言端

櫻田慎という人間がいた。 後に彼は『虚劇』と呼ばれる少し変わった舞台専属のスタッフとなる。 冬、春、夏から秋へ、変遷する季節と普遍の思考。 櫻田慎の目に映る四季は、人形職人へと…

ここには、私の見聞きした四つの死に様が在る。理由は各々あろう。 遺された者が何をどれ程思おうとも想おうとも、それは真実たりえない。 只、私はこうも思う。 一つの事実として、形がど…

――「世界がずっと同じ形だなんて、誰も約束してくれてないもんね」 XX九一年。天地反転の大災害ののち、海を天と仰ぎ、宙空の瓦礫に再び築かれ続ける社会と生き続ける人々。 まだ都市…

楽天家の住む事故物件にはしばしば旅先からの手紙が届く。溜めこむばかりだった幽霊（仮）宛の手紙を開けさせたのは一枚のポストカードだった。

愛を問うたファンタジー短編二編を収録した処女作です。 「水底で光る」 つくりものの塔で“ひとり”の双子と青年は出会う。開いていく世界の中で彼らが見つめあう自身の姿と心のゆくえ。…

9名の作家による人妻アンソロジーです。 全作品に共通するのは「人妻という概念」のみ。 書き手の多彩解釈による唯一無二の人妻たちを束ねました。 【収録作品／著者】（収録順） ＊移…

凡庸であることをすっかり受け入れて生きる雛子の日常に漣を立てた、万年筆インク「時雨」、そしてそのための万年筆。書いたはずのない文章が手帳に現れる怪奇を紐解くうち、雛子はある想いに…

花のない高地に生きる民の体には、恋をすると色も形も様々な花が咲く。奇病とも言える体質と伝統が咲かせるのは、彼らだけのささやかな恋模様。

お題企画「関節」「炭酸飲料」「白熱灯」「珈琲」 --------------- 「まわり続けるのは、意味のあることだと思うか」 ふと思う、別に逃げたり足掻いたりするほどではないけ…

RURUTIAの同名楽曲より着想。若干の流血表現にご注意ください。