第3話


絹ごし豆腐ちゃんが心の奥辺りがニュルニュルすると言うので、太郎くんは山へ行きました。太郎くんは、絹ごし豆腐ちゃんが木の根に寝そべってブラウスのボタンを外す様を眺めました。給食は残さなかったのに空腹を感じたのです。すぐに露になった絹ごし豆腐ちゃんの胸を貪りました。絹ごし豆腐ちゃんは痛い痛いと言いますが、お腹が空くのです。陰部が固くなったので半ズボンを脱ぎました。すると外気に触れた瞬間に、なんて言わずもがなですね。絹ごし豆腐ちゃんの額と木の根の辺りに生えるドクダミが粘り気を帯びたとだけ記します。


絹ごし豆腐ちゃんの小さな胸を咬みちぎるとなんと白い骨が現れるのです。それらを丁寧に一本ずつしゃぶり、体から外しました。立派な骨です。しっかりと噛み砕き飲み干しました。中は赤いコードがあったと記憶しています。それでも、くちくならないのです。邪魔な骨を取り除くと大きな袋が2つありました。近くに落ちてた枝でパンパンと穴を開けると、血と空気が混じり淡い赤い色となったそれが太郎くんのからだ中に飛び散ったのです。舌ですすりましたが、咽が渇くばかりです。


さて、一つだけ固くて歯応えのありそうな塊がありました。太郎くんはむしりとって頂きました。後にも先にも太郎くんが口にした食事であれほど柔らかさとしなやかさを兼ね備えていたものはありません。口のなかでじゅんわりと広がる鉄の臭いを全て飲み干しました。語りの真っ最中ですが、太郎くんは死にました。享年七十五歳。まだ語りは続けます。


残された絹ごし豆腐ちゃんが動かないことに気がつくと、太郎くんは焦りました。初めて息をしない人を見ました。怖くなったのでそのまま放置することにしたのです。


さて、彼がいつか自慰の最中で彼女のことを思い出した翌日。再び例の山に向かいました。するとあの日のままで少女が木の根で眠っていたのです。彼はその安らかで不細工な顔を人差し指でつつきました。すると彼女は太郎くんには聞き取れない声で言いました。

「あなたを順に呪ってやる。でもあんたには何がなんだか判らんよ」

太郎くんは何も判らずに死にました。

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骨と心臓の処理について 古新野 ま~ち @obakabanashi

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