第8話 真嘘

 ふと、眩しさを感じた。

 あぁ、ここが天国か。地面に倒れてたのに柔らかいものが頭に…

 と目を開けると、

 仮面があった。

 …仮面があった。

「ア、起きタ?おハよー。」

「?!」

 とっさに飛び跳ねてその声の主と距離を取る。

 そこにはフード付きのローブに身を包む仮面の女がいた。

 俺は突き刺さっていた剣を引き抜き女に向け、いつでも迎撃できるように構える。

「いキなり物騒ダねー。コっちはわざワざ膝枕までしたやっタノニなー。」

「……お前は誰だ。あの男たちの仲間か?」

「アー、そーイえバ追わレてタねー。ナかなかあの状況で逃ゲられるモんじゃナイけどねー。ボクは僕さ。まぁミケとでも呼ンでオくれ。」

 確実に偽名だろう。なんだミケって。そして口調も癖があって聞き取りづらい。ただ話を聞いている限りではとりあえず男たちの仲間ではなさそうだ。

「ミケ。俺はまだお前を信じたわけじゃない。何せ俺が襲われている事を知っているし、不可解な点が多い。なぜお前は俺の後をつけた?」

「いんヤー。森の中歩いテたら修羅場ッてイうのかナ?何カ君と女の子が言イ争っテたノヲ聞いてサこれはオもシロソウ!ってなったんだけど近づいテミたラ変ナオトコどもが君の住処?をモやシテタンだヨ。ザンネーンって思ッタけど、良くニオい嗅イでみたらなんト君はいキテイた!だかラ残リ香を追っタらサ、なんとコーーンなオッキなオオカミと戦っテしかモ勝っチャってタ!でも話ソウトシたら君イキナリ倒れルもんでサー。一応回復魔法かケトイたケど起きないカラ膝枕してタんだ〜。」

 どうやらミケはあの会話を聴いて興味本位で近づいたようだ。声に敵意や殺意はないし、とりあえず敵にはならなさそうだ。

 ここは味方になってもらうのも手だな。

「ミケ。俺はここの国の出身じゃない。だからこの国が今どんな風になっているのかわからない。それは仮面をつけていないことから分かると思う。ここの情報を教えてくれないか?今すぐにではないけども見返りも必ず…」

「コこの国出身ジゃ、ナい?何言っテんの、君?ここには

 途中で遮った言葉に、俺は言葉を失った。

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仮面の国 ホーソ @BoRoN

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