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序章「最終話【世界のために散れ】」

あぁ〜。俺も特撮やアニメみたいにカッコよく世界を救いたかったなぁ。

現実はどうしてこうも厳しいのか。いや、厳しすぎる。


「まだだ!俺たちは諦めたりしない!」


俺たちのリーダーであるレッドAは吠える。

そりゃそうだ。地球どころか宇宙まるっとぶっ壊す力があってもだ。

俺たちは立ち向かわなくちゃいけない。それがヒーローってもんだからね。


「だろうと思ったから対策を用意しておいてやったよ。」


世界を破壊するとかいう素っ頓狂な目標を掲げて実行しちまった秘密結社のボス。

そんな風には見えないくらい好青年だ。だって対策を用意してくれてんだもん。



「何を言おうと絶対に止めてみせ…え?」


レッドAは戸惑う。

だが俺は知っている。


俺たちは改造人間で、彼に作られ心を持たされた為離反してここに立っている。

戦隊ヒーローと言えば聞こえがいいが出自は仮◯ライダーに近い。


で、だ。


最初に作られたのは俺で、この事実を知っている。


「このシステムを止めるための安全装置はお前たちの命だ。」


ほらきた。


「お前たちがここで死ねば世界は救われる。その後もどうかは分からないけどね。」

「なんだと!」


だから俺はこうするって決めてたんだ。最後まで抵抗はしたんだけど、こうなっちゃおしまいだ。


「そんな嘘に騙されたりは…ガッ!?」

「おいブラック!何を…!」


突き刺したんだよ。俺の武器をさ。

俺以外のこちら側に立っている《安全装置》全員に。


俺は速さが自慢のブラックG。

見ての通り、モチーフが嫌われ者だからさ。

こう言う役回りはピッタリだろ?


「じゃあな。みんな。これで一応しばらくは安泰だぜ。」

「ぐぁ…!裏切るのか!」

「…っ!それでも、もういいや。」


最後は随分とアッサリだ。急所をひと突き。

一言喋れる余裕があるやつがおかしいんだって。


「これで俺が死ねばまた数百年は安泰かあ。」

「僕の設計ミスが招いた事さ。また待つことにするよ。」


そうだ。だってこいつらは待つだけでまた世界を滅ぼせる。


「まぁ、それは俺らの責任ではないよな。頑張ったし。」

「そうだね。君らは凄まじかった。本当は尊敬してるんだ。」


無駄なコミュニケーションだ。意味なんかない。


「だからさ、生み出しておいてなんだけど。来世はうまくいくといいね。」

「そうだなー。思ってたのと違ったけど、俺たちはヒーローになれて少なくとも今生きてる人は救ったんだ。頑張った方だよな。」


だからもういいや。諦めても。

俺は自分に、最後の一撃を決めた。決着だ。


かくして世界は救われた。今のところはね。

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