皆さんは猫はお好きでしょうか? ネット上だと猫の画像が貼られた呟きが何千回もRTもされることもあるし、疲れたときに猫の動画を見て癒されるなんて人も多いですよね。
本作の主人公はそんな可愛い猫を殺すのが趣味という男子高校生。
殺すのは一匹や二匹ではありません。それもただ殺すのではなく素手で殺したり、ナイフで殺したりと殺害方法は実にバリエーション豊か。
こうやって、説明するとただの悪趣味な小説に思われるかもしれませんが、本作では彼の猫殺しを通して読者にシンプルで強烈な問いを突き付けます。
「殺して良い生き物と殺してはいけない生き物の境目はどこにあるのか?」
たとえば虫は平気で殺せるのに、猫を殺すという行為には嫌悪感を抱く人も多いでしょう。ならば、その違いはどこにあるのか?
本作はそんなテーマを突き詰めた強烈な一作。
ただ残忍なだけではなく、猫を殺す主人公が、とある理由で猫を殺す少女に出会ったことから始まる青春小説的な側面もあるので、ご安心を。
ただ主人公の行為を断罪するのではなく、しっかりと作者独自の見解で導かれるラストは美しくも壮絶。既存の価値観に反する内容を描きながらも、それがしっかりエンターテインメントとして昇華されていく。
これぞまさにホラージャンルの醍醐味といってもいいでしょう。
猫好きの方以外には文句なしにおススメです!
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)