『己が為に死ね。あれもこれも積み上げて、そして君は戦って死ね』
元より、ソレは備わっていた。
どれだけ下級に位置する機械兵であろうとも、本質だけは皆押し並べて逃れる事は出来ず、どうであっても零し落とす事も無い。
爆音を響かせ、爆煙を上げ、爆熱を纏ったKAGUTSUCHIの銃弾こそが、再びの開戦の狼煙であると、神奈斗も奏愛も共通して認識している。
「ーー。 ーーーー、ーーー、ーーーーー。 ーーー。 ーーー。 ー、ー、ーーー、ーーーーーーー」
そして、神成神奈斗が漏らし続けるこの無音の
この誰にも聞き取れず意味も解さない言語こそが神成神奈斗本人にしか分からない、彼の宇宙の言葉だ。
きっと、唱えている。 なにか、誰も彼も理解に及ぶ事の出来ない音の羅列は、彼自身にも意味の効力と真価は知り得ない。
だが、それでいいのだ。
過去に人がロケットを作り月に行った時代に、呪詛で己と他者を呪う事が出来るはずもない。
石器時代には既に人は凶器を手にし、古代文明を数式が発展させてきた。
故に彼は、そして彼等は、そしてこの時代の化物達は進化ではなく『神化』を。 その正体が退化であろうとも、中断の退路は精神回路から抜け落ちている。
言うなれば、神奈斗は再び零れたJOKERを拾い上げたのだ。
そして今宵拾い上げた切り札は、神奈斗の背中を突き破り現れた。
『機械槍オーバード・テイル』。 形状は鞭の様にしなるべくして無数の節が存在し、何処か一箇所の
色は限りなく黒に近いガンメタリックであり、突貫する奏愛は先刻に斃した機械兵を思い出す。
レオン・グリードの核を、あの砕かれた核を、神奈斗は再び使ったのだ。
「……それが、貴方なの? グリード曹長」
形を模す事に彼は囚われた。 雲林奏愛に切り刻まれた己と同僚達の姿が、生前には瞼の裏から消えずに刀の形が最強だと思ってしまっていたのだろう。
ーーだが今、その核を扱うのは本来の持ち主とは比にならぬイカれた強者。
その地力、その経験、その思想、その執念……機械仕掛けの兵士なればそうであるべき、そうであるべきなのだ。
しかし雷神は真っ向から迎え撃つ。 言うなれば、それもまた彼女の思想。
破壊力には破壊力をもってして捩じ伏せる事こそが、単純明快であり、簡潔という事は瞬時に白黒の決着が着く。
何食わぬ顔で即死の直線軌道を見切り、まるで戦艦とでも争うかの如き巨大な槍に突き立てた短刀からは、神秘の超高圧電撃が這いずり回る。
「ーー」
レオン・グリードが本来、無垢に自らの武装核を行使出来たならばーー憎しみに染らずに闘い続けられたのならば、防御策として真価を発揮したのだろう。
外殻は剥がれ落ち、恐るべきは中身の小綺麗なヘアライン仕上げの表面の芯に当る部分ではない。
艶も霞み、そして汚れた外殻は確かに剥がれ落ちて電撃を地に這わせ逃したのだが、神奈斗が振るった瞬間に真の姿が顕になった。
凡そ10メートルを超える外殻の中から現れた、大人程の大きさの槍の先端には穴が。
穴、穴、穴、穴、穴、穴ーー六つの砲門。 そして聞こえたのは鉄と鉄が擦れ、散り、噛み合う音。
『機械槍オーバード・テイル』の銘の素晴らしい本性こそ、
その弾丸の質量、正しく機動兵器。 こんな存在が有るからこそ、国軍は希少な機動兵器に頼らずに、戦場に彼等機械兵を送り続ける。
そして彼等の大多数も戦場へと自ら志願する。
地獄から這い上がってこそ……? 否、断じて否、否!
