第2話 腐女子フィルターから見た、犬猿の仲の二人。
みなさま、こんにちは。狭山颯希です。
ちなみに下の名前、「さつき」と読みます。よろしくどうぞ。
さて、私の働くコンビニは、実は立地の良い駅前にある。バイト先があるのは、学校や大手企業の支社、カフェやファストフード店などが濫立する「駅表」である北口。「駅裏」である南口には、大きな本屋と小さな商店街があり、その奥には住宅街が広がっている。
今回は、南口の本屋で働く書店員・城崎さんと、我がコンビニで働く牧名くんの話をしよう。
牧名冬馬。18歳高校生。
茶髪に着崩した制服、耳にはピアス、とぱっと見「チャラい」イマドキの高校生。しかし、話してみると明るく、かつ純粋で真面目な男子である。ちなみに成績はあんまり良くないとのこと。バイト歴は私より長く、色々と教えてくれる頼りになる先輩だ。
対して、
城崎伊織。24歳書店員。
10月ごろ、転勤でこの町に来た。真面目が服を着て歩いているような風貌で、ついでにメガネ属性。物腰も柔らかく、対応も細やかで、まさに書店員の鑑ともいえる。しかし、残念ながらプライベートは意外とクールで計算高い性格なのである。
互いに見た目と中身のギャップが萌え・・・、間違えた。見た目と中身のギャップのあるところと、真面目さのあるところは似ているのだが、残念なことに非常に仲が悪い。
「だぁから、いい加減諦めていただけませんか?」
「客に向かってそのようなことをいうなんて・・・ここの店員教育はなってないですねぇ。」
「それ今関係なくないッスか?あなたの方こそ、人としてどうなんスか。」
「なんのことかなあ。わからないなあ。」
ニヤニヤ笑う城崎さん。今にも殴りかかりそうな怒り顔の牧名くん。それを見守る私。
謎の三つ巴だ。
「くじの内容が全部応募券だからって、商品のと変えろとかするわけないでしょうが!」
「えぇ?俺ここの常連じゃないですか?少しくらいお願い聞いてくれてもいいんじゃないですか?」
「常連ではありますけど、俺はあなたのお願いを聞くほどに仲良くないッスよね?」
「傷つくなあ。」
「全然傷ついた風に見えませんけどね。」
口論の原因のくだらなさもだが、この2人、私的にはとても息が合っているようにみえる。6歳も差がある会話には思えない・・・し、この犬猿の仲っぷりは、こう・・・・今後の2人の関係を妄想してしまうというか・・・・。ほら、喧嘩するほど・・・って言いますし?このあとこの2人が、つ、つつ、付き合うとか!?あるかもしれないじゃないですか!?
えぇそうです。お分かりの方も多いと思いますが、私は腐女子です。
「・・・狭山さん?顔真っ赤ですけど・・・・?」
気が付くと、2人の口論はいつの間にか止み、私のほうに視線が向けられていた。
牧名くんは心配そうに、城崎さんは呆れたようにこちらをみている。
「あ、いや、イイテンキダナーって。」
「え?あぁ・・・・・え?」
「今日雨ですけどね。」
困惑した表情の牧名くんに対し、全てを察したような、まるで蔑んだような目でみる城崎さん。なんてことだ、誤魔化しきれていない。
その後、牧名くんには本当に心配されるは、城崎さんはニヤニヤとしているはで、なんとも恥ずかしさの残る結果となり、私の観察能力もまだまだだなと感じる、冬の午後でした。
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