第13話 One-sided game!!

時は満ちた!

今こそ戦争の時!!

今回攻めるのはエイヴァロン領の西

マルティン領の南の領地

エイヴァロン領とマルティン領に隣接しその向こうは海、つまり俺とマルティン卿で囲んでいるのだ、奪らない手は無いだろう

ここをどれだけ早く占領、統治出来るかが全ての鍵になる

失敗すればジワジワと嬲り殺される!

負ける事はまずありえない、しかし圧倒的に数で劣るエルディン・マルティン連合はこの領地を奪取しインフラや法律の整備、徴兵と教練を済ませなければならず

更に軍をほぼ真逆の方面に再配置しなければならない

速やかな終戦は前提、その後の問題の方がはるかにエルディンの頭を痛めるに足るものだ

めんどクセェ・・・ってかコレ、可能なのかな

「エルディン様、配置が完了しました

マルティン軍も完了している模様です!」

今回連れてきたのは一個旅団、3800人

ほとんどこれで全軍だ

数は少ないが、装備とそれの練度や人殺しへの慣れなどを加味すれば、負けるわけがない

少なくともこの戦いは

「わかった、始めようか」

戦時国際法がないからね!宣戦布告しなくていいの本当ラクだわぁ!

前進!!という叫び声と同時に歩兵と砲兵が前進を始める

この砲兵というのはオルガン砲と射石砲の事で

現実の世界での射石砲の開発は1390年代から1400年代

そしてオルガン砲は1300年代の後半だ

当初エルディンがこれをみた時は嘘だろ!?

と叫んだが、当然だ

こちらの世界の人類史2000年間戦争など起きていない、つまりは不必要だから作らないし作るという発想自体が無い。

慌てて作れる物を作らせた結果がコレだった

そもそも火薬と銃が作られた事自体が奇跡的なレベル、その代わり医療技術が発達しているかというと治癒魔法が存在している時点で察しはつくだろう。

銃、火薬は狩りが好きな貴族達の為にある程度発達しているのがせめてもの救い。

村や設備を踏み潰しながら進む事、半日ほど

騎兵が出て来て焦る

「密集陣形!撃ち方構え!」

戦力の逐次投入とかそういう次元じゃないぞこれ!

「いや、すまない、いつもの演習通りやってくれたまえ。」

ふと命令を取り消す

俺が指揮を執るまでもない

この程度で死ぬような間抜けはここで土壌の栄養になった方がまだ我々に貢献できるというもの

大佐である3名に

「好きなように殲滅しろ」

と命令をだした

部下の仕事に一々口を出す上司は良くない、と聞いたからな、元の世界で

これは長篠の合戦だな

馬が弾丸より速くても勝てる

しかし完全に一方的というのも面白くないだろう

「砲兵諸君!!歩兵な皆さんにも実践演習を積ませたいしなにより弾が勿体無い、遅めのティータイムとしよう!」

砲兵という兵科はこの世界には存在しない

新設の兵科だから仕方ないが単純に練度が低い

それは訓練でなんとかなるが戦場の空気感に慣れて欲しいので砲兵は休ませる

代わりに歩兵には恐怖を味合わせてやろう

ジョークで適度に緊張を解くと同時に自分の余裕も確認できた

砲兵達に下がってもらい夜営準備を進めさせる

マルティン卿の軍もちゃんとやれているようだし

まぁ、こんなもんだろう

馬匹はこれから必要になるから出来れば引きつけて人間だけ殺して欲しいけど仕方が無い

仕方が無い、とはいえ見ていて勿体無さでモヤモヤする!

次の日も燃やし、殺し、踏み潰し前進する

戦争が終わったら組織的略奪権でもプレゼントしよう、病みつきになってくれるはずだ

なぜなら人間は与えられた権利を無制限に行使する生き物だから

そろそろ城も近付いて来た頃には

長槍装備の歩兵と騎兵の隊列が相手になった

纏まって突撃でもしてくるかと思ったら普通に突っ込んで来る、なんの命令も出していないのに兵達はきっちりと人をミンチに加工する仕事をこなしてくれる

素晴らしい勤労精神だなぁ

結論から言うと城はあっさりと落ちた

当たり前だろう

文明の使い方も知らん蛮族どもに負ける道理はないのだ!!

兵士達には規律を損なわない限りにおいて占領地の略奪を許したら意外にもすんなり行動に移してくれた

すでに人を的と呼び女を犯しまくった外道達だ、考えれば当たり前だった

落としたばかりの城でマルティン卿と合流すると今後の事について話し合いをする事に

「これからどうするつもりですか」

考え無しに着いてきた事に少々驚きだが

無論考えてある

「独立宣言をして我々の国を作ります、あなたには文化省と追加でいくつかを担ってもらおうかと思ってます」

ざっくり説明するとまず、我々が今治めている領土はアグルテス王国の王に借りている土地、つまりエルディンやエイヴァロン、マルティン卿は封建領主に過ぎない、が独立する事によって俺は大公になるのだ、大公に!!

「そ、そんなものが採択されるわけがありません!」

当たり前だろう、何を言っているんだ

「ですから武力を使うのです」

大義名分?信仰の違いとか言っておけばいいんだよんなもん!

「政治体制などまで考えているのですか?」

当然だバカ!

そこまで考えずに行動起こせるか!

「立憲君主制がよろしいかと」

ところがどっこい!!

新国家誕生に際して法整備を行うのはほとんど俺!

つまり絶対君主制とさして違いなどない!!

しかし聞こえがいいだろう!騙されろ!

「なるほど。法整備の際、宗教関連は文化省にお任せ頂けるのですよね?」

抜け目ねぇなこのジジィ

だけどそこは最初から任せようと思ってたし良いんだよ

「ええ、当然です、それは寸分違わず文化省の仕事ですよ」

「ありがたい限りです」

「では、独立宣言書はもう提出しに向かっていますから、後には引けませんよ」

貴様は私と一緒に泥沼の戦争に引きずり込まれるのだぁ!

「元より引くつもりはありませんとも、信仰の為に・・・!」

あ、今目がヤバかった

多分この人狂信者だ、味方なら心強いけど、敵には回したくねぇな

それから数日後、王都から使者が来た

今回の侵略の事、突然の独立の事、全て説明をしろと言われたのであらかじめ待機していた銃兵達によって挽肉に加工して王都に送り付けてやった

戦争を起こしたあの日からわかっていた事だが

もう後に引けない。今となっては後退はただ死の先延ばしに過ぎなくなった

ならば進もうなどと決意せずとも進むしか選択肢は無い、退路は前にしか無いのだ。

「では諸君、新国家エネイド公国に、乾杯」

「「「乾杯!」」」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

救済する悪意 @hitogatahuman1938

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