こんなにも素晴らしい本性には、地獄の底こそ相応しいのだ。
「ーーー。 ーー嗚A、ソrェで良ッ!!」
亜光速の電光石火は此処にて減速を行い、加速を止めた奏愛の足元には爆発的な電力が雷の様に拡がる。
己だけで行う回生発電ーー。 動作の度に止まらない異能力の発電行為。
磁場の空域は現時点にて数百に及ぶ発砲された弾丸全てを、磁力によりその場に留めた。
ーーそして、着火だ。
特殊な弾丸は人が造り上げた銃から吐き出された。
銘に劣らぬ、それは焔の弾丸。
停滞する銃弾の空域に打ち込めば、数百の火薬に火が着き奏愛の周囲を爆破する。
さしもの異能力者も逃げ出す破壊力の爆発は奏愛も例外なく周囲から離れ、短刀を落とした左腕の肉が弾けた事実は神奈斗の土壇場の戦術の効果を物語る。
「出シたKαッ!!」
神奈斗が目線に、いや、視界に捉えた時には獣の如く彼女は低く構え、そして得物が唸りを上げていた。
柄の底。 伸びる糸は奏愛の口に繋がり、それは歯で挟まれ、古典的な起動方法により『八ツ裂キ』は恐ろしい本性を顕した。
峰に生えた鮫歯の様な無数の刃は展開する。
正式名称『工房作電撃放射日本刀』。 だが『リベレノワールの武装工房』所属の鍛冶達は狂っていた。
誰しもが飽いていた。 誰しもが望んでいた。 頭角を現してきた『宇宙ナメクジ』を認識した途端に、意匠を凝らした装飾武具を造り続けていた彼等は狂いに狂った。
人を斬っても錆びぬ刃。 鉄を斬っても零れぬ刃。 そして異能力による超高電圧に耐える刀身と、その強き稲妻を武装として利用出来る、彼等の武器をーー。
「久々だよ。 こんなにも、伸ばしたのはーー」
そしてリベレノワールの学者達と設計者達は気付いたのだ。
学術の名門、ゲーラー学派からは既に捨て置かれた『宇宙ナメクジ』こそ我等が心酔するに値し、供物として爪牙を捧げるべきなのだと。
ーー変形武装は機械兵だけの専売特許ではない。
大きく振るい翳した瞬間に稲光が閃光として現れ、そして刀は両刃の剣と化した。
ただ単純に峰であった方向を逆に向け、その形状は逆さまになれば言うなれば『鉈』。
並ぶ刃の数は多く、そして大きい『鋸』。
コレこそ異能力者、雲林奏愛が持つ数有る肩書きの内、最も両陣営が周知する『八つ裂き』の異名の本性である。
断ち斬る、絶ち斬る、裁ち斬るーー脆弱な機械兵ばかりならば彼女は『断ち斬り』の名で呼ばれるだけで済んでいたのだろうが、やはり機械兵とは元は人間であると言う事なのだろう。
強くなれるのは弱者の特権。 故に彼等は、血潮と死肉の汚泥の底から這い上がり立ち上がる。
「おぞましいね」
だから奏愛は引き裂く。 一見美しく断たれた断面では、隊長及び副隊長格、そして抜きん出た優秀なる機械兵の修復機構を阻害出来はしなかったのだ。
「貴方達は、おぞましい」
敢えて切り落とすのではなくて引き裂く。
業物によって落とされた四肢が、名医に掛かれば縫い付ける事が出来るのならば、ただただ奏愛は阻害する。
嗚呼、狂おしい程に『害』。 害虫の如く害悪で、害獣の如く害意に溢れている。
機械仕掛けの奇怪槍の刺突など、どれだけ高速で放とうとも奏愛は容易く、本懐を解放した『人斬包丁八ツ裂キ』を持ってして、無数の刃で絡め取り、人外の剛力により引き裂き、自らの後方へと吹き飛ばした。
しかし無論。 神成神奈斗の未だ闘志は消えずに、雲林奏愛も心音を少しでも音圧を下げないのだ。
「ーーカッkイぃ゛ナa。 強イ゛Na゛。 ーーー。
『ーーーーーーー』。 誰モ゛、何mO゛、ワ゛タシを゛Sィばルk゛oト゛は不可ズ。 Tダ、泣゛くタm゛Eに生まレrウ。
ゾう兵Wァはtち上がリ、敗シャは這iアgァり。 オ゛泥no底かra、『私達』は泣キながRa産まreルのダ」
再起。再動。再誕。
彼等は全ての意味での歯車の一部。 死兵から力の源を取り上げ自らのモノとし、継承して更に闘う者達也。
地に伏しても何度も立ち上がるのだ。 例え墓穴の中であろうともソコから這い上がるのだ。
ただ、ただただ、その戦闘意思が潰えない限り、そして呪いを祝命と信ずる限り彼等は死なない。
「生きてこそ」
それは今一度戦う為の『Einsatz』。
生き延びる為ならば、自分以外に成り果てても構わないからこそ、故に機械の兵士。
何度も何度も、何度も何度も、再起動という生命の芽吹きに感涙し、再死を味わう度に悲涙をーーだが、涙が枯れる覚悟を彼は済ませていた。
「それでこそ」
誰よりも強く生きねばならないという、脅迫概念か信念かも分からない心中にある芯。
原理など、目を覆いたくなる程に浅く臆病なのだ。
「だからこそ」
生きる事が戦いならば、人は戦い続けなければならない。
縋り、紡ぎ、繋がるばかりなのだから、人は一人きりで戦う事は出来ないのだ。
「始めようか、神成神奈斗……ッ!!」
「弱キ者゛Ga死すBぇ゛キと言うナラ゛らば、『私達』は殺゛サnEばな゛らナイーー強き者ヲ」
愚者は愚かであり、だが生きる資格が無い訳など無い。
もしも、仮にもしも愚かな者が死ぬべきと言うならば、きっと彼等は全てを殺し尽くす。
銃を持てば人は兵士となり、剣を持てば人は戦士となり、拳を握れば人は闘士となるーー。
人ではない化け物も、ナニかを持てば人となるのか?
