第5話
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夜目がふと覚めて、ぼんやりとした気持ちで暴飲暴食をしてしまう。朝方になって後悔する。その悪癖が落ち着いたのは、先週の事だった。
「わたしのせいだ。ごめんね」
愛田しょうこはすこし困ったように俯いた。声が出ないのは愛田しょうこのせい、ということか?ぶっ飛んでるね。愛田しょうこ。
どういうこと、と訪ねたかったが、なにせ彼女のいうとおりなら、彼女のせいで声が出ない。それを察したのかしなかったのか、愛田しょうこは続けた。
「わたし、人間の子どもと同じ生まれ方をしなかったの」
「私は絵の具でできた人形だったの」
「足りない部分をクラスの子から借りてるの」
三点に要点をまとめられても、まじで、という感じでしかなかった。
声を返してとも思わなかった。愛田しょうこのやりたいようにやって欲しかったし、私の声を奪ったうえで、この愛田しょうこが成り立っているのは紛れもなく誇らしかった。なんでそんな気持ちになるのか、だけが、分からなかった。
雨ひと粒ふる @worldendwaltz
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