海は青く
漂着した瓶の手紙のように
砂を歩いた僕 僕
縄から外れたブイのように
砂を歩いた僕 僕
乾いた朽木にくっついた
誰も忘れないノスタルジ
陸に上がった海月の中の
誰も覚えないメランコリ
空はもう赤く なのに海はやけに青く
踏み締める砂の音が 湿り尖って辺りに響く
滑走と摩擦と潮の予感が
ゆっくりと僕を取り巻いて
波に削られる砂の上の
誰も棄てていかないメロディ
波の届かない砂の下の
誰も拾っていかないメモリィ
空は既に黒く なのに海はやけに青く
役立ちたかった百円玉
腐りきれずに残ったベンチ
砂に刺さった硝子瓶
波の間に浮かぶ泡
総てを青く呑み込み溶かし
また人を惹きつけ
想い出で誘うように
波を僕の足に
塩に析出した朝
光を繋いで
輝きを内包し
海は青く
トワイライト・フーガ 宇津木 草太 @yumeQ315
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。トワイライト・フーガの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます