即位後間もない16歳の女王、クリスティアンは死んだ。
新女王となる異母姉の艶然たる笑顔の前で。凛として。
復讐に燃えるクリスティアンの魂は余りに美しかった。
気まぐれで残忍な悪魔、ルディを魅了してしまう程に。
死んで公爵令嬢に転生し、人生をやり直し始めて16年。
イケメン悪魔を侍従に、今日はついに社交界デビュー!
……などと書くと「よくあるやつ」みたいだけれども。
全然「よくあるやつ」なんかじゃなくて凄まじかった。
少女小説って、もっとこう、ふわふわあまあまだと……
勝手なイメージを華やかに裏切る鮮烈な復讐譚だった。
転生したクリスティアンであるティアレシアの生き方、
クリスティアンを想う人々、ティアレシアを巡る人々。
各々の軌跡が交わるにつれ、16年前の真相が暴かれる。
その政争と愛憎の謎解きと駆引きは見事で残酷で華麗。
断頭台のマリー・アントワネット、エカチェリーナ2世、
「血の伯爵夫人」エリザベート・バートリ、則天武后、
このあたりの名前にピンと反応する人にお勧めしたい。
凄絶で尚且つ可憐なティアレシアに夢中になるがよい。
第1回ビーズログ小説大賞で優秀賞を受賞されたとの事。
おめでとうございます!!
即位後わずか4日。
女王クリスティアンは義姉シュリーロッドによって斬首される。
罪名は前国王暗殺と敵国の密通。
だが、それは義姉による陰謀。
クリスティアンは胸に復讐の炎を宿らせ、この世を去る。
その彼女に手をさしのべたのは、ルディという悪魔。
「俺が力になってやる。その代わり、お前の魂を俺にささげろ」
クリスティアンはルディと契約し、転生をしてまた国に舞い戻る。
すべては義姉シュリーロッドに復讐するため。
……いやもうね。
設定もさることながら、人間関係の濃厚さ、絡み合う愛憎。張り巡らされた伏線などなど。
途中から読む手が止まらなくなりますよ。
また興味深いのが、こちら、『第一回ビーズログ小説大賞』ファンタジー部門優秀賞作品だということ。
『恋を呼ぶときめきレーベル』ビーズログですよ。
こちらの受賞作品ですからね。
さぞかし甘くて、とろけるようなファンタジーな恋愛なのだろうと思ったら……。
初っぱなから度肝を抜かれましたよ。
これは、「……少女小説なぁ。あれでしょ? イケメンいっぱいで、逆ハーレム的な……」と思っておられる方にもお勧めです!
父王の毒物殺人罪と他国に自国の情報を漏洩したニセの売国罪の犯人にでっち上げられた王女が処刑の罰を受けたが、身に覚えがない冤罪である事から、刑の執行を宣言し、罪に貶めた義母姉に復讐すべく、成仏出来ないヒロインは、悪魔から復讐の機会を与える代わりに、復讐を遂げた暁には、魂を貰い受ける契約を持ちかけられ、それに応じて、ヒロインは、父王の弟の公爵の娘に転生。16歳の時女王に即位している義母姉に初めて謁見し、女王の強引な勧めで女王の侍女となり、生前ヒロインの婚約者で現在女王の夫を籠絡したり、生前のヒロインを慕っていた者達を仲間にしたりしながら、遂に女王への復讐を遂げるに至る。悪魔との契約では復讐後ヒロインの魂が悪魔に取られ、ヒロインは死する所が、悪魔がヒロインに恋をしていた為、その命が引き延ばされた。
転生物で復讐劇に悪魔が絡む物語を初めて読んだが、復讐に至る準備や過程、悪魔とお互い恋愛関係に発展する展開の妙に、惹かれました。