白状します。最初読み始めた時は、てっきりよくある普通の退魔ものだろうと思ってました。好き要素入ってるし、ちょこっと摘まんでみるのもいいか、みたいな。
……甘かったです。完ッッッ全に沼! でした。
すっごく続きが気になって、どこで読むの止めればいいの!? ってなってます。
霊感ゼロの泰河と神社の息子で陰陽道も使える朋樹が活躍する、『狐』。
精霊使いのルカとエクソシストのジェイドの、魔神との出会いともなる、『花の名前』。
泰河・朋樹組とルカ・ジェイド組が互いに知らず交差し、一つの事件を解決する、『伴天連』。
泰河・朋樹組とルカ・ジェイド組+魔神たちがついに合流し、『万象』の謎と輪郭が徐々に見え始める『パライソへ』。
スマホに特化した書き方をされていますので、従来の文章作法にこだわる方は、もしかすると眉をしかめられるかもしれません。
けれど大丈夫です、読み始めればそんなのは全部頭から吹き飛んでしまいます。
とてつもなく面白く、泣き、笑い、キャラクターたちと一緒になってハラハラしたり怒ったり、感動したり……気づけばキャラクターにも作品世界にも、どっぷりはまって抜けられなくなる小説『万象』。
まずは『狐』から『パライソへ』まで、本編の一気読みをオススメします!
進むたび、全てが繋がって行くような、
妖の物語。
出会ったひとつの事件から、
次第に、現象の本質を、
突き止めてゆく様子に、
謎解きの様な面白さもあります。
泰河と朋樹に、沙耶*
特徴的な人物の、持つそれぞれの力や役割。
妖の者たちとの関わりは、
時には敬い、厳しく、戒め。
友に寄り添う。
悪しきものへの、裁き方。
儚いものへの、慈しみ。
対峙するものに対し、人間の傲慢さを持たずに、
仕事をする上でも、
独特な距離感を保っているのを感じます。
幻ではない、
触れられる質感と魂を持つ、
妖たち。
対峙する者達も、一人一人の存在を
愛しく感じます。
亡き者の想い。
彼等は、届かぬ思いを、
代弁してくれるようです。
人もまた、美しいだけではない。
けれど*
物語に触れるうちに、
許される想いがします。
泰河と朋樹の対照的な二人の持ち味*
恐ろしい妖と魂に触れながら、
散りばめられる、面白さに和み。
人の想いに、涙しました。
二人の仕事を体感しながら。
泰河に秘められた力、
そして、
解き明かされて行く謎に迫ります。