「司馬懿、間違って諸葛亮に

 突っ込んでったりしねえよな……?」

なので辛毗しんぴを副官につけた。


さて長安ちょうあんそばを流れる川、渭水いすい

その両岸に魏軍と蜀軍が対陣する。


諸葛亮、全力で司馬懿をアオる。

「おらー腰抜けー、百八十度ー」

これには司馬懿さんもガンギレである。

でも魏軍は動かない。


疑問に思った諸葛亮、

スパイを魏軍陣中に忍び込ませた。

スパイが報告する。


「変なジジイが黃鉞こうえつ持って

 陣の入り口塞いでます」


黃鉞とは、軍の全権委任状。

これを持っている人は

皇帝の代理だから、

軍を動かすことが許される。


つまりこのジジイ、

司馬懿から軍権奪って

通せんぼしてるわけだ。


諸葛亮は言った。


「あぁくそ、

 多分そのジジイ辛毗だわ」




諸葛亮之次渭濱,關中震動。魏明帝深懼晉宣王戰,乃遣辛毗為軍司馬。宣王既與亮對渭而陳,亮設誘譎萬方。宣王果大忿,將欲應之以重兵。亮遣間諜覘之;還曰:「有一老夫,毅然仗黃鉞,當軍門立,軍不得出。」亮曰:「此必辛佐治也。」


諸葛亮の之きて渭濱に次するに、關中は震動す。魏の明帝は晉の宣王の戰うを深く懼れ、乃ち辛毗を遣いて軍司馬と為さしむ。宣王の既に亮と渭にて對して陳ぶに、亮は誘譎を設けること萬方たり。宣王は果して大いに忿り、將に之に應じ以て兵を重ねんと欲す。亮は間諜を遣わせ之を覘わしむ。還りて曰く:「一なる老夫有り、毅然として黃鉞を仗つき、軍門に當りて立てれば、軍は出で得ず。」と。亮は曰く:「此れ必ずや辛佐治なり」と。


(方正5)




諸葛亮

ご存知蜀の大宰相。北伐、つまり遠征してきた蜀軍は持久戦にさえ持ち込ませてしまえば食糧不足で撤退せざるを得ない。だから曹叡は、迂闊に司馬懿に戦端を開かせないように釘を刺したんですね。


曹叡

曹丕死後に即位した、魏の二代目皇帝。この方もなかなか面白い皇帝様らしい。先日紹介したブログに、やっぱりこの人の記事がある。

http://d.hatena.ne.jp/T_S/20160715/1468509843

http://d.hatena.ne.jp/T_S/20160717/1468683393

まぁ、ぜんぜん世説新語じゃ目立たないんですが。


辛毗

曹操そうそうの時代から仕えている硬骨漢。つっても文官だけど。どんなキャラかって言うとこんなキャラです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る