獣は人と成り、人は獣と成る。
比喩としての『獣』は『人外』の彼女にも、『改造』の彼にも当て嵌るのだ。
言わば必然。 何故ならば、種が違い、そして個が違い、思想も信念も二人は対極に存在し、共有する生き様は闘いの中で生きてきたという唯一の事象。
止められない、この期に及んで銃を剣を、神秘も叡智も投げ捨てることは出来ない。
「出しなよ。 神奈斗。 貴方の、貴方自身の核を見せなよ」
ハロルド・レアニアルの劇毒『致死性鎮痛毒クワイエット』。
レオン・グリードの彼が引き出せなかった『掃射砲内蔵竜機槍サラマンドラー・テイル』。
破損し、破壊された二つの核を神奈斗は確かに繋げたのだが、その二つは今や再び雲林奏愛の手によりガラクタとなった。
ーーそうだ。 一体どれだけを捧げ、一体どれだけを壊されて、一体どうすれば彼は止まるのだ。
『再動機構アインザッツ・ヴィータ』により、顕現した牙も直ぐ様に折られ、しかしどうして、どうしてその闘争の火は消えないのだ。
「ーー来いよ。 きッtォ、面白ィ事gA始まルぜ」
踏み締めた瞬間に稲妻が立ち上り、そして雷鳴よりももっと速く八つ裂きの申し子は、ただ切り裂き、ただ八つ裂く為に距離を詰めた。
ーー発動は、展開は、そして作動は刹那であった。
神奈斗は迎え撃つ。 迎撃こそが、最速を誇る対象相手には最適解であり、ましてや雲林奏愛の眼光は必ず獲物を逃さないという捕食者のソレだ。
そして彼の口から出ていた面白い事とは、きっとこの機構の事を指している。
「……ゲルド、ハルド……ッ」
曰く『機械仕掛けの害虫』。 曰く『捕食虫』。 曰く『悪虫羅刹』。 曰く『人喰い蟲』。
稲妻が翔る如く放たれ、未だ10数対に及ぶ多関節の槍は、まさにムカデの脚。
奏愛が得物を握る右腕を串刺し、憧れとして造り上げた真似事の狂気は強度以外の全ての真似た。
『多重甲殻機構マギナ・セクト』は帝国軍にて最高峰の知名度を誇る凶悪な死のカラクリ。
そして神成神奈斗が知る限り、最も強く、最も恐ろしい。
しかし、それがどうした言わんばかりに動き出した彼女は止まらないのだ。
所詮は機械兵など、敗者の成り上がり。 言わば異能力者は産まれながらに戦う者。
右腕の筋も骨も一時的に破壊されたのならば、それに次ぐは左の貫手。
血と骨の肉は硬化し、そして揃えた指先は雷撃を帯びて鋼すらも貫いてしまうーー故に速く、故に強いが、だが神成神奈斗は恐れに震えて相対していない。
どこまでも、どこの果てまでも、神成神奈斗は戦う為に生き延び、そして生き延び続けるのだから、こんな小娘を相手に止まらない。
しかしそれは互いに思うのだ。 互いに互いは単なる通過点。
瞬く間に奏愛の右腕の肉を穿ち、骨を断ち、筋を刻むが、さぁ『アレ』が飛んでくる。
不可避の速攻、必中の必殺と化した疾風電雷の魔槍がーー。
「捕まえたのはーーどっち?」
曰く、『人型の怪物』。 『マギナ・セクト』の生成槍を絡め取り封じたのは、彼女の人ならざる人体機構による筋肉と骨格の収縮。
右腕と腹部を貫かれ様とも、ただ敢行するのはその一撃。
僅かな基礎と僅かな判断はここが破壊の間合いと断じたのだ。
「ーーーーッ!!?」
大気すらも素手で放つ雷槍は震わせた。
恋人同士ならば愛し合う様な距離感にまで迫り、しかし彼の口から吐かれたのは言葉ではなく血と油だった。
その穢れた血と、その犯された血を顔に浴びても奏愛は瞬きすらせずに、青く光を溜める目で神奈斗の口内を見る。
ーー無い。 例えば銃弾。 例えば刃物。 例えば、怪獣じみた火炎放射器などの隠し武装は見当たらないからこそ、その手を引き抜かないのだ。
「捕まe゛タッ!!」
神奈斗が握る左手の縦二連装の銃口が奏愛の頭部を補足するよりも早くーー負傷を驚異的な速度で彼女は簡易的に修復したのか、握る拳銃諸共に腕を切り飛ばす。
神奈斗の両腕はこの瞬間に失われ、そこから連想されるのは文字通りの『解体』だ。
脳裏に過ぎる想像に難しくない結果だが、ならば彼はーーしかし雲林奏愛は先を取り上を征く。
圧倒的な力量差、八つ裂きとは常に強者が捕食対象者に行う鮮烈なる行為だ。
両腕を失い、更に加えてここは雲林奏愛の領域。
徒手格闘も、凶器の扱いも、そして異能力『
次は生身である神成神奈斗の右足を高電圧の稲妻を纏い踏み抜き、遂に彼の四肢は左足以外は死んだ。
「捕まえ……たッ!」
だが、奏愛が彼を解き放たないのだが、同時に神奈斗も彼女に食いつく事を止められない。
殺し合おうとしていて、愛し合おうとしている。
神成神奈斗が知る限り、最も強く残酷な存在に、彼は機械兵と堕ちる以前に培った己の全てと、そして堕落した末の彼女の知らぬ全てを晒け出そうとしているのだ。
もはや首筋に噛み付く牙しか残ってはおらず、こんな矮小なモノではきっと俗世間の女子供しか殺す事が出来ない。
そして、血と油が滴る肉と鉄が混じる空けられた風穴は、異能力による稲妻がそこから這う虫の如く彼を焼いてゆくーー。
「ーー私の事、食べるつもり?」
驚異にならず。 そして微塵の恐怖を与える事も出来ずーー。
奏愛の首筋に噛み付く神奈斗の白い歯は、所詮は単なる人の身の歯でしかなかった。
しかし自在に自発的に肉体も骨格も硬化させる事は、雲林奏愛程の地力を持つ『宇宙ナメクジ』には容易く、彼の牙は皮と筋に埋まる事が精一杯なのであった。
だが彼は笑みを奏愛の視線の外で浮かべた。
破砕された『機械信号』は、そして彼の、機械兵と宇宙ナメクジ双方の特異が混じる混血の心臓が、次の一手を放つ
幾度と壊れ、幾度も直しーーもう一度だ、そしてもう一度。
つまりは再動ーー。 千切れた両腕の傷口からは、宇宙ナメクジの様な生身の再生を行われずに、攻勢へと常に転じる為に精製するは荊棘の鎖。
「……モノマネごっこを、まだ続けるの?」
しかし正しく猿真似であった。
『多重甲殻機構マギナ・セクト』と同じく、第一機械兵団隊長アデヴ・イフスが行使する武装を神奈斗は創り出したのだ。
左右十数対の鋼鉄の金属絲は無数の返しの生えた鎖。
緊縛術により対象を捕縛し、武装の特性により残酷に刻むーー『黒曜鉄絲ブラック・ゲットー』。
ーー先刻もそうであった。 故に落胆するのは雲林奏愛が確定的に見下している事であるという事実なのだ。
捉えて、捕えてどうするのだ。 ましてや体内からとめどなく放ち続ける超電圧の稲妻は事実、猿真似により神奈斗が創り出した武装を焼き飛ばすのだ。
所謂『本物』と比較し、その物の強度も、そして使用者の練度も、何かもが低次元。
こんなものはこの女には牽制にもならないのだ。
「ーー」
「離れナくテも、イイのか……?」
お互いの身体に食込み、削り、刻んでいく黒い鎖が絡み合う最中に、奏愛の腕は更に進み、そして彼の体を持ち上げた。
何時しか神奈斗の声にはノイズが消え、遂に自発的に『核』を侵食させる行為による強化も打ち止めかと思われた。
噛み付きを引き剥がす為では無い、顎に添えた手は確実に彼の首をへし折る為だ。
「ーーあぁ、居るんだね。 貴方の中にアイツが」
その重厚な金属が激突する音こそ『機械兵』が創り出した得物である事の証明か。
雲林奏愛の眼鏡はそれを猿真似だとは思わなかった。
故に彼女は渾身の膂力をもってして超至近距離の射程圏内から逃れたのだった。
『黒曜鉄絲ブラック・ゲットー』『多重甲殻機構マギナ・セクト』はあくまで形状だけを模した、それは言わば本命の為の実を伴わない虚栄。
『悪魔は信徒を騙り修道女の皮を被った』
『禁忌』とは『力』ばかりの問題ではなく、何時の時代もそれらを扱いそれらを孕む『人』の在り所なのだ。
前第四機械兵団隊長、彼女が在籍していた暗黒の時代こそ歴史の闇であり水底に沈めておくべき事象。
「だから、私が殺した。 壊さず、私が殺した」
よりにもよって、いやだからこそ、頼るのは既知の凶刃なのであろう。
破損した核を不完全であろうとも再び動かす自らの機構よりも、『厄災』と謳われ続けるであろう狂女の武装、機構などと呼べるモノは組み込まれない一振の巨大な刃。
「……つまらない」
やがて神成神奈斗の意志は、殺意と闘志のみを残して溶けだしたのだ。
擬似的に行使された復元に使用する為に、ハロルド・レアニアルとレオン・グリードの核を用い、『ソレ』に
「ーーいや」
ベルギット・ホークが仕込んだのは猛毒を精製するJOKER、『致死性鎮痛毒クワイエット』。
医師ガエリオが仕込んだ『再動機構アインザッツ・ヴィータ』。
そしてレオン・グリードの遺骸から抜き取った『龍機槍サラマンドラー・テイル』。
その己の身を食い潰すまでの悪魔の契約共は、この為にあった。
一刀両断する断頭の刃。 その実績は語られる。 ずっとずっと汚泥の底でーー。
「だからこそ、面白いのかもね」
ーー奏愛に浴びせられた焼ける痛みは久方ぶりであった。
鋭く、そしてとてもとても重い鈍痛にも似た、追憶の中で鮮明に存在する人物が放つソレと同様のモノを、遂に神成神奈斗は手に入れたのだ。
悪魔は囁く、まるで自らが良識の善人であるかの様に、弱者に近づき唆すのだ。
そして、その囁きを受け入れた者に、啓示と啓蒙は与えられん。
知らぬ叡智は、何も
過去、数ある機械兵の残骸の中でも指折りの強さを孕む、その者の『核』は神成神奈斗の中に宿っていたのだ。
前第四機械兵団副隊長。 神の信徒よ、貪欲な殺戮教の殺戮狂よ。
君は神を騙り、そして神ですら畏れる所業を成そうとしたのだ。
狂うべくして狂ったのか。 狂うべきだから狂っていたのか。
「聖女オレヴィアンヌ。 私が初めて殺すべきと信じた害女だったね。
だから、貴方には重いでしょう? 何千人の血は未だ乾いてないんだから」
『断頭断罪刃セイグリット・オヴ・ジュスティス』は
一夜で500、二夜で1000ーー雲林奏愛に討ち取られるまでに吸った血は数年後にも乾いておらず、現在顕現してようやく武装自体の瀉血は始まったのだ。
どこまでも『血塗れの
だからこそーー。 それでこそーー。
神成神奈斗の二面性に最も最適解であるのはコレなのだ。
「不死身の
「ーーー。ー。ーーーッ!!」
「来なよ。 殺しに来て? 一度負けた女のギロチンで殺せるならね……ッ!」
ーーだが歴戦の戦乙女も見当違いをした。
神奈斗はギロチンの刃をもってして稲妻を引き裂き、肉薄した際に対象が凄まじい速度で退避したとしても、再生した左腕が捕まえる。
獣に堕落したと思われたが、その目は瞳孔を崩れておらず光は蓄えたままであり、機械兵の目ではなかった。
導かれる答えこそーー彼が何故に容易く帝国側から寝返り、そして国軍が受け入れたのかの答え合わせになるだろう。
奏愛の軍服の襟を掴み、推進力を載せた装甲車すら両断する一刀により彼女は吹き飛ぶ。
彼女の反撃体勢を機械仕掛けの右腕により鎖を生み出し連結させ、遠距離からのギロチンの兜割りにて潰す。
高速で収縮して間合いを潰す鎖は右肘傷口から、そして先端のギロチンは遠心力と超重量によって爆撃に相当する破壊力を持つのだ。
断罪の刃は拒絶の権化。 悪を滅し、罪を絶するが故にギロチン。
故の分からぬ特異な特性など、言わば宇宙ナメクジ共と何も変わりはしない奇っ怪怪奇。
神秘を真っ向から否定する、純粋無垢の殺人兵器は先代の宿主『オレヴィアンヌ・ヴァンタイユ』の祝福を施されているのだろうか。
「いつから隠し持っていたの?」
武装展開を行っていない状態では、間違いなくオレヴィアンヌに軍配が上がるのだが、複合として持ち合わせの要因で彼はその差を埋めてその差を越える。
それこそが一度はこのギロチンを斃した彼女に勝つ唯一の手段なのだ。
「殺すッ!! 今日ッ!!」
刹那であった。 彼女の右脚に絡み付く鎖は生物の如く這い上がり、捕縛する。
鎖とギロチンによる複合武装こそが、切り札の次の隠し球。
縛術。 槍術。 剣術。 徒手格闘。 殺人技ーー。 果ては銃火器の知識と技術に至るまでの才は、彼が人間の括りであった時から、それ以上の怪物共と戦う為に必要な代物だったのだ。
人知外の力によって武装生成しても、機械化しても、言わば『機械兵』とは兵士の最適化。
本質とはまさに『ソレ』であり、故に一人の生き長らえてきた少年兵は止まらない、止まれない。
ましてや手中に有るのは、過去最悪の殺人者が持ち合わせた最高峰に強く強い刃なのだ。
『善悪と賢愚は違う所にあり、悪と正義は同居する』
四桁に及ぶ肉を潰し、骨を断ち、そして血を蓄えた断罪の刃は語られる聖遺物であろう。
故にーー。
「おあつらえ向き、だね。 貴方には」
殺戮修道女の魂は、そのギロチンに取り込まれた何十人目かのオレヴィアンヌの魂はーー矮小な彼の魂に呼応したのだ。
何とも喜劇的な禁忌だ。 そして悲劇的な悪手だ。
全ての選択肢を、まるでその全ての正解の逆を走る姿には、もはや神は加護も祝福も与えない。
一振。 そしてまた一振。 形状だけが『刃』の鉄塊が落下して、奏愛の身体を彼女の愛刀ごと両断しようとする。
しかし奏愛の愛刀は折れない。 建造物すら両断破砕するギロチンを何度も叩き付けられても、その刀の刃は零れすらしない。
現実問題である。 『断頭断罪刃セイグリッド・オブ・ジュスティス』も『虐殺修道女オレヴィアンヌ』も、雲林奏愛に敵わずーーそして死んだ。
言わば奏愛にとってはこんなものは既知であるのだ。
恐れる理由も、慄く理由も、驚愕し、驚嘆し、感心し、瞠目する未知などありはしない。
だから稲妻の少女はあの時と同じ様に、その刀身を振り落とした。
八つ裂きの雲林。 繰り出す斬撃は鉛の塊を引き裂く一刀両断。
真っ向から迎え撃ち、超高電圧を孕んだ機械仕掛けの刀は凶悪な刃にくい込んだ。
ーーそして侵食が開始された。 『電気使い』などと単純な括りに嵌められる者が、人外の集団にて序列二位として名を連ねる事は不可能であるから故に。
曰く『八つ裂き』。 曰く『突き刺し』。 曰く『切り裂き』。 曰く『戦姫』。 曰く『銃弾』。
しかし、しかし、そんな異名の全ては雲林奏愛が武器を振るう姿のみの表現だ。
例えソレが真骨頂であろうとも、ソレは真髄ではない。
骨の髄まで染み付いた、決して拭い去る事の出来ない星界からの力は……やはりコレに限る。
ーーだが、だがしかし、何代にも渡って来た血を吸った血塗れの機械核は、確かに雲林奏愛の血をあの時に浴びたのだ。
「仮想敵はいつでも、いつまでも、お前だ」
銃弾を掴み、破壊熱線を曲げ、刃は通らず拘束鎖を千切る。
どう足掻いてもどの様な者が敵対しても圧倒的力量差を魅せ付ける怪物の彼女こそ、真に屠るに値するのだ。
何百では効かぬ数が雲林奏愛によって、戦力外通告を与えられたのだから。
「最も怖いのはお前だ。 悲鳴を聞けば悦び守護者を気取るお前だ。 帝国軍で一番に仕留めるべきはお前だ。
渾身の力を込められない『ヴァルキュリア』よりも、馬の骨の現ランク1よりも、シスターレジェーラを一人で抑え切れない有象無象達よりも、開発途上の異能力者共よりもーー」
一騎当千とは最早、異能力者の登場によりそれは絵空物語ではなくなってしまった。
例えば、倒魔討滅の駄作ならば覇王と呼ばれる様な魔人は合理的になればなるほど序盤で顕現するモノだろう。
修練を積むには、経験値を積むには、正当手順で強い剣を得るには、何もかも時間が足りないのだ。
しかし生命を投げ打つ。 そして魂を売り渡す。
悪魔へ捧げ、彼女に匹敵すべく同じ魔人となる為に。
「怖いのはお前だけだ」
恐怖が青年を狂わせた。 ずっとずっと昔に、未だ同胞であり、その牙が届かぬ位置に居た時にーー。
「ーー責任を取ってもらうぞ」
ーーそして、断罪の刃が、異能の雷を切り裂いた。
ーーー。
上層部から詰められた女性は溜息を自らよりも立場が上とされる者達へ吐き捨てた。
武力がものを言い、そしてそれを行使する事こそが当然となった時代にて、書類と言葉で仕事する者など、戦火の中の兵としては侮蔑するに値する存在である。
「彼女の核は我等第4機械兵団の持ち物であります。
レジェーラ・オルファニール隊長が長期間の調整に入って、あぁ、それは終わった話ですがーー。
アレを管理するのは副隊長である私の役割なのではないでしょうか?
今の『クルセイダーズ』には信徒などと呼べる方々は一人も残存していないのです。
ならず者の聖職者達には過ぎたオモチャではないでしょうか?」
「ベルリオーズ第4機械兵団副隊長。 まるで、それでは君ら弾かれ者の貴族が、狂った信徒共よりマトモだと言いたいのかな?」
「至極当然。 我々は家柄を捨てて、『義』によって此処に立っているのです。
血塗れの十字架に何の役得があろう事でしょうか。
殺意を塗り固めた様な『銃剣歩兵部隊』に何の啓示が有るのでしょうか。
ーー彼等が持ち去る最悪を考えれば、何よりオルファニール隊長の許可により、私共はオレヴィアンヌ前隊長の核を部隊内で讓渡したまでの話であります」
凛々しくも可憐さがまだ残る容姿である第四機械兵団副隊長、『アリエステル・ティア・ヴィリアーズ・ベルリオーズ』は淡々と言葉を紡ぐ。
腰の右側に三本。 腰の左側に三本。 そして背中に一本。 計七本の剣を備えた姿は、銃火器を創り出し奇っ怪な機構を生み出す機械兵にしては随分と古風な出で立ちである。
どれもこれもが全て違う形状の姿見であり、確かに時代を考えれば古風ではあるのだが、一本一本の正体はその全てが違うのだ。
無論、アリエステルは部隊内にて悪名高いレジェーラに次ぐ序列位であるのだから、その強さは間違いない。
強く、そして賢しいーー名目上は彼女よりも上に位置する者達にとっては、それはそれはどうしようもなく厄介で疎ましい人物なのだ。
「機械兵の核は機械兵団の持ち物です。
我々の私物であります。 例えば一つ一つの重要性は違えど、特に、我等第四部隊の所有物であればーー私の一存という訳で、貴方々の様な単なる雑兵は黙っていなさい」
「ーーして、オレヴィアンヌ前隊長のアレを、一体何処に隠したのだね?
君も、皆も知るはずの『血塗れの
「もはや、あの核は今の宿主が死なぬ限りは貴方々の手には戻りませんよ」
一同皆がざわめき、その視線と意識はアリエステル一人に向けられた。
円形状の卓の中、全方位から向けれれる驚愕の声と視線。
つまりは、それ程の代物である。
正しくオレヴィアンヌ・エヴァンタイユが宿していた核は自軍内ですら畏怖の念を向けられる、悪魔的な産物だ。
「ベルリオーズッ!! 貴様はッ!!」
機動兵器部隊の突撃隊隊長が腰から抜いたのは拳銃であった。
何の変哲もない国軍人に支給されたモノだが、無論殺傷力も並である。 つまりは常人ならば死に至る弾丸を吐き出す。
「上室隊長。 その銃を撃てば、私は『律』によって貴方を殺さねばなりません」
だからこそ、アリエステルには脅しの道具にも怒りの弾丸にもなりはしない。
携えた計7本の奇っ怪な形状の剣すらも抜く必要が無い程に、生身の常人は機械兵に対して確定的に無力なのだ。
「銃で我々に対抗出来る人種等、既にその時点で枠を超えていますーー聡明で在られる上層部方々、私が説く説法は何も難しいモノではありません」
「ベルリオーズ副隊長。 君は、何をした?」
今は希少となった火薬や燃料でやりくりする航空兵器の部隊、『連合国爆撃機編隊』を管轄するアレク・ブレロイ旅団長は冷静に彼女に問う。
あまりにも長く続き過ぎた終わらない冷戦では、もはや彼等の様な士官学校を優秀な成績で出た兵も使い物にならなず、故に彼は、高圧的な態度すら取れない。
「ブレロイ旅団長ですか……然るべきモノを、然るべき者に渡しただけです」
「ベルリオーズ副隊長。 ソレは軍規違反か?」
その人物のその物言いに、アリエステルは柄にもなく頬に笑みを含んだ。 無論それは嘲笑だ。
民間人まで巻き込むゲリラ戦線で指揮を執る、地力でのし上がった彼は倫理が狂った外道である。
「軍規を貴方が言うのですか? サーダル少尉。
ーーただ道徳の欠落でしょう。 何も私も我々も、そして彼も規定の中で規則には従っています」
何も恥ずべき事はしていないのだからアリエステルは言い淀む事は無いのだ。
代わる代わる彼女へと質疑を投げる者達。
しかし、何人目かの言葉を遮り、けたたましい機械同士が
大きく響き轟くエンジン音と、大きく軋み劈く武装を精製する金属音。
この場にいるもう一人の上位序列に位置する機械兵は、アリエステルが視線を向けた時には臨戦態勢を取っている。
内ゲバを行うには充分過ぎる第4機械兵団の愚行、それを善としない機械兵は、そんな禍々しい機械機構と武装とは裏腹に患者服を着込んでいる。
「ーー言いたい事は是非とも離席せずに仰っていただきたい」
間取りの広い会議室にて、最上の壇上から肉薄した人物は、言わばアリエステルと同格に位置する兵である。
機械兵団副長。 やはりやはり、機械兵団と相対する帝国軍異能力者部隊ランク1の席に座った灰村謙悟は、敵陣営まで名の知れ渡った他の者達よりも何もかもが弱いのだろうか。
仕留めきれず、そしてその結果が彼女の生存だ。
第三機械兵団副隊長レーナ・グレイスの形相は、正しく修羅と呼べる程に怒りが溢れていた。
誰も彼もがその『核』を禁忌として認識していたからこそ、もはや同胞を制裁する理由としては十分であったのだ。
「私は貴方々に問う。 問い質す……ッ!」
「血迷ったの?! ベルリオーズ!!」
「血迷っているのは貴様達だッ!!」
一瞬で機械仕掛けの鋏剣を、自らの意匠を凝らせた剣と剣技で弾き、そしてアリエステルの背面で、握る『魔剣』以外の6つの刀剣は展開した。
そして加えて、轟音と共に吐き出されたのは爆熱を伴う加速装置が作動した末の炎。
至極当然。 威風堂々。 王道として己の行いをアリエステルは己で肯定する。
ならば、意に反するならば、行使するのはやはり武力である。
しかしその前に凛としていながらも彼女は猛り吼える。
引いては己の我儘を認めさせ、強いては相手の認識の甘さを認めさせる為に。
「『武装核』は研究者の
「ーー血狂いめ」
皆まで言わずとも周囲は軍人。 皆が皆軍属であるから、アリエステルが言わんとする事は理解出来ている。
ーー確かに理解は出来てはいるが、狂人に凶刃を与えた結果があの惨劇だ。
『ブラッディ・マリー』
護るべき民間人を見捨てた、それは何の変哲もない悲劇ではあったが、それはオレヴィアンヌの前で、そしてその人物を敵諸共焼き払うべきではなかった。
その瞬間、狂うべくして狂ったオレヴィアンヌは、自分の前任から継いだその核に、自ら望んで蝕まれた。
元より敬虔なる過激派の信徒には、正常なる判別など着くはずもない。
裏切りと称して、聖母の教えに背き、オレヴィアンヌはその日、その日だけ、悪魔となった。
「同胞すらも手に掛けた女の残り香が、また日の下に出てきても良いはずがない」
だからオレヴィアンヌ・エヴァンタイユが作り上げてしまったあの夜は、国軍の汚点なのだ。
血に慣れ、血に悦んで、だからこそ発破を掛ければ『
幼少より刷り込まされた思想、説法、啓蒙。 戦闘においてそれを可能とする叡智を持てば、手練た熟練兵や優秀な将校など比類にならぬ程に戦果を上げる。
それこそが、この世界で未だに宗教とその信徒が恐れられる理由だ。
「……まだ、こんな世界で、正気のフリをしている。
異能力者の異能の発現が、
そしてなにより、アリエステルが流した核の行方は、彼女が与えるに値したと判断した人物が埋め込んでいる。
基準は思想や教育を鑑みてではない。
その特異となった身体は、そしてその苛烈な自己は、例え
『人は悪魔と成りて、初めて悪魔と相対する事が出来る』
過去、人智を超えた存在を弄ぶまで調べ尽くした末に、結局はまともに理性的な論文などは存在するに至らなかった。
同じ穴の狢であり、それを自覚すべきだとアリエステルは説き続ける。
「私から言わせれば、機械兵も宇宙ナメクジも、帝国も連合国もーー勝者も敗者も、大人も子供も狂いに狂っている。
素面で酔っていたのは彼だけです」
有るべきモノを在るべき者へ。
生きる事が戦いならば、人は所詮は今を生きるしか選択する道は無いのだ。
金も愛も、有形も無形も、黄泉の国へは持って行く事は出来ず、だからこそ異能力者も機械兵も確定的に死んでしまえば息を吹き返す事は無い。
他者を癒す事も、異能力者が現れて数百年経っても不可能なのだから。
生きてこそ。 ならばこそ。
「傲りだ、貴女方のーー。 だから私は賭けた」
「ーー負け犬に?」
所詮は、誰も彼も違いなど生きているか死んでいるかどうかだけ。
動く肉と動かぬ肉。 だから惹かれる。 だから惚れさせる。
立ち上がり、例え死して尚を刃を握る存在はーー。
「彼は……勝ち馬です」
BLOODY MECANICAL 汚い幼女 @kitanaiyojo
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