第3話 ある中2病の独白

 自分は人と関わることが苦手、というより、関わりたくない人間だ。

ある時を境に、「あぁ、人って面倒くさい生き物だな。」と思ってしまったのだ。


 「人が面倒くさい」そう感じてから、自分と他人との間に、透明だけど、とてつもなく分厚い壁ができたように感じた。でも、それを壊そうなんて思ったことは、今に至るまで一度もなかった。

これからも、自分はこの「透明だけど、とてつもなく分厚い壁」に囲まれて生きていくんだと思う。そして、そんなことを漠然と考えている自分すら、「面倒くさい。」と感じている。


 自分がこんなことを考えてると知ったら、周囲はどう思うだろうか?

「あぁ、やっぱり、そういう人だったんだ。」

と思う人もいるかもしれない。

「えぇ!?」

と、驚く人もいるかもしれない。

結局のところ、自分以外の他人が考えていることなんて、誰にもわかりはしないのだ。

同じところで、同じものを見て、聞いても、人の考えていることは同じじゃないし、伝わることはない。口から出てくる言葉と、その表情、仕草・・・それで、3割わかればいいほうだ。


 何も知りたくない。


 知るということは、「わかってしまう」からだ。


 知らなければよかったことなんて、山ほどある。


 愚痴や、秘密なんて、自分の心には重過ぎる。


 面倒くさい。


 これからも、ずっと、ずーっとこうやって生きていくんだろうか?


 ずーっと?・・・そう思うと、生きることすら面倒に感じてきてしまう。


 この、「透明で、とてつもなく分厚い壁」の中で、自分は今、どういう表情をしているんだろう?


 笑っているのか、泣いているのか、怒っているのか、もしかしたら、無表情かもしれない。


 自分って、なんなのだろうか。


 ・・・あぁ、本当に、人って面倒な生き物だ。


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私は主人公には向かない。 皆瀬嘉穂 @spinel9326

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