筏の上は阿鼻叫喚の地獄だった。

 あり合わせの板切れで作られたその筏は、十数人を乗せるには、あまりに頼りない。

 船が難破したのが十日以上前。荒れ狂う波の中で、今も沈ますにいるのは奇跡とすら思える幸運だった。

 しかし、その幸運が作り出した光景は、奇跡と呼ぶにはあまりにおぞましい。

 筏の上で折り重なるように伏せる者たちはみな一様に土気色で、まだ生きている者と死んだものが区別もつかない有様で入り混じっていた。

 ふと、遠くに、わずかな芥子粒ほどの船影が見えた。まだ力の残っている者は狂ったように手に持った布を振る。無限に続く地獄の中にわずかに差し込んだ光芒。これを逃せば、もはや生存の望みはない。


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画像でドン! 雑賀偉太郎 @Devil_kyto

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