夢をみた

膝まであった泉の水は、冷たさだけを残して霧散した。二重の残像が消えていく様に、昔映画で観た、あちこちでホログラムが壊れて崩れる途中の未来都市を思い出した。かの未来都市ならこういう場所は、さながらスラムのような扱いになるのだろうと想像しながら、白銀の灯りに浮かぶ傷だらけのステージへ歩を進める。極限まで暗くした舞台袖でも海色のハイヒールは鮮やかで、不遜なまでに音高く、ぼくの在処を響かせた。

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水鏡 言端 @koppamyginco

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