report.5


「父さん・・・・・

作戦の内容を教えてくれ」



席に座るや否や、何かに取り憑かれたかのごとく、壁に近づき話しかけた

するとお父さんも小さく頷き壁に顔を近づけ



「わかっている・・・・

だがまずは落ち着け

こんな監視の目が光っている場所で作戦なんて話そうもんならばれてどうなるもんかわからない

母さんの時と同じようにまずは当たり障りのない話で時間を稼ごう

監視の目がなくなったら、

作戦の概要を話すからそれまでは適当に辻褄を合わせてくれ」



確かにそうだ

父さんやこのフロアの派閥のみんなの命が

かかっている作戦だ

自分1人のエゴのためにこの作戦を頓挫させるわけにはいかない


納得し、当たり障りのない話を始める

先週の面会で母と話した話題や自由時間はどうしているかなど、

両者ともそこまで興味のある話ではなかったが時間を潰すためだお互い納得して話を進める


しかし、当たり障りのない話をしている最中に国男さんのことが頭をよぎる不意に国男さんの話を話題にする



「そういえば父さん、前も話したよね?

うちのフロアにいた国男さんで同僚なんだけど・・・・・・・」



「・・・・父さん?・・・・」




「・・・・・・・・・・・・」



話しかけても反応がない

急にどうしたのだろう

何か考え事をしてるのかと何回か呼びかけるがやっぱり反応がない

そして少し大きな声で父ちゃんに呼びかける



「父さん!!!!!!!」



すると父は肩をビクッとさせ、意識をこちら側に戻す

するとこちらを向き少し申し訳なさそうな顔で返事を返す



「悪い、少しぼーっと考え事をしてた

で、国男さんだってけ?

残念だったな

お前、仲よかったしな

ところで、もう俺の方から見える看守は

もう寝たぞ

お前の方から見える看守はどうなんだ?」



・・・・?急に話題が変わったが、急を要する話題だからな

と、話に意識を集中させ、視線を看守の方に向ける

看守の方に目をやると・・・・、


ビクッ!!!!!!!


一瞬、心臓が止まりそうになったが、

そーっとよくよく看守をのぞいて見る、

すると、・・・・

看守としての使命感からだろうか・・・

首を上下に動かしカクカクしている

おそらく必死に睡魔と戦っているのだろう

一瞬こちらの話を聞かれているのかと思い

ドキッとしたが、おそらくあの様子だと全く聞こえてないだろう

冷や汗を流したが、1つ大きく息を吐き、

心を落ち着かせ、返事を返す




「うん、大丈夫だよ

一瞬首が上下に動いているから

起きてるのかと思ったけどそんな事なかったよ」




すると父も大きく息を吐き、

ポケットから紙を取り出し自分の前に

差し出してくる




「これは・・・・・?」




紙を見ると、9桁の数字が記されていた

一見なんの数字かはよく分からないかった


しかし、ここで話し合ってる意味と、

この数字の桁を思い浮かべると

自然とこの数字が何を指しているかが

全容が見えてくる



「まさか・・・・・・・」




俺は父に確認の視線を促す・・・・


すると父もそれに対して小さく頷く

そして部屋になるべく響かない様な

低く小さな声で、



「そうだ・・・・・・・

それはお前の部屋の解除コードだ」



馬鹿な!!!!!!!

自分の部屋の解除コードはまだしも

どうやって俺のコードを入手したんだ!?

という疑問が湧き上がってくる


しかし、父は手で自分のことを制止し

話を続ける



「落ち着け、確かに疑問に思うこともあるだろう

ただ、今話すことではねぇ

とにかく時間がねぇんだ

この紙のコード、もう覚えたか?」



と急かす様に行ってくる

言葉に追われるかの様に、

コードを何回か確認し父の問いかけに頷く


すると父も小さく頷き今度は上着の内側から

紙をもう一枚取り出す


相当ここまで神経を張っていたのだろう

上着の内側に紙を入れてたにも関わらず、

紙は汗を吸ってシワシワになっていた

紙をさっきのコードの横に置き、

しわくちゃの紙を少しずつ音を立てない様に

ゆっくり開いていく・・・・

全ての紙を開くと、すこには地図の様な

ものが記され、ルートが書かれていた



「これは・・・・・地図だよね?」



開かれた時に地図と言うのは、すぐにわかった

しかし妙なのだ・・・・・・

この収容所はこのフロアが最上階のはず・・・・・

しかし、地図を見ると明らかに上のフロアらしきエレベーターの様なものと、上のフロアが存在しているのだ



「あぁ、そこがお前の最終目的地だ

父さんや母さんもな、最初はそのフロアの

存在には気づかなかったんだ

二年前にな・・・・、母さんが偶々このフロアで迷った時に・・・

誤って奥に方に入り込んでしまったことがあってな

実はその時には、もう俺たちは自室の暗証番号は知ってたんだ

で、母さんが偶々夜に出来心でな・・・・

キーを解除して逆の通路の様子を見に行ったんだ・・・・

その時にお前も面会室の逆の通路の奥に

大きな扉があるのは知ってるだろう?

だがそこの扉を開いた様子を見たのはただの一度も見たことはねぇ

お前も見たことはないだろ?」


確かに自分も長年このフロアにいるが

逆の通路の扉は開かれたことはない


確かにそうなので目で肯定し先を話す様に促す




「それでな・・・実はあそこにも暗証番号

はある

しかし、あそこだけは桁が12桁なんだよ

他の部屋は全て9桁なのにだぜ?

どう考えても怪しいだろ?

それを母さんに、面会の時に伝えてもらって

毎週、看守があそこに何曜日に来るかを

確かめた・・・・・

番号を盗み見るのにも相当時間はかかったぜ

なんせバレたら即処刑、いや死刑確実だろう桁が一つだけ独立していて12桁だからな

相当な時間はかかった・・・・・」



父の話を聞いてる途中、・・・・

俺の手は汗でベタベタになっていて、

髪からも汗が滴り落ちそうになり、

脇も汗で囚人服が汗ばんでいた・・・・

また、父も看守の動向を気にかけながら慎重に話していたためだろう

一旦、ツバを飲み込み一息吐いてから

話を再開する




「それで俺はとうとう12桁の暗証番号を

突き止めた

大変だったんだぜ?

夜、指の位置だけで番号を特定するのは?

まぁ、ともかくとしてだ

半年前に、とうとう俺たちは暗証番号を

突き止め、看守がこない夜中にコードを入力した

部屋の中にどんなものが入っているのか

ドキドキした

しかし・・・・部屋は開かなかった

何故!?!?!?!?って俺たちも一瞬思ったさ

でもな・・・・・・あの扉はカモフラージュだったんだよ

一見誰も目をつけないその角に隠れてる壁、そこから隠しエレベーターが出てきてな

人の目がないうちに慌てて乗って上の階まで行ったんだ・・・

とても乗ってる時間は短かった

おそらくそとからのかもふらも兼ねているんだろう・・・・・・

エレベーターが上のフロアに止まって、

扉が開き出てきたのは・・・・・・・」



数秒の沈黙の後に、父はゆっくりと口を開いた・・・・




「・・・おそらくあれはTime Machineだ」








衝撃の言葉が紡ぎ出された・・・・・・






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Darkness of genetic manipulation〜被験者16423番〜 倉林 アルマ @kurebayashi-8919

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