画像でドン!
雑賀偉太郎
陰鬱なる森の中にて
それを目にした時、深い森に踏み入った事をつくづく後悔した。
鬱蒼と茂る草木の中、ひときわ大ぶりな木のそばにそれは立っていた。
そいつ、というべきだろうか。おそらくは生き物なのだろうが、あまりにも怪奇でそう断じきれない異質さがあり、そのことがより一層無気味さを際立たせていた。
胴と頭があり、節ばった両腕も生えている。スカート状の衣服の中には足もあるのだろうか。直立姿勢だ。しかし、絶対に人ではない。このような無気味な人間があっていいはずがない。
何より恐ろしいのは目だ。巨大なギョロリとした目はあまりに非人間的であるくせに、パーツの配置だけは人間を模しているのが、なにか人間をあざ笑うための悪質な悪戯のように思えて不快だ。
足元を見た私は驚愕した。衣服に覆われた足先は、完全に地面から離れて宙に浮いていたのだ。
この生き物が、道理の範疇の外にある存在だと理解したその瞬間、私の意識は遠のいていった。
<お題画像>
http://urx.red/HNL8
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