第11話
「あはははは!それで?結局コハルの固有魔法はそのガラクタを出す能力ってこと?」
ルナの家で俺の固有魔法を見せてやった。
「なんていうか...ピッタリね!(笑)」
「うるせぇ!こんなのでもAランクの超レア固有魔法なんだぞ!?」
俺の固有魔法は詳しい場所のものを転移させられる能力で、俺が一番詳しい場所は元職場であった家電量販店だったらしい。
まぁ、確かに記憶があやふやになっている今でも家電製品に関してはハッキリと思い出せる。
「へぇ〜言うじゃない。じゃあそのポンコツ魔法で何ができるのよ(笑)」
ルナが笑いながら煽ってくる。俺も流石に頭に血がのぼる。
「は!見せてやるよ!現代科学の結晶を見ろ!いでよウォー○マン!エレクトリック!」
本当ならテレビとかを出してやった方が手っ取り早そうだが、あいにくとコンセントがこの世界にないため、充電なしでもある程度動くウォー○マンを出してやった。
「なに?これ。カラフルでなんだか綺麗ね。」
ルナがさっきまでの態度とは打って変わって興味津々で聞いてくる。
「まぁ、まてよ。まずは、この紐を耳に入れてみてくれ。」
「なに?洗脳とかされないわよね?」
「するか!発想がこえぇよ!何も害はないから一回つけてみろって」
ルナが恐々とイヤフォンを耳につける。
「これでいいかしら。」
「あぁ、バッチリだ。」
俺はウォー○マンの電源を入れて再生ボタンを押す。ちなみにオーケストラだ。
「わぁ...」
ルナが感嘆の声を漏らして驚きに目を見開く。
「これ...いいわね...向こうの世界で似たのを付けてる人を見たことはあったけど、音楽を聞く機械だったのね。しかも、こんなにも鮮明に...」
「どうだ!思い知ったか!俺の能力!」
「そうね、この道具は素晴らしいと思うわ。でも、あなたはただこの動画を取り寄せただけでしょ?ノーカンよ!ノーカン!」
「いや!それはずるいだろ!だって俺の能力が無かったら」
ガチャ!
俺が抗議していると唐突に玄関のドアが開いた。
そこに立っていたのは気品のある白毛のおばあさんで、少し神妙な顔つきだ。
「すみません、記憶を取り戻す不思議な魔法を使うというアルタイルさんはいらっしゃいますでしょうか?」
「はい、私がランタンの店主のルナ・アルタイルです。お久しぶりです。今日はどんな御用でしょうか?メリルさん。」
ルナがさっきまでとは打って変わってハキハキと答える。これが彼女の仕事モードらしい。
「?私の名前を知っているのですね。それなら手っ取り早いですわ。私の夫が二週間前から行方不明で、確か夫はどこかに出て行くと言って家を出たのですが、私は歳のせいかどこに行くと言っていたのか一向に思い出せないのです。夫を探すためにお力をお借りできないかしら?」
これが、初めておれが体験した異世界商店 ランタンでの初仕事であった。
記憶屋ランタンへようこそ! @kohare3961
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。記憶屋ランタンへようこそ!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます