解を知る

星はない。眩いステージライトもない。朝の陽に煌めく海もない。この夜は、冴えた月のくすんだ光と短命な白い花にひっそりと照らされる。静寂が錆びた音のかわりにあらゆる呼吸の音を運んでくる。無数にうごめく生き物の気配に嘔吐くことはなく、緩慢にその存在感を受け入れた。満ちる生命とまるで相反するような、足元からじっくりと侵してくる冷たい痛みと寂寥をもって、彼は一つの確信を得た。

